2023年6月11日
列王記第二 20章1〜11節
＜ ヒゼキヤの死の病と奇跡の癒やし ＞
試練を通してキリスト者の信仰は成長します。信仰が成長することだから、一時的な試練でさえ良いことです。しかし、それは結果論であって、それでも、試練は辛いです。辛いということは体も心もダメージを受けることです。体と心がダメージを受けると病気になりやすいです。病気まではならなくても、試練を受ける前に比べると体は確か弱まっています。体と心が弱まりますと以前よりますます、主の恵みとあわれみを求めるようになります。主の恵みとあわれみが私たちの体調を守ってくれます。さて、今日の箇所にはヒゼキヤの病気と奇跡の癒しがあります。
１．形は違っても同じ試練
ヒゼキヤは心身ともに耐えられないストレスを受けました。彼自身と国全体が滅びる直前まで追い込まれました。極端のストレスが原因なのか、どうかは確かではありませんが、発病しました。聖書では腫物と書いてあります。皮膚に何ができたのでしょうか？ 彼は病気になって死にかかっています。しかも、良くなる望みもありません。神さまからの死の宣告があったからです。
１節 「アモツの子、預言者イザヤが来て、彼に「主はこう言われる。『あなたの家を整理せよ。あなたは死ぬ。治らない。』
他でもなく、命の主からの宣告なので、終わりです。
アッシリアの攻撃が試練であるなら、病気も試練です。試練の形は違いますが、受け止める人間から見れば同じ試練であり、連続する試練です。アッシリアに包囲されたことは大変な危機、病気も大変な危機です。アッシリアに包囲されたことは国全体の危機、病気はヒゼキヤ一人だけの危機です。アッシリアに包囲された時は神さまからの滅亡宣告はなかったので、希望はありました。しかし、この病気は神さまからの死の宣告がありましたので、望みすらありません。試練があっても未来への望みはあります。試練を乗り越えれば平和な時が来る望みです。しかし、ヒゼキヤの病気は望みすらありません。この病気ですべてが終わるからです。
今までの主の奇跡的な助けや大いなる祝福がありました。ヒゼキヤも長年間主のために、民のために尽力を注ぎました。しかし、体の病気で、こんなに急に、しかも若いうちに死ぬことは悲し過ぎます。彼の年齢はまだ、３９歳にしかなっていません。彼は二十五歳で王となり、エルサレムで二十九年間、王でしたが、実際に死んだのは５４歳です。54歳は後で１５年がプラスされましたものなので、病気になった歳は３９歳です。神さまが決められたヒゼキヤの寿命は本当にここまでだったでしょうか？ こんなに急に死ぬべき理由でもあったでしょうか？
歴代誌第二３２：２２―２４を参考にしてみるとヒゼキヤも人間なので、傲慢になることも仕方ないかなと思います。
２２ こうして主は・・四方から彼らを守られた。
２３ 多くの人々が、主へのささげ物やユダの王ヒゼキヤに贈る選りすぐりの品々を携えて、エルサレムに来るようになった。この時以来、ヒゼキヤはすべての国々から尊敬の目で見られるようになった。
２４ そのころ、ヒゼキヤは病気になって死にかかっていた。
前日まで包囲されて、今日死ぬのか、明日死ぬのかと怯えていたのに、アッシリアの軍隊、18万5千人が皆死んでいます。戦争したわけではありません。この不思議な知らせを南ユダの民だけではなく、周辺のすべての国民が聞きました。誰もヒゼキヤを無視できなくなりました。「この時以来、ヒゼキヤはすべての国々から尊敬の目で見られるようになった」と書いてあります。ここまでなるといくら良い信仰者でも、自然に傲慢になるのではありませんか？ 実はヒゼキヤはこの病が癒された後も傲慢になりました。人間は一度傲慢になることは避けられないようです。ヒゼキヤは神さまに癒しを求めました。
２．癒しの奇跡を求めるヒゼキヤ
