2024年6月23日
創世記 21章8〜13節
＜ 同じ家に生まれたのに、違う人生 ＞
創世記２１章に二人の子どもがいました。一人はイシュマエル、もう一人はイサクです。二人の運命を見るといろいろ考えられることがあります。この二人は同じアブラハム家で生まれました。二人はお父さんが同じです。ですから、二人は兄弟です。しかし、兄弟なのに、この二人は一緒には生活できない運命でした。特に二人が同じ家で一緒に幸せな暮らしをすることはできない運命でした。二人はお母さんが違います。
８ その子は育って乳離れした。アブラハムはイサクの乳離れの日に、盛大な宴会を催した。
その子はイサクを指します。イサクはアブラハムとサラの間に生まれた子どもです。アブラハムが100歳、サラが９０歳で生んだ奇跡の子どもです。なぜ奇跡かと言うと母のサラは医学的には子どもを産めない体になったのに、神様の約束と奇跡によって生まれたからです。ですから、イサクが生まれたことはアブラハム家全体の大喜びでした。ですから、イサクが乳離れの日に盛大な宴会を催しました。この盛大な宴会に誰もが喜んで、笑いました。イサクの名前の意味が笑いです。
しかし、この家で二人だけは笑うこともできない、喜ぶこともできません。その二人とはイサクの兄であるイシュマエルとイシュマエルの母、ハガルです。イシュマエルはイサクよりも13歳年上の兄です。イシュマエルもアブラハムの子どもですが、母のハガルが奴隷です。イサクが生まれる前までは、イシュマエルが唯一のアブラハムの子であり、唯一の後継ぎでした。イシュマエルはアブラハム家の希望、未来、喜びであり、笑いでした。
しかし、イサクが生まれたとたん運命が変わりました。いきなり、アブラハムの子どもから、奴隷の子どもに変わりました。息子の身分から、しもべの身分となりました。いつまでもアブラハム家に住むはずでしたが、追い出されることになりました。だれからも可愛がってもらったのに、イサクのせいで無に等しいものとなりました。イサクに比べると母が違うだけです。お父さんは同じアブラハムです。イサクよりも13年も早く生まれたのに、何の意味もありません。イシュマエルから見ればイサクのせいで、何もかも奪われました。ですから、イサクの存在そのものが大嫌いです。嫌いなので、自然に現れます。乳離れしたばかりの小さいイサクをからかいました。１３歳少年、思春期の中学生のごく普通の反応でした。イサクのすべてが大嫌いです。
９ サラは、エジプトの女ハガルがアブラハムに産んだ子が、イサクをからかっているのを見た。
こともあろうに、イシュマエルがイサクをからかっているのをイサクの母、サラが目撃してしまいました。サラがそれを見て腹が立ちました。奴隷の子どもが私の可愛い息子をからかうなんてあり得ないことです。イシュマエルが生まれてから今まで13年間、気に入らなくても我慢するしかありませんでした。アブラハム家の唯一の跡取りなので、我慢しました。しかも、サラの提案によって生まれた子なので、サラにも責任を感じています。創世記１６：２「サライはアブラムに言った。「ご覧ください。主は私が子を産めないようにしておられます。どうぞ、私の女奴隷のところにお入りください。おそらく、彼女によって、私は子を得られるでしょう。」アブラムはサライの言うことを聞き入れた。」
１３年間は仕方ない状況でしたが、現在はサラの子が生まれました。イシュマエルがイサクをからかうことはサラへの冒涜です。
１０ それで、アブラハムに言った。「この女奴隷とその子を追い出してください。この女奴隷の子は、私の子イサクとともに跡取りになるべきではないのですから。」
あまりにも腹が立って、主人のアブラハムに極端な要求をしました。「この女奴隷とその子を追い出してください。この女奴隷の子は、私の子イサクとともに跡取りになるべきではない。」
サラがここまで極端な要求をしたのは多分、これに似ていることが今まで何回もあったからだと思います。イシュマエルはイサクを妊娠したその日から今までイサクのことが嫌いです。イシュマエルからすれば悔しいです。母のハガルも悔しいです。イサクが生まれるまでは跡取りだったのに、今は跡取りではありません。アブラハムの子どもであることは間違いないのに、財産は一つももらえません。ハガルはアブラハムと結婚したわけではありません。単に子どもが欲しいからだけです。サラの子どもとするために、ハガルの体を借りているだけです。ハガルの人生を何だと思いますか？ イシュマエルの人生は何でしょうか？ アブラハム、サラ、この二人はハガル、イシュマエルの人生を何だと思っているでしょうか？
イシュマエルの人生はこれからどうなりますか？ アブラハムとサラの個人的な欲望のせいで生まれたのに、要らないから追い出すことは何でしょうか？ こんなことをして良いでしょうか？ 今まではアブラハムとサラ中心に聖書を見て来ましたが、今日は一度ではありますが、ハガルとイシュマエル中心に聖書を見ましょうか。
