2024年5月5日
ダニエル書 5章1〜9節
＜ 次世代の希望と影 ＞
社会も教会も、次世代の話が多いです。次世代の話が多いことは未来の希望を語ることなので、良いことです。しかし、そのくらい現在は厳しい事を意味します。現在が元気に溢れていると未来の希望を語る必要もありません。現在が厳しいので、未来の希望のために次世代を話します。次世代、次世代と言い続けると次世代の皆さんはますます負担を感じます。各家庭には信仰を始めた一世代があり、それを受けついだ二世代があります。会社にも事業を始めた一世代があり、それを受け継いだ二世代があります。一世代と二世代は似ている面もあれば、全然違う面もあります。
一世代と二世代は親子関係です。親子関係なので、大体似ているようですが、ずいぶん違います。その違いで何々家の運命を左右します。現在の教会を支えている私たちの世代がいます。そして、次の世代を支える若い世代がいます。
さて、今日の箇所から私たちはお父さん世代と子ども世代の違いを見ることができます。ベルシャツァル王はネブカドネザル王の息子です。ネブカドネザル王の時代が終わりました。ネブカドネザルの絶対権力もいつまでも続くだろうと思いましたが、神さまの時間通り終わりました。バビロン帝国の驚異的な力もいつまでも続くかなと思いましたが、早く終わりました。ネブカドネザル王の息子であるベルシャツァル王の代で終わりました。ネブカドネザル王が金の像まで造って、帝国の運命を長引きしようとしましたが、意外と早く終わりました。こんなに意外と早く終わった理由の中に愚かな息子、ベルシャツァル王がいます。この国はなぜ、ベルシャツァル王の代で終わってしまったのかその理由をみたいです。
１．傲慢なベルシャツァル王
ベルシャツァル王は千人の貴族たちのために大宴会を催し、千人の前でぶどう酒を飲んでいました。ベルシャツァルは、酒の勢いに任せて、父ネブカドネツァルがエルサレムの宮から持ち出した金や銀の器を持って来るように命じました。王とその貴族たち、および王の側室たちや侍女たちがその器で飲むためでした。そして、エルサレムの宮から持ち出した金や銀の器でぶどう酒を飲みました。彼らはぶどう酒を飲み、金、銀、青銅、鉄、木、石の神々を賛美しました。
ベルシャツァル王はなぜ、こんなに無茶なことをやったのでしょうか？ 彼はなぜ、こんなに傲慢なことをしたのでしょうか？ 彼の行動、言動を一つずつ分析してみたいです。彼は絶対的な権威を皆に見せたい誘惑がありました。王様としての絶対的な権威は王様らしく上手に統治することで、自然に現れるはずです。
しかし、彼にはそのような能力は無かったようです。父ネブカドネザル王にはありました。ネブカドネザル王は自ら出陣して、多くの国を征服し、国土を広げました。ネブカドネザル王は性格が激しく、変人のようなところはありましたが、それでも常に国の未来を心配し、彼の手で立てあげたバビロンの未来に関して思い巡らしました。ネブカドネザル王は国を強くするために、征服した周辺の国から人材を連れて来て、バビロン帝国の公務員にしました。どうすればバビロンの栄華を長く続けるかを考えました。王としての仕事をしました。
しかし、その息子であるベルシャツァル王は国のためにやったことが何もありません。全部父のネブカドネザル王からただでもらっただけです。国も、領土も、王様の権威も、各国から持ってきた財宝も、ただでもらっただけです。これらの物を生かして、どのようにバビロンを治めるかは悩んでいません。彼は生まれたときから王子であり、皆が彼に従いました。生まれたときから慎むこと無し、遠慮すること無し、謙遜を学ぶことができない環境でした。彼はダニエル5章の最初から、最後までずっと傲慢でした。ダニエルに対してもずっと傲慢な態度でした。親の世代が残したものが次の世代になかなか続かない理由をベルシャツァル王が全部見せました。ベルシャツァル王は父からもらったエルサレム宮の金の器でぶどう酒を飲みながら、遊びに夢中になっていました。エルサレムの宮から持ってきた金の器で酒を飲みますとユダヤ人から猛反発があることは考えなかったでしょうか？
２．壁に現れた人間の手の指
主なる神はネブカドネザル王の時も主が生きておられることを見せてくださいました。二回の夢を通して見せてくださいました。ベルシャツァル王の時はもっと明確に、皆が見ている中、見せてくださいました。人の手の指が現れて何かを書き始めました。ベルシャツァル王の顔色が変わり、動揺しました。腰の関節はゆるみ、膝はがたがた震えました。
