2024年11月10日

マタイの福音書　5章43～48節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ イエス様平和賞 ＞


　2024年のノーベル平和賞は日本原水爆被害者団体協議会（日本被団協）です。ノーベル賞の委員会が発表した授賞理由の始まりはこうです。「ヒバクシャ」として知られる広島と長崎の原子力爆弾の生存者たちによる草の根運動は、核兵器のない世界の実現に尽力し、核兵器が二度と使われてはならないことを証言を通じて示してきたことに対して平和賞を受ける。ご承知のようにノーベル平和賞は毎年、世界の平和の為に、長年間努力してきた個人や団体に授与されます。

　ノーベル賞は最高に権威あるものです。この地においてはノーベル賞ですが、天国において最高に権威ある平和賞はイエス様からの平和賞です。今日の箇所から自分勝手に「イエス平和賞」と名付けました。イエス様の御名によって授与されるイエス様からの平和賞です。イエス様の十字架による平和を広めた人に与えられる冠です。ノーベル賞が話題となるシーズンなので、今日はそれに関連してイエス様がキリスト者に求めておられるイエス様式の平和に関して考えてみましょう。


１．ノーベル平和賞が無くなる時代は来るのか。
　ノーベル賞の中で平和賞は無くなって欲しいです。その理由はノーベル平和賞が無くなることは戦争が無くなることです。この世から戦争が無くなる日は来るでしょうか？　その答えは残念ながら「いいえ」です。この世から戦争が無くなるように呼び掛けている人はたくさんいますが、本当に無くなると信じている人はいません。戦争が無くなることを期待している人はいますが、無くなると信じている人はいません。残念ながらこの地でノーベル平和賞はいつまでも続きます。ノーベル賞の財団のお金が無くならない限り、いつまでも続きます。少なくとも、この世から戦争が止まって、ノーベル平和賞が無くなる日はありません。この世から戦争が止まらない理由は何でしょうか？

　43節から答えを探しますと隣人を愛し、敵を憎んでいるからです。隣人を愛し、敵を憎むことは私たちの生まれつきの本能です。私達が本能に忠実に従いますと争いは続きます。社会の争いは各個人が本能に忠実だった結果です。世界の戦争は各国が本能に忠実だった結果です。私達も正直に隣人を愛し、敵を憎んでいます。人間が４３節の本能から離れるのは不可能です。世界が戦争を終わりにすることは不可能です。ノーベル平和賞が要らなくなる時代も来ません。戦争が止まないこの世界にイエス様は天国からの平和を教えてくださいました。


２．イエス様の平和
　４４節「自分の敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい」
このみことば通りになったら世界は本当に争いをやめるでしょう。問題はイエス様の教えを実行することは不可能です。世界から戦争が消えることも不可能ですが、44節を実行することも不可能です。私達の本能に反することです。まったくできない事をイエス様は私達に求めておられます。皆様、どうしましょうか？

　イエス様の教えを守れないことを分かっていても、私達は44節のために生きたいです。キリスト者が４４節のために生きることはキリスト者の使命であり、人生の目標です。日本被団協の「ヒバクシャ」たちでさえ、不可能であることを分かっていながら、使命だと思って、人生の目標として頑張っていますから、私たちにはなおさらのことです。

　「ヒバクシャ」たちの声を伝えている日本被団協は彼らの活動で世界の戦争を止められると確信しているのでしょうか？　彼らの活動で戦争を止められると彼らも信じてはいないと思います。不可能であることを彼らも良く分かっています。しかし、被爆の唯一の経験者だから、人類のために長年間訴え続けました。唯一の被爆者として使命です。被爆者たちは人類への警鐘を鳴らすために使命感で訴えてきたと思います。

　その意味では私達も同じです。私達も「自分の敵を愛し、自分を迫害する者のために祈る」ことはできなくても、イエス様が私達クリスト者にくださいました使命なので、私達はこの使命を果たすために生涯頑張りたいです。44節は私達にとってできるか、できないのかの問題ではありません。私達に与えられている使命であり、生涯の目標です。


３．イエス平和賞のために
　イエス様の平和賞は誰でももらえるものではありません。ノーベル平和賞もとても限られた人だけ、限られた団体だけのものです。イエス様の平和賞をもらえる人はイエス様を信じている神の子ども達だけです。

