2023年11月19日

創世記　18章1〜8節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ アブラハムのもてなし ＞


　現在、中東地域に再び紛争が始まりました。他の国まで参戦する戦争にはならないように祈るばかりです。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は似ている宗教です。三つの宗教の共通点はアブラハムです。


１．アブラハムの最上のもてなし
　今日の箇所から二つの質問をさせて頂きます。
（１）アブラハムは三人の旅人に、なぜここまでもてなすのか。
（２）三人の旅人はなぜ、アブラハムのところに来たのか。

　神様はある日、突然、三人の旅人であるかのような姿で、アブラハムのところに行かれました。「昼の暑いころで、彼は天幕の入口にすわっていた」
一日の中、一番暑い時、何もやりたくない時、厄介な旅人が来ました。アブラハムはその時、暑くて休んでいましたが、丁度、休みの時間に来ました。最初、アブラハムはこの三人が神様だとは思っていなかったようです。けれども普通の人ではないことは感じていたようです。

　「三人の人が彼に向かって立っていた」
アブラハムは三人の旅人から積極的に何か頼まれたわけではありません。暑いので、休ませてくださいとか、水でも、食べ物でも何でも下さいと求められたわけでもありません。アブラハムに向って立っていたという意味はアブラハムが善意でもてなしてくれればそれは感謝、反対に何の反応もなければ通り過ぎるつもりです。それを決めるのはアブラハムです。

「彼はこれを見て、天幕の入口から走って行って彼らを迎え、地に身をかがめて」
アブラハムがまるで僕であるかのような姿勢で仕えました。アブラハムの家には僕がたくさんいます。彼が自らここまでしなくても、一人の僕をやらせれば良いのに、彼自らやりました。一つ一つが全部真心からのもてなしです。

３節「わが主よ・・・どうぞしもべを通り過ごさないでください。
４節　あなたがたは足を洗って、この木の下でお休みください。
５節　せっかくしもべの所においでになったのですから」。
６節　アブラハムは急いで・・サラにやらせます。「急いで細かい麦粉三セヤをとり、こねてパンを造りなさい」。
７節　牛の群れに走って行き、柔らかな良い子牛を取って・・・急いで調理した。
８節　そしてアブラハム・・木の下で彼らのかたわらに立って給仕し、彼らは食事した。
私たちはアブラハムから大事なことを学びました。「受けるよりは与える方が、さいわい」というイエス様の教えの良き例を学びます。

　さて、ここで一つ目の質問はこうです。なぜ、アブラハムは見知らぬ旅人にここまでもてなしたのか。アブラハム自身もカナン地では旅人なので、旅人を憐れむ心があったでしょうか？

　アブラハムはなぜ、見知らぬ旅人に、地に身をかがめたのでしょうか？　彼らが神と天使であることが分かったからでしょうか？　確かに、アブラハムは信仰の人だからそれは感じ取った可能性はあります。参考に１９章を見るとソドムに住んでいたロトも不思議に同じく精一杯もてなします。けれども、新約聖書のへブル人への手紙を見ると彼は単純に旅人だと思ったようです。

へブル１３：２「旅人をもてなすことを忘れてはならない。このようにして、ある人々は、気づかないで御使たちをもてなした。」
アブラハムは旅人だと思ってもてなしたのに、それが実は神のみ使いだったと後で気付いたという意味です。

　さて、アブラハムが旅人を大事にしたので、私たちもお客様を大事にしましょうという、メッセージで終わってしまうとキリスト教も、イスラム教も何の違いもありません。旅人に親切にすることは日本に住んでいる多数の人が普段からやっていることです。旅人に親切にすることはキリスト教だけではなくて、イスラム教も、ユダヤ教も同じくとても強調していることです。戒めの一つです。


２．三人の旅人がアブラハムに来られた理由
　アブラハムとサラの間に子どもを下さるために来ました。
１０節「来年の春・・あなたの妻サラには男の子が生れているでしょう」

　これらの三人は実は天の神様と二人の天使でした。アブラハムとサラの間にはまだ、子どもがいませんが、いよいよ子どもを与えて下さるために来られました。

　神様はなぜ、アブラハムとサラに子どもを与えて下さるのでしょうか？　アブラハムのもてなしのご褒美でしょうか？　それは違います。アブラハムはもっと祝福されるために、旅人をもてなしたわけではありません。

　未来、自分もどこかで三人の旅人にお世話になるかも知れないので、安全策としてもてなしたわけでもありません。自然に身についている良い習慣です。神様がアブラハムとサラにここで、子どもを授けられる理由は今まで長年間約束されたことをやっと成就して下さるためです。

　神様がアブラハムのところに来られた理由はもう一つあります。これから行おうとする計画をアブラハムに知らせるためです。
１７節「わたしのしようとする事をアブラハムに隠してよいであろうか」
神様がアブラハムのところにわざわざ来られた理由は食事のためではありません。アブラハムに子どもの誕生を知らせるためです。もっと大事な理由はソドムとゴモラを視察するためです。視察の結果によって、ソドムとゴモラは裁かれます。さばきの前に、ソドムに関して事前にアブラハムに知らせるためです。

　地のすべての民がみな、アブラハムによって祝福を受けるので、ソドムとゴモラがアブラハムによって助かる可能性が少し残っています。アブラハムは神さまにソドムとゴモラを弁護する、代弁者です。神さまはソドムとゴモラの罪を訴える検事であり、裁判官です。神さまはアブラハムをソドムとゴモラの弁護人として立てられました。この最終裁判でソドムとゴモラの罪が確定されます。アブラハムが何者なので神様がここまで、彼を大事にしておられるのでしょうか？

　こうなると今日のお話はどちらが、どちらを大事にしていることになりますか？　アブラハムが旅人を大事にもてなしているのでしょうか？　神さまがアブラハムを重要人物として接しているのでしょうか？　神様はアブラハムのもてなし以上に彼を大事な人物として受け止めておられます。ソドムをさばかれる前に、アブラハムの意見を聞いています。

　アブラハムは神様を何よりも大事にしています。神様も誰よりもアブラハムを大事にしておられます。神さまとアブラハムの良き信仰の関係です。神様は私たちをアブラハムの子孫として、神の子どもとして今も大事にしておられます。それでは私たちは神様に対していかがでしょうか？　私たちは信仰の意味でアブラハムの子孫です。アブラハムが神さまを何よりも大事にしましたが、私たちは神さまを大事にしているのでしょうか？



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