2023年6月18日
列王記第二 20章12〜21節
＜ ヒゼキヤの唯一の欠点と子孫の運命 ＞
ヒゼキヤは南ユダの王になったとたん精力的に改革を行いました。国も成長して、平和が続くだろうと期待していましたが、アッシリアの攻撃により、国の運命が終わりになるところまで追い込まれました。神さまの奇跡的な救いによって絶体絶命の危機を乗り越えました。彼自身は死の病気になりましたが、神さまがもう一度奇跡的に癒してくださいました。おまけに15年の寿命も増えまして、15年間平和の時間を過ごしました。若い時は大変でしたが、残りの１５年は平和の恵みを味わいました。今日は彼の残りの15年の意味を考えてみたいです。
１．周辺の国から注目を浴びるヒゼキヤ
アッシリアに包囲された時、南ユダは周辺の国に比べると小さい国でした。こんなに小さい国がどうして一日でアッシリアを退けることができたのでしょうか？ 周辺の国も、南ユダみたいにほとんど小さい国で、アッシリアに滅びたり、滅びる寸前でしたが、ヒゼキヤのおかげで、直接的に、間接的に助かりました。その理由もありまして、周辺の国々からヒゼキヤにわざわざあいさつに来ました。単なる感謝の挨拶だけではありません。南ユダと友好関係を維持しようとする計算もあります。歴代誌第二３２：２３は当時の様子をこのように表現しています。「この時以来、ヒゼキヤはすべての国々から
尊敬の目で見られるようになった。」
遠い国バビロンからも来ました。特にヒゼキヤが病気から癒された後、わざわざ遠い国から来ました。南ユダから遠いので、ヒゼキヤは安心してバビロンの使者を歓迎しました。嬉しさのあまり彼は愚かなことをしてしまいました。南ユダの国が持っているすべてを見せてしまいました。
２．国力のすべてを見せてしまうヒゼキヤ
列王記第二２０：１３「・・すべての宝庫、銀、金、香料、高価な油、武器庫、宝物倉にあるすべての物、ヒゼキヤがその家の中、および国中で、見せなかった物は一つもなかった」
若い時は知恵ある王だったのに、どうしてここまで愚かなことをしたのでしょうか？ バビロンが本当にヒゼキヤを尊敬したので、遠いところから来たわけではありません。遠くに離れている国だから南ユダと関係ありません。国のすべての財力、武力を全部見せる王がどこにいますか？ ヒゼキヤは預言者イザヤからも叱られました。
１４ イザヤ「あの人たちは
何と言いましたか。
どこから来たのですか。」
ヒゼキヤ「
遠い国、バビロンから来ました」
１５ イザヤ「彼らはあなたの家で
何を見たのですか。」
ヒゼキヤ「
すべての物を見ました。
見せなかった物は一つもありません。」
ヒゼキヤはどうして、バビロンの使者たちにここまで全部見せたのでしょうか？ ヒゼキヤは「遠い国、バビロン」を強調しています。彼は油断しているのではないかと思います。
もう一つは、彼はどこかで傲慢になっています。連続する神さまの奇跡的な助けがありまして、彼は自分自身の弱さを顧みることができず、知らぬうちに傲慢になっています。歴代誌第二３２：２４−２６はこう言っています。
２４ そのころ、ヒゼキヤは病気になって死にかかっていた。彼が主に祈ったとき、主は彼に答え、しるしを与えられた。
２５ ところがヒゼキヤは、自分に与えられた恵みに応えようとせず、かえってその心を高ぶらせたので、彼の上に、また、ユダとエルサレムの上に御怒りが下った。
２６ しかし、ヒゼキヤがその心の高ぶりを捨ててへりくだり、彼もエルサレムの住民もそうしたので、主の御怒りは、
ヒゼキヤの時代には彼らの上に臨まなかった。
ヒゼキヤも人間なので、連続する神の奇跡を体験したら、しばらくは調子に乗って傲慢になることもやむを得ないかなと思います。とにかく、彼のこの過ちがきっかけでイザヤからの厳しい預言がありました。子孫たちにくだるさばきの預言です。
歴代誌第二３２：１７−１８
１７ 父祖たちが今日まで蓄えてきた物が
すべて、バビロンへ運び去られる日々が来る。何一つ残されることはない
１８ ヒゼキヤ自身の息子たちの中には捕らえられてバビロンの王の宮殿で
宦官となる者がいる」
３．未来の世代へのさばきは誰のせいなのか。
世界歴史にもありますが、BC586年、南ユダはバビロンによって滅びました。南ユダがバビロンによって滅びたのはヒゼキヤのせいでしょうか？ 預言者イザヤに叱られましたが、ヒゼキヤが国中のすべてを全部見せたせいでしょうか？ もしかして、ヒゼキヤがバビロン使者に何も見せなかったら、滅びなかったでしょうか？ 何も見せなかったら、ヒゼキヤの子孫はバビロンの宦官にならなったでしょうか？ 自分の考えを申し上げますと結果は同じだったと思います。ヒゼキヤが傲慢になっても、傲慢にならなかったとしても、バビロン使者にすべてを見せたとして、何も見せなかったとして、結果は変わらなかったと思います。