　イエス様の平和賞を頂くために生涯というとても長い時間がかかります。ノーベル平和賞も同じです。今年は日本被団協がもらったので良かったと思いました。しかし、その反面、正直あまりにも遅かったと思いませんか？　世界の平和と原子爆弾は切り離すことができない深い関係がある、象徴的なものです。それなのにどうして今まで授賞が遅れたのでしょうか？　ノーベル平和賞もやはり人間からの賞だから、人間的な計算が優先されているのでしょうか？　世界中、再び原子爆弾、水素爆弾が本当に使われる可能性が高くなった危機感の現れでしょうか？　日本被団協は世界の平和のために使命を果たしているから、それで良いです。

　イエス平和賞の候補者である私達はどうしますか？　私達はどうすれば主から頂きた使命を果たすことができるでしょうか？　使命を果たす方法はイエス様をまねすることではないかと思います。神の子であるイエス様です。神の子ども達であるキリスト者です。天のお父様が現在、なさっていることを見て、私達もまねしてみたいです。
４５ 「父はご自分の太陽を悪人にも善人にも昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてください」ます。
４８ 「あなたがたの天の父が完全であるように、完全でありなさい。」

　神の子であるイエス様が天のお父様に従いまして十字架を背負われました。十字架を背負われたことと、十字架の上で彼らの罪を赦してくださいと祈りました。イエス様は十字架のと赦しの祈りによって使命を果たしました。

　神の子ども達である私達にも日々の十字架があります。ですから、イエス様の十字架のような場面が私にもいつかあるでしょうか？　私達もイエス様をまねして、彼らの罪を赦してくださいと祈れるのでしょうか？

　イエス様はイエス様、私は私なのに、なぜ、イエス様と私と関連付けているのか？　イエス様の平和賞はもらいたくないのに、なぜイエス様と私を結び付けようとするのか？


４．イエス平和賞の起源
　ノーベル平和賞の起源はネットで探してみてください。イエス様の平和賞の起源はアブラハムから始まります。背景はソドムとゴモラをさばかれるために主なる神がソドムを視察するためにこの地にわざわざ来られました。先にアブラハムのところに来られまして、アブラハムに大事な使命をくださいました。アブラハムに祈りの課題をあげるためでした。ソドムとゴモラはさばかれる直前ではあるが、それでも助かる最後の道はないか。さばきの寸前であるソドムとゴモラでさえ、アブラハムの平和の祈りが必要です。アブラハムは世界に祝福をもたらす人となるために選ばれました。世界の平和のために祈る人がアブラハムの使命です。アブラハムの取り成しの祈りによって助かる道もあるかも知れません。世界に平和をもたらすのが選ばれた理由であり、使命であり、人生の目標です。

　ところで、マタイの福音書によりますとイエス様はアブラハムの子です。アブラハムの使命はアブラハムの子であるイエス様の十字架によって完成されます。イエス様が完成なさった使命を私達が継承しています。私達はイエス様を信じているキリスト者であり、イエス様と同じく神の子ども達です。私達はイエス様が全うなさった使命を全うできるかどうかは分かりませんが、私達にイエス様の使命があります。イエス様の十字架の愛をこの地で全うしようと奮闘した人たちにイエス様の平和賞が冠として与えられます。

マタイ５：９
「平和をつくる者は幸いです。その人たちは神の子どもと呼ばれるからです」
神の子どもは平和を作り出すために不可能に挑戦する人たちです。

マタイ５：４５
「天におられるあなたがたの父の子どもになるためです」

　イエス様の平和賞を頂ける身分がすでに与えられています。イエス様の平和賞という生涯の目標もすでに与えられています。これから実際できるか、どうかの課題が残っています。まだ、時間は十分ありますが、私達は生涯のうち、一度「自分の敵を愛し、自分を迫害する者のために祈る」ことができるのでしょうか？　「自分の敵を愛し、自分を迫害する者のために祈る」ことは絶対不可能のように聞こえますが、教会歴史の中に意外とたくさんの信仰の成人たちがすでに完成しています。私達も不可能のように聞こえますが、いろいろの状況が整いますとできます。自分ではどうにもならないくらい主の圧倒的な愛と恵みに完全に満たされた時、そして、最後の時間となり、そろそろ天国に入ろうとして、この地の縛りから解き放される瞬間は本当の神の子どもであるなら、誰でも、できるようになります。私達にイエス平和賞を頂ける時間がまだ、残っています。祈りながら備えましょう。



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