2023年12月3日
創世記 18章22〜33節
＜ アブラハムの取りなしの祈り ＞
人々は旧約の神と新約のイエス様と別の神だと認識しています。もしかして、私達キリスト者の中でも、別の神として認識しているかも知れません。父なる神に対しては厳しいイメージが強いです。信仰生活を守らないと厳しい罰を恐れています。信仰生活を守らないと厳しい罰よりは受けるべき恵みを受けられないので、そのこと自体がすでに罰です。逆に罰せられても、目を覚まして、信仰を回復するのであるなら、それは罰ではなくて、恵みです。
御子イエス・キリストに関しては愛と赦しのイメージが強いです。しかし、旧約の神と新約のイエス様は三位一体の同じ神です。四つの福音書が最初に努めているところが、何とかして旧約の父なる神と新約の御子イエス・キリストの深い関係をつなげようとする工夫でした。
人々がこのように誤解している理由は何でしょうか？ その理由は旧約聖書には残酷な物語が多いからだと思います。ノアの箱舟の時、人々は洪水で全滅しました。アブラハムの時、天から雨のように落ちる炎によってソドムとゴモラが滅びました。エジプトから出てきたイスラエルの民がカナン住民を全滅させました。
新約のイエス様が愛の神であるなら、旧約の父なる神も同じく愛の神です。旧約の神も愛の神であり、とても慈しみ深い神、とても憐れみ深い神です。今日はその話をさせて頂きたいと思います。
さて、食事が終わった二人の天使はソドムに向かっていきました。神様とアブラハムだけが残っています。神様はなぜ、残ったのでしょうか？ まだ、アブラハムに話したいことがあるのでしょうか？ すでに大事なお知らせは全部伝えました。
子どもが生まれることを伝えました。ソドムとゴモラが裁かれることも伝えました。これ以上、アブラハムに伝えることはありません。それなのに、何を待っているのでしょうか？ アブラハムの弁護を待っているのではないでしょうか？ 今までただ聞いていたアブラハムが恐れながらソドムのために弁護しました。２３節「アブラハムは近寄って言った」 アブラハムが神様に言えることは二つの中で一つです。
神様がなさろうとするソドムのさばきを賛成するか。反対するか。アブラハムが神様に賛成したり、反対したりする資格はありません。アブラハム自身が言っているように「わたしはちり灰に過ぎない」ものです。けれども、神様が彼を選んで、高く評価して下さいました。18節「アブラハムは必ず大きな強い国民となって、地のすべての民がみな、彼によって祝福を受けるのではないか」
彼はソドムのさばきを賛成しても良いです。なぜなら、ソドムの王やその民は恩知らずの人だからです。ソドムにとってアブラハムは命の恩人なのに、感謝の気持ちはなかったようです。アブラハムはただの寄留者だから無視されていました。アブラハムがソドムのさばきを賛成しても良いのはソドムと何の関係もないからです。助かっても、死んでも何の関係もない異国人です。
それでも、アブラハムはソドムのさばきを反対しました。なぜなら、親戚のロトの家族が住んでいたからです。もう一つはいくら堕落している町でもその中には正しく生きている人がいるはずです。ロトの家族もいるし、ロトの影響を受けて正しく生きている人もいるはずです。いくら堕落している町でも、正しく生きている人を堕落している人と一緒に滅ぼしてはいけません。義人を一緒にさばかれるのは正義の神ではありません。全世界をさばかれる神は最高の正義ではないといけません。神の栄光のために、神の聖なる御名のためにも正義が求められます。２５節は最もの事です。「正しい者と悪い者とを一緒に殺すようなことを、あなたは決してなさらないでしょう。正しい者と悪い者とを同じようにすることも、あなたは決してなさらないでしょう。全地をさばく者は公義を行うべきではありませんか」。旧約の神は残酷なお方ではありません。私たちは旧約の残酷な箇所を読む時、神を遠ざけるのではなくて、私たちの中にある罪を恐れ、罪を遠ざける人になりたいです。神を遠ざけるのではなくて、神に憐れみを求めたいです。さばきの中でも、怒りに中でも、憐れみを忘れない神です。
