2024年10月20日

ローマ人への手紙　8章31～39節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 盗まれない存在価値 ＞


　ネット世界になりましてとても便利な時代です。しかし、その反面、個人情報が盗まれやすい危ない時代でもあります。個人情報が盗まれる事件が多発しています。そのことで多くの人々が金銭的な被害、精神的な被害を受けています。盗まれる被害は個人情報だけではありません。

　霊的な世界でも盗まれる恐ろしいことがあります。サタンは私達の存在価値を丸ごと盗みます。サタンはアダムの時から今まで、人々の存在価値を盗んでいく専門泥棒です。サタンに存在価値を盗まれると自分は無価値な者だと思い込んで、無気力な人になります。

　エデンの園でサタンはアダムに囁きました。アダムの実存に関する根本的な質問です。「あなたは、実は神と同じだ。神はあなたを僕として扱っている。あなたがもし、神に逆らって離れて、独立すればあなたこそ神と同じ存在になるのよ」と誘惑しました。アダムはその声に騙されてしまいました。その結果、アダムの尊い身分が盗まれてしまいました。その日以来、人間は自分の存在価値を発見することが出来ず、喪失の時代を過ごしてきました。 人々はアダム以来、神に従わないことで存在価値を失ったまま暮らしています。今日、多くの人々は存在感を失ったまま暮らしています。

　創世記１：２６ 「われわれのかたちとして、われわれの似姿に造ろう」。神によって造られた人間は誰でも神のかたち、神の似姿なので、それなりの存在価値があります。 神の存在を認めていない未信者でさえ、神のかたちを持っています。神を信じなくても、尊い存在なので、主は悔い改められるあわれみの時間をくださいます。 さばきの時間を延長してくださいます。あれほど罪深い人でさえ、神は我慢しておられます。 食べ物、着る物、太陽、雨、空気、収穫をくださいます。 さばきの時間を後に、後に延期します。救いの余地を最後まで残しておきます。一人の魂が地獄に行くことを誰が一番悲しむでしょうか。 主なる神です。一人の罪人が救われることを誰が一番喜びますか？　主なる神です。一人の魂が救われると天国では喜びでいっぱいになります。

　ルカ １５:７ 「一人の罪人が悔い改めるなら、悔い改める必要のない九十九人の正しい人のためより も、大きな喜びが天にある」
ルカ １５:１０ 「一人の罪人が悔い改めるなら、神の御使いたちの前には喜びがある」

　人々は仲間と一緒にいる時幸せになります。仲間の中で存在感を感じる時、生きがいを得ます。主は私達をとても特別な者として受け入れてくださいました。神の子どもとして聖霊をくださいます。サタンが私達からいろいろのものを盗むことができても、神の子どもである身分を盗むことはできません。それをもう少し詳しく今日のみことばを中心に見たいと思います。


１．天のお父様が私の味方
　３１節「神が私たちの味方であるなら、だれが私たちに敵対できるでしょう」
サタンは私達と神の間を隔てようとしています。既に救われているクリスチャンでさえ幸せになれないようにします。被害意識を心に植え付けます。この地において何の影響力のない者となるように、世に光を照らせないようにします。罪によって、失敗によって、罠を仕掛けます。その罠に落ちた人間は「あ、もう神は私の味方にはならない」と錯覚します。私達が信仰生活の中、苦しい時期がこのようなときです。試練も辛いですが、それより私達をもっと煩わすものは「神がもし私の味方でなければどうするの、 この試練がその証拠であるならどうするの」という不安です。ヨブを最も苦しめたことがこれです。

　家族、財産、病気、友達の非難より、もっと苦しいことが「神に捨てられているかも」と言う恐怖 でした。詩編 22:1「わが神   わが神    どうして私をお見捨てになったのですか。私を救わず遠く離れて おられるのですか。私のうめきのことばにもかかわらず。」
ダビデの嘆きも同じことです。

　しかし、今日の聖書を見ると何があろうと神は永遠に私達の変わらない味方です。 いつまでも、いかなる状況に置かれても、神は私達の味方です。弱い人間は神を忘れる時もあります。しかし、神は変わりありません。

　ルカ１５章に放蕩の息子のたとえ話があります。次男が家に帰ってきたとき、お父さんは最後まで次男の味方でした。長男があれほど怒って、弟や父を非難してもお父さんは最後まで次男をかばいました。 信仰が弱い時には私の罪や弱点、過ちが神の恵みより大きいと勘違いして落ち込みます。

　しかし、そうではありません。イエス様の十字架の購いこそ、私達のいかなる罪より大きいです。神様の大きくて、広い恵みが我らの全てのいかなる過去の罪、現在の罪、未来の罪を覆います。 パウロもこの真理を悟るまではとても苦しかったわけです。

　ローマ ７：２０－２５ 彼は心の中で二つのものが激しく戦っていることを悟りました。心はイエス様の戒めを守ろうとするのに、体がいつも罪に負けているのを見て嘆きました。 しかし、神の恵みの広さ、深さが彼の罪の性質より遙かに大きいことが見えたので彼は素晴らしい ８章の告白が出来ました。主はいつまでも私達を弁護してくださるお方です。いつも同じ罪に堕ちこぼれる弱さを持っていても神が私の味方であることは変わりありません。 神は永遠に私達の味方です。神の心が変わらない限りこの真理は変わりません。そして、神は変わらないので安心です。サタンは神と私の関係を壊すことは出来ないし、これらの真理を私達から盗むことも出来ません。