ヒゼキヤはアッシリアとの戦いで一度、死の危機を乗り越えたことがあります。すべてを諦めて、ひたすら主だけを頼りにした経験があります。真心を込めて神さまにあわれみを求める時、主が答えてくださることを体験しました。その意味で考えると過去の試練はいざと言う時、信仰者を再び強くする力があります。アッシリアの脅威から逃れた証があるので、彼は再び主のあわれみを求めました。ヒゼキヤは顔を壁に向け、主に祈りました。
３ 「ああ、主よ、どうか思い出してください。私が真実と全き心をもって、あなたの御前に歩み、あなたの御目にかなうことを行ってきたことを。」ヒゼキヤは大声で泣いた。
ヒゼキヤの涙の祈りに神さまは直ちに答えてくださいました。預言者イザヤを通してヒゼキヤ王の死を告げ知らせましたが、同じ預言者イザヤを通して回復の宣告に変わりました。
４節 「イザヤがまだ中庭を出ないうちに」
アッシリアの試練の時と違って今回は直ちに答えてくださいました。神さまからの答えがあまりにも早くて預言者イザヤはわずか、数分間のうちに正反対の宣告を伝えました。預言者イザヤがヒゼキヤに死の宣告を告げた後、家に帰るところでしたが、まだ、中庭を出ないうちなので、数分も経っていません。
回復の宣言
５ 「引き返して、わたしの民の君主ヒゼキヤに告げよ。あなたの父ダビデの神、主はこう言われます。『わたしはあなたの
祈りを聞いた。あなたの
涙も見た。見よ、わたしはあなたを癒やす。あなたは三日目に主の宮に上る。
残り１5年間の使命
６ わたしは、あなたの寿命に
もう十五年を加える。わたしは
アッシリアの王の手からあなたとこの都を救い出し、わたしのために、わたしのしもべダビデのために
この都を守る。』」
３．癒された証拠を求めるヒゼキヤ
ヒゼキヤは癒される証を求めました。神さまに確実な証しを求めることは良いことだと自分は考えています。天の父なる神さまは私たちに、神ご自身が生きておられることを見せてくださり、証してくださるお方です。
８ 「主が私を癒やしてくださり、私が三日目に主の宮に上れるしるしは何ですか。」
９ イザヤは言った。「影が十度進むか、十度戻るかです。」
１０ ヒゼキヤは答えた。「影が十度伸びるのは容易なことです。むしろ、影が十度後に戻るようにしてください。」
日時計の影が十度伸びることも、後に戻ることもどちらも自然界には無いことです。太陽はいつも規則正しく動いています。急に十度も伸びたり、後に戻ったりしません。どちらも不可能なことですが、ヒゼキヤから見て、やりやすいことよりは難しい方を求めました。人間の予想の範疇を超えたことが奇跡です。人間の予想の範疇の中にあるものはまだ、偶然です。ヒゼキヤは神さまの奇跡を求めました。ヒゼキヤの要求に合わせて神さまはアハズの日時計に落ちた日時計の影を十度後に戻されました。
ヒゼキヤの病は癒され、彼は元気になりました。そして、新しい１５年と言う時間が与えられました。彼はこの１５年間何をすれば良いでしょうか？ 病が癒されたことは喜びです。日時計が十度戻されたことも神秘的なことです。しかし、信仰者は今日のこの一日をどう生きるかが重要です。残りの時間をどう過ごすかが大事です。いかなる奇跡も、いかなる御業も過去のことであって、今日の信仰生活に生かされない限り、過去の奇跡も御業も、過去は過去です。
過去の奇跡、過去の御業を口だけ、言葉だけ繰り返しても現在の信仰が駄目なら、その人は過去を生きている人です。現在を生きる聖徒は過去の奇跡、過去の御業に基づいて、もっと新たな奇跡、新たな御業を証しながら、謙遜に神に仕える人です。その意味でヒゼキヤは過去に止まったまま15年の時間を過ごしてしまったのではないかと思います。
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