2023年9月3日
ヤコブの手紙 3章1〜12節
＜ 制御されない舌による害悪 ＞
ヤコブが手紙を送った教会に問題がありました。神のみことばを教える教師に問題がありました。神のみ言葉を語る人に問題があることは個人の問題で止まらず、教会全体の問題となります。ヤコブの手紙を受けている教会は二つに分かれていました。教会分裂の原因がメッセージを語る人の口にありました。私たちのこの舌が持っている破壊力をもう一度確認しましょう。
１．小さな一つが全体を左右する（３−５節）
馬の体は大きくて力があります。この大きな馬はその口にはめられているくつわによって制御されます。騎手の体は小さくて軽いですが、騎手の力で馬を制御することは不可能です。しかし、馬の口にくつわをはめたことで、簡単に馬の体全体を思い通り動かすことができます。
馬に比べると船ははるかに大きいです。新約聖書時代は2000年前なのに、あの昔も何百人の人たちが船に乗って旅をしました。あれほど、大きな船がヨーロッパからアジアに、アジアからヨーロッパに大陸を横断しながら、ある時は強風を受けることもありました。しかし、大きな船は安全に運行します。小さい舵を取っている人の思いのままに船は動きます。
同じく私たちの舌も体の大きさに比べるととても小さい器官です。私たちの舌はとても軽いですが、軽いのに、重たい話ができます。人の舌は柔らかいですが、とても鋭くて、深い傷を負わせることができます。人の舌は短いですが、とても遠くいる人を傷つけることができます。私たちの舌は口の奥の中にあって、隠れていて、なかなか外からは見えないのに、私たちの心の奥底にあるすべての中身まで、全部、一気に見せることができます。舌を制御できる人はすべてを制御できると言っています。問題は舌を制御するのはほぼ不可能に近いくらい難しいです。
２．舌を制御できないと災い（５―８節）
ヤコブは舌を制御するのがどれほど難しいかを馬と船を通して説明しています。また、舌を制御しない時の災いを生々しい言葉で言っています。馬はその口にくつわがはめられているので、騎手の指示に従います。船は舵をとる人の思いのままに動きます。馬もたまに騎手の指示に従わない時があります。従わないと危ないですが、騎手に従わないのはまれのことです。船は舵をとる人の操作通りに動くようになっています。舵を取る人の操作通りに動かいないことは故障ですが、船も船に乗っている人も危ないです。馬と船は大体、確実に制御されているものです。
これらのものに比べると、人の舌を確実に制御できる保証がありません。人の舌は常に危ないものです。いつでも、余計なことをしゃべって、突発的な危機を自ら招きます。大きなことを言って自慢するからいつも危ないです。
馬のくつわが馬を傷つけることはしません。逆に傷つけないようにするための道具です。くつわのせいで馬が危なくなることはありません。
船の舵が大きな船を沈ませることはしません。逆に沈まないようにする安全のための道具です。舵のせいで船が危なくなることはありません。
しかし、人間の舌はその人の命を危うくする破壊的な働きを頻繁にやっています。馬のくつわとか、船の舵は与えられている仕事を黙々とやります。しかし、人の舌からは人の自慢話が後を絶ちません。人は常に、いつでも、どこでも自分のことを自慢したいです。自分自身のこと、自分がやり遂げた成果のこと、自分の実績のこと、自分の家族のこと、自分の能力のことを自慢したいです。人の舌のすさまじい破壊力を生々しく強調するためにヤコブは火事のイメージを使います。
舌は火、不義の世界
舌は火なので、すべてを燃やせる破壊力があります。私たちは毎日火を使います。注意しないととても危険で、家全体を燃やします。同じく舌を注意しないと私たちの周辺を壊し、私自身を汚すものとなります。
舌は不義の世界で、舌の中に世のすべての悪と罪があります。私たちの身体の部分の中で舌ほど罪と悪を含んでいるものはありません。イエス様の教え通りに心にあるすべての罪と悪がこの小さい舌から外に出て来ます。
舌は人生の車輪を燃やす
人生の車輪ということばは独特な表現です。車輪は道を走ります。走りながら地面に接します。人生の車輪が走ると周辺のすべての人たちと接することになります。人生のすべての場面で、舌が現れて悪い影響を与えます。舌が人生のすべてのところで、悪を行います。その悪が私たちの全人生を燃やしています。火は現在のものだけではなくて、過去、現在、未来まですべてを燃やします。過去の記憶、現在の幸せ、未来の希望まで全部燃やして、残るのは残骸しか残りません。同じく、舌は一人の生涯の最初から最後まで、ずっと影響を与え、私を汚します。
火元は消えないゲヘナ
小さい舌がどうやって、人生全部を燃やせるのかというとその破壊的な力はゲヘナの火から来ます。ゲヘナはヒンノムの谷のことです。ヒンノムの谷は言わば、エルサレムのごみ処理場と言えます。神殿でささげられたいけにえの副産物が燃やされる場所ですが、24時間火が消えません。その理由でゲヘナは地獄の象徴です。サタンが最後に落ちるところですが、悪人も一緒に行きます。火の凄まじい破壊力がサタンから、地獄から、ゲヘナから来ます。こんなに恐ろしい火の破壊力を持っている舌なので、制御したいですが、制御するのがまた不可能に近いです。舌の凄まじい破壊力がゲヘナから供給されるからです。
舌は制御できない
人類はどのような種類の獣も鳥も、這うものも海の生き物も、制御できます。また、制御して来ました。しかし、舌を制することができる人はだれもいません。舌は休むことのない悪であり、死の毒で満ちている致命的なものです。制御するとしても一時的なものであり、確実な保証はできません。
３．相反することが同時にできる舌の悪技（９―１２節）
舌には正反対のことができる技があります。舌は主をほめたたえることもできて、同じ舌で神の似姿に造られた人間を呪うこともできます。同じ口から賛美と呪いが同時に出て来ます。自然界の中でこんなに不思議な被造物はありません。泉が甘い水と苦い水を同じ穴から湧き出させることができますか？ いちじくの木がオリーブの実をならせたり、ぶどうの木がいちじくの実をならせたりすることができるでしょうか？ 塩水と甘い水を同時に出すことはできません。自然界は神さまのご計画に従って使命を果たしています。
しかし、人間の舌は不思議な被造物で二重人格的な技を今も続けています。神を賛美しながら同時に、神の似姿である同じ人間を呪うことも出来ます。讃美と呪いが同時にできる不思議な技を毎日続けています。こんなに不可能なわざを私たちの舌は毎日やっています。人の決心で、舌を制御することは不可能です。聖霊なる神の全能の助けが必要です。
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