１１ このことで、アブラハムは非常に苦しんだ。それが自分の子に関わることだったからである。
アブラハムからすればイサクも子どもですが、イシュマエルも子どもです。アブラハムからすればサラもイサクを産んでくれた大事な妻ですが、ハガルもイシュマエルを産んでくれた大事な人です。イサクも可愛いですが、イシュマエルも13年間可愛い子どもでした。サラは簡単に「イシュマエルを追い出しなさい」と言いますが、簡単に追い出すわけにはいきません。だからと言ってこんな憎しみ合う中、一緒に暮らすわけにはいきません。アブラハムには選択できない難しい問題です。それで、神様に答えを求めました。
１２ 神はアブラハムに仰せられた。「その少年とあなたの女奴隷のことで苦しんではならない。サラがあなたに言うことはみな、言うとおりに聞き入れなさい。というのは、イサクにあって、あなたの子孫が起こされるからだ。
主なる神が明確に答えてくださいました。神様は「その少年と女奴隷」と表現しました。イシュマエルはアブラハムの息子ではありますが、この家では少年と女奴隷の息子です。これはサラを基準にした線引きです。サラから見れば女奴隷、そして、女奴隷から生まれたあの息子です。
それだけではなくて、神様は全面的にサラの味方になってくださいました。「サラがあなたに言うことは
みな、言うとおりに聞き入れなさい」
イサクを通してアブラハムの子孫が増えるのが神からの約束でした。そう言えば、イシュマエルが生まれたのはアブラハムとサラの過ちです。神様は子どもが生まれるまで待ちなさいと言われましたが、女奴隷から生みなさいとは言っていません。アブラハムとサラが待ちきれなかったせいで、イシュマエルが生まれました。生まれるはずのない子どもが生まれました。
イシュマエルからすれば、ハガルからすればこんな悔しいことがありません。アブラハムにも悔しいし、サラにも悔しいし、特に神様にも悔しいです。イシュマエルには何も悪いことがないのに、なぜ、人生こうなってしまったでしょうか？ イシュマエルが生まれたのは誰の責任でしょうか？ イシュマエルがこの家から追い出されるのは誰の責任でしょうか？
＊母ハガルの責任でしょうか：女主人のサラの前で傲慢だったからでしょうか？
＊父アブラハムの責任でしょうか：自分勝手に生んでおいて、今になって要らないから知らんぷりする父が悪いでしょうか？
＊主なる神の責任でしょうか？：イシュマエルも生まれたくて、生まれたわけではないのに、選択した人生ではないのに、なぜ、無理やりに強いられるばかりなのか？
例えば、主なる神様がもうちょっと早めにイサクを下さったら、イシュマエルが生まれるはずがなかったのに。イシュマエルの目には神様も一部分責任があるように感じます。
＊赤ちゃん、イサクのせいでしょうか：イサクは赤ちゃんなので、何も答えられないから責任は問いませんが、イサクのせいでしょうか？
＊イシュマエル自身のせいでしょうか？：イサクを愛しないで、からかうことをしたからでしょうか？
＊イシュマエルが生まれたこと自体が悪いでしょうか？
イシュマエルは誰かに、責任を負わせたいですが、誰が良いでしょうか？
１３ しかし、あの女奴隷の子も、わたしは一つの国民とする。彼も、あなたの子孫なのだから。」
やはり、主なる神さまは公平なお方です。イシュマエルが悔しい人生で終わってしまうと不公平の神ですが、イシュマエルも気にかけてくださるので、公平のお方です。ハガルとイシュマエルを追い出しなさいと言われた時にはとても、ひどいお方だと誤解しましたが、アブラハムの代わりに二人の未来を予め備えられたことはやはり、誰をも愛しておられる主なる神です。
イシュマエルが今はアブラハムの家から追い出されますが、これで人生終わりではありません。別の意味でアブラハムの子孫として一つの民族になります。イシュマエルは救いの歴史において主演ではありません。最初は主演だと思っていましたが、主演のイサクが生まれることで、いきなり助演となりました。彼は父の家から追い出されたことで、アブラハムとイサクに怒っていたと思います。主なる神にも怒っていたと思います。彼自身の人生に対しても怒っていたと思います。しかし、彼には神様からのあわれみと導きが必要です。主なる神は彼もあわれんでくださいました。彼は主なる神さまのあわれみを求められる信仰があったのでしょうか？ イシュマエルには人生の悔しさがありましたが、彼はその悔しさの故にどちらの選択をするのでしょうか？ 悔しさの故に復讐するのでしょうか？ 悔しさがあっても乗り越えて神の栄光を現わしたのでしょうか？
私達にも似ている悔しさがあります。その悔しさの故に私達のも未来を決める時があります。その悔しさのゆえに何かを決めます。悔しさがあっても主の栄光を求める人に神の導きがあります。それでは、私達には主なる神のあわれみと導きを求められる信仰があるのでしょうか？
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