ベルシャツァル王は大声で叫んで、呪文師、カルデア人、占星術師などの補佐官たちを呼びました。「この文字を読んでその意味を私に示す者には、紫の衣を着せて首に金の鎖をかけ、この国の第三の権力を持たせる。」と約束しました。しかし、誰もその文字を読むことも、その意味を告げることもできませんでした。ベルシャツァル王はひどくおびえて、顔色が変わり、貴族たちも途方に暮れました。楽しい宴会は悲鳴が響き渡る恐怖の場と変わりました。再び神の人、ダニエルが登場して、主なる神が生きておられることを証明する場面となりました。
３．文字を読み、その意味を告げるダニエル
ダニエルはベルシャツァル王のために文字を読んで、その意味を告げました。その前に、ダニエルは根本的な問題を指摘しました。ダニエルの口から語られたベルシャツァル王の問題はこうです。まず18節です。国と偉大さと栄光と威光は主なる神からしばらく与えられるものです。ベルシャツァル王が父のネブカドネザル王からもらうものではありません。ネブカドネザル王も彼自身が奮闘して獲得したものではありません。ネブカドネザル王も初めは彼自身の能力によって帝国を立てあげたと傲慢でした。ネブカドネザル王の前に、諸民族、諸国民、諸言語の者たちがことごとく、震えおののくのを見て、傲慢になりました。何をやっても良いと思いました。ですから、ネブカドネザル王はやりたい放題のことをやりました。
彼は思いのままに人を殺し、思いのままに人を生かし、思いのままに人を高め、思いのままに人を低くしました。彼自身が神だと勘違いするくらいになりました。ですから、偶像の金の像を作りました。ネブカドネザル王は人間なのに、心が高ぶり、高慢になって、神のようなふるまいをしたので、主なる神は彼をさばかれました。ある日突然、王座から引きずり降ろされ、栄光は取られました。人の中から追い出され、心は獣と等しくなり、野ろばとともに住み、牛のように草を食べることになり、からだは天の露にぬれました。人間ではなく、獣となりました。その後、主なる神が彼をあわれんでくださいまして、人間の心をくださいましたので、彼は人間に戻りました。そして、大事なことを悟りました。いと高き神が人間の国を支配し、みこころにかなう者をその上にお立てになることを悟りました。その悟りと同時にネブカドネザルは人間の心が与えられ、王座も回復しました。
これらのすべての事を子どもであるベルシャツァル王もそばで全部見て来ました。父ネブカドネザルがユダヤ人の神をほめたたえることを彼も若い時から聞きました。父ネブカドネザルの生涯に何回もありました不思議なみわざ、現象を彼も見て来ました。それなのにどうして、主なる神に低くならなくて、高慢になったのでしょうか？ 事もあろうに、エルサレムの宮から持ち出した金や銀の器で飲みました。聖書の神に挑発するかのように金、銀、青銅、鉄、木、石の神々を賛美しました。
ベルシャツァル王はすべて知っていながら、心を低くしないで、変人のネブカドネザル王でさえやっていない高慢なことをしました。その結果、神のさばきも早く、何とその日ベルシャツァル王の命は終わりました。
４．私達への教訓
ダニエル書5章が私たちに教えくれるものは何でしょうか？ 一世代と二世代、父と子ども。偉大さと栄光と威光は神さまが人間にくださるものであることです。一般人の私達には偉大さと栄光と威光まではないので、財産とか、地位とかなどです。これらのものはダニエル書を見ると父なる神から頂くものです。しかも、しばらく頂くものです。ネブカドネザル王のように個人の優れた能力で手に入れるものではありません。ベルシャツァル王のように親から受け継ぐものでもありません。ダレイオスのように、隣人から奪い取る物でもありません。ベルシャツァル王が殺されてからメディア人ダレイオスがおよそ六十二歳でその国を受け継ぎました。バビロンの代わりにペルシアが立ち上がりました。ベルシャツァル王の代わりにダレイオス王が王座に座りました。長く続くこともなく、早く次から次へと国が変わりました。最後はメシアが来られ、神の国が始まります。私達が持っているすべてのものも同じくなります。謙遜に過ごせば、私の手の中に長くとどまりますが、高慢になると私の手から早く無くなります。最終的には謙遜でも、高慢でも私の手の中から無くなります。信仰者である私たちは無くなる前に、主の御国のために活用する方法があります。
信徒の皆様は受け継がせる一世代の方ですが、受け継ぐ次世代の方です。受け継がせる世代でも、受け継ぐ世代でも、信仰が必要です。私達は次の世代に立派な信仰を受け継がせることができるようでしょうか？ 私たちは上の世代から立派な信仰を受け継ぐ人になりたいです。
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