未来の世代の人たちが滅びたのはヒゼキヤのせいではありません。未来の子孫たちの責任です。しかし、ヒゼキヤは先祖として未来の不幸を防ぐために何をしたのかと言うと疑問は残ります。南ユダの滅亡の預言がありましたので、まだ長い時間が残っているから子孫たちのために何かをしたらよかったと思います。ヒゼキヤの返事に耳を疑うばかりです。
列王記第二２０：１９
「あなたが告げてくれた主のことばは
ありがたい。」
彼は
自分が生きている間は平和と安定があるのではないか、と思ったのである。彼が生きている時代だけでも主の平和と安定が確保されているから感謝と言えば感謝ですが、未来の世代はどうしますか？
未来の世代に無責任ではないかと思います。彼は今まで主のために、民のためにたくさんのことをやってきました。彼の功績はこの四週間のメッセージ全部です。それなのに、未来の世代のためには何も手を打ちません。彼自身だけ、平和、平安、幸せであるなら満足しています。いろいろの大変なことを連続して乗り越えて来た超人の諭しでしょうか？
私たちは未来の世代のためにいろいろやります。いろいろ事前準備をしています。私たちはヒゼキヤのような無責任なことはしたくありません。自分は今までヒゼキヤを無責任だと思っていました。次世代のために何かをしたいです。私たちは未来の世代のためにいろいろ準備しますが、一つだけできないことがあります。未来世代の運命そのものを変えることはできません。私たちは自分たちの運命は変えようと頑張って、努力しました。そして、ある程度変えてきました。自分のことは自分で頑張れば成果が現れます。私たちは今まで人生を決める瞬間、信仰の道を選びました。しかし、私たちは誰でも、一つだけはできません。次世代の運命を私たちの手で変えることはできません。次世代の皆さんが運命を選択する時、何かを決める時、私たちはそこに関与できません。不信仰の道ではなく、信仰の道を選んで欲しいですが、私たちがその選択に関与できません。子どもたちが人生のより良い選択ができる保証はどこにもありません。
次世代の運命は彼らの手で決めることになります。私たちから習った信仰の遺産を受け継いで信仰の道を歩くのか（ヒゼキヤみたいに）、私たちとは正反対に不信仰の道を歩くのか（アハズみたいに、マナセみたいに）
未来は私たちが干渉できない時間です。その時、私たちはすでにこの地にはいないからです。ヒゼキヤもそれを悟ったのでしょうか？
そうなると私たちもヒゼキヤのようになるしかないでしょうか？ 未来の世代は未来の人たちの時間なので、彼らに任せて、私たちは現在の時間を生きる。現在の時間が試練の戦いの時間であるなら、真剣に戦う。現在の時間が、神さまがくださる平和の時間であるなら、それを喜び、楽しむ。私たちの現在の時間を忠実に生きて、未来の世代は神さまに委ねる。ヒゼキヤは未来の世代に関しては無責任のように発言しましたが、ヒゼキヤの現在を主に感謝しました。
聖書をみるとヒゼキヤは15年間の未来のためにある程度、頑張りました。
列王記第二２０：２０
「ヒゼキヤについてのその他の事柄、彼のすべての功績、彼が貯水池と水道を造り、都に水を引いたこと、それは『ユダの王の歴代誌』に確かに記されている」
エルサレム都に水を引くことはあまりにも大事な事業です。エルサレムが包囲された時、水さえあれば長く立てこもることができます。水が無ければ３日も持てません。彼がエルサレムに水を引いたのはアッシリアから攻撃を受ける前だったのか、その後だったのか分かりません。
もし、アッシリアの攻撃を受ける前だったのであるなら、このおかげで彼は神さまの奇跡的な助けを待ち望むことができました。もし、アッシリアの攻撃後であるなら、彼は未来を準備したことです。
自分は性格上、何とかして未来も備えたいですが、しかし、未来の世代にあまりにもつべこべ干渉することも良いことではないと思います。言いたいことはたくさんあっても、未来世代のために黙ることも美徳です。私たちの未来は、私たちの教会はこれからどうなるのでしょうか？
私たちの子孫たちが彼らの人生の運命を決める時、信仰の道を選んでもらいたいです。正しい選択、賢い選択をしてもらいたいです。しかし、彼らが信仰の道を選べる保証はどこにもありません。教会が、企業が、会社が、家庭が2代、3代続いて、バトンタッチできることだけでも奇跡であり、神さまのあわれみかなと思うようになりました。私たちは未来の世代を主の御手に委ねるしかありません。
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