正義と公道の神です。正義と公道によって選ばれたアブラハムです。アブラハムも段々、神に似ていて、正義のアブラハム、あわれみに満ちたアブラハムとなりました。神とアブラハムが共同でやっていることは何でしょうか？ ソドムが救われる方法、ソドムが助かる道を捜しています。
２４ 五十人の正しい者のためにこれをゆるされないのですか。
２６ 主は言われた、「もしソドムで町の中に五十人の正しい者があったら、その人々のためにその所を
すべてゆるそう」。
２８ もし五十人の正しい者のうち五人欠けたなら、その五人欠けたために町を全く滅ぼされますか」。主は言われた、「もしそこに四十五人いたら、
滅ぼさないであろう」。
２９ 「もしそこに四十人いたら」。
主は言われた、「その四十人のために、
これをしないであろう」。
３０ もしそこに三十人いたら」。
主は言われた、「そこに三十人いたら、
これをしないであろう」。
３１ もしそこに二十人いたら」。主は言われた、「わたしはその二十人のために
滅ぼさないであろう」。
３２ もしそこに十人いたら」。主は言われた、「わたしはその
十人のために滅ぼさないであろう」。
何回も、何回も「赦す、滅ぼさない、しない、ほろぼさない」だらけです。この箇所には神の残酷ではなくて、神の憐れみに満ちています。神様は一体ソドムを滅ぼすために来られたのでしょうか、滅ぼさないために来られたのでしょうか？
アブラハムはなぜ、五十人から始まったのでしょうか？ そして、なぜ、十人で終わったのでしょうか？ アブラハムが計算した50人と10人の根拠は何でしょうか？ 自分の推測ですが、たぶんロトを期待していたのではないかと思います。ロトの家族がソドムで影響を与えたのであるなら、50人です。全く影響を与えていないとしてもロトの家族と僕たちだけでも５０人はいるはずです。しかし、ロトの家庭もソドムで暮らしているうちに、悪影響を受けて、堕落しました。その理由で45人、40人、30人、20人、１０人まで下がりました。１０人はロトの直系家族だけです。ロト夫婦、娘二人、娘の花婿二人ともう少し。残念ながらソドムには義人が１０人もいませんでした。ソドムには義人が１０人のところか、ロト一人しかいませんでした。そのロト自身も罪の世界で嘆いていて他に人に影響を与えることは出来なくなっていました。
結論
今日の箇所を通して、私たちのこれからの生き方を学ぶことが出来ます。アブラハムは25年間神さまを信じているうちに、神さまに似ている人に変わりました。柔和な人、愛の人、あわれみ深い人、恩知らずの人にも赦す人に変わりました。ですから、神さまも彼の願いに特別、叶えてくださいました。
アブラハムの祈りは悪に満ちている世界に対してキリスト者に求められる姿勢です。罪を悔い改めなさいと呼びかけます。同時にそれでも悔い改めない人のために取りなしの祈りをすることです。取りなしの祈りを待っている神さま、取りなしの祈りを喜んで受け入れる神さま。私たちは誰のために祈ったら良いでしょうか？ 私たちは現在、どのくらい神さまに似ている姿に変わったのでしょうか？ ソドムのようにイエス様の知らない９９％のほとんどの人達に囲まれている私達です。私たちは日本に住んでいる９９％のためにアブラハムの祈りができるのでしょうか？ 主なる神は私たちの祈りの故に彼らを赦してくださるのでしょうか？ ソドムはすでに終わりましたが、私たちによるアブラハムの祈りは今も続いています。
このペ−ジのTOPへ 前週へ 翌週へ 一覧表へ戻る