２．天のお父様の選び
　ローマ ８:３３ 「だれが、神に選ばれた者たちを訴えるのですか。神が義と認めてくださるのです」 訴えと義は法廷用語です。私達は被告人です。サタンが訴えています。サタンは神の選ばれた民を告訴するのが上手です。正しい人でさえ罪人として告訴します。ヨブがそのケースです。サタンは私達に対しても訴えています。残念なことは私達に過ちや足りないところがあります。

神は私達の弱さ、足りないところ、弱点、人格の矛盾など、全ての事がご存じでありながら私達を お選びになりました。 実はわざと無きに等しい私達をお選びになりました。

Ｉコリント 1：２８―２９
「有るものを無いものとするためにこの世の取るに足りない者や見下されている者すなわち無に 等しい者を神は選ばれたのです。肉なる者がだれも神の御前で誇ることがないようにするためです。

　会社は優秀な人を求めていますが、神は無きに等しい人を選びます。 神は私達の履歴書を参考にしません。華やかな履歴書は神の前では全く役に立ちません。神に選ばれた神の子どもは捨てられません。神は私達を神の子どもとしてお選びになったことを後悔しません。 神は自らの栄光のために私達を選んだことを後悔しません。

　私達に罪がある時は厳しく罰せられることはあります。しかし、その理由で永遠に捨てられる事はありません。神のご栄光の為です。私達が罪を犯さないように厳しい環境に置かれる事はあります。金銭的な罪があると貧しくなることはあります。体で罪を犯しますと体が病気になることはあります。暇の時間があるので、罪を犯しますと忙しい生活になることはあります。しかし、神のお選びが無効になることはありません。ですから、神に選ばれている私達の身分をサタンが盗むことは出来ません。


３．キリストからの愛（離れさせるものがない）
　お金のせいで家族が家族を殺している時代になりました。別に大したことでもないのに、簡単に人を殺す時代になりました。絶対切れてはいけない家族の絆が切れています。このような時代こそ私達に対する主の愛がはっきりと現れるでしょう。十字架の愛を力強く現わしてほしい時代になりました。私達の魂にイエス・キリストの血潮の愛が流れています。誰も、何も主の愛を止めることは出来ません。力強い十字架の愛で主と私達は繋がっているのでこの身分は盗まれることはありません。

　３５節「だれが、私たちをキリストの愛から引き離すのですか？　苦難ですか？　苦悩ですか？　迫害ですか？　飢えですか？裸ですか？　危険ですか？　剣ですか？　38、３9 節「死も、いのちも、御使いたちも、支配者たちも、今あるものも、後に来るものも、 力あるものも、高いところにあるものも、深いところにあるものも、そのほかのどんな被造物も」

　パウロは彼の弱さとは関係なく主に愛されている存在であることを自覚して ３７節のように告白し ます。「これらすべてにおいても、私たちを愛してくださった方によって、私たちは圧倒的な勝利 者です。」

　私達もこの確信を持ちたいです。私の弱い部分より主の恵みの部分が大きく見える時、この確信に満たされます。私の弱い部分（私の内面）、神の恵みの部分、救いはこの二つの部分が同時に見えることです。どうにもならない人間の罪深さ、そして、その罪を赦してくださる神の愛が一つになるとき救いが 現れます。


結論
私達は主にあって尊い存在価値があります。
１）神が私達の味方になってくださるからです。それには限りがありません。
２）神が私達を選んでくださいましたからです。神の選択には後悔という言葉がありません。ヨハネ 15:16 あなたがたがわたしを選んだのではなく、わたしがあなたがたを選び・・・
３）主から愛を受けているのが私達の存在価値です。

　私の存在価値を私の内面から探そうとすると疲れ果ててしまいます。私の内面にはもともと価値あるものがありません。もともと存在価値を持っていないのに、人々は社会的な身分、財産、名誉から自分の価値を見つけ ようとしています。しかし、それは虚しくなるばかりです。そこには喧嘩、トラブル、戦争しかありません。なぜなら満足がないからです。或いは他の人より高く評価されたくて他人を引き下ろすからです。神のみことばから私達の存在価値を発見しましょう。既に見つけている方はもう一度再確認しましょう。自分自身の存在価値に満足することも大事だし、他人が私の存在価値を認めてくれることも大事ですが、最も大事なことは神が私の価値を認めてくださることです。

　神は私達を神の子どもとして、尊い者としてご覧になります。私達の存在価値をあまりにも値下げすると主が悲しみます。神の子どもである私達の存在価値は高いです。何ものでもない漁師ペテロを「人をつる漁師」として高く評価してくださったイエス様、 今日も私達を高く評価してくださり、神の栄光を現すところにこれから用いてくださいます。 神様の視線で私達の存在価値を新しく見つけましょう。



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