2023年5月7日

出エジプト記　3章13〜20節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ エジプトで真の神様を現しなさい ＞


　荒野でイスラエル民は金の子牛を作りました。エジプトで長年間住んでいたので、神さまと言うと金の子牛を思い出したと思います。選ばれたイスラエル民でさえ、神さまの存在をよくわかっていません。

　ですから、天地を造られた神は出エジプトを通して真の神は誰なのかを現してくださいました。まずはモーセとイスラエル民に知らせました。そして、エジプトの民とパロに知らせました。最後は偽りのエジプトの神々にまで知らせました。
出エジプト１２：１２
「その夜、わたしはエジプトの地を巡り、人から家畜に至るまで、エジプトの地のすべての長子を打ち、また、エジプトのすべての神々にさばきを下す。わたしは主である。」

　真の神はその存在を現してくださるとき、一人の働き人を用いられます。出エジプトの時、用いられた人はモーセでした。モーセはイスラエル民をエジプトから救い出し、カナン地に導くことによって、聖書の神こそ、真の神であることを現しました。エジプトの奴隷になってしまった神の民イスラエルを救い出すことこそ、彼が生まれた理由であり、彼がこれから生きる理由です。彼は８０歳になってやっと生まれた理由が分かりました。８０歳になってやっと今まで生きてきた理由が分かりました。遅くはなりましたが、それでも大丈夫です。神さまからの使命を全うすれば良いです。

　ところで、天地万物を造られた神さまの存在をエジプトに現わすことがモーセに出来ることなのかという問題があります。どうやって、エジプトは巨大国なのに。モーセは一人だけです。歳もすでに80歳、イスラエル民は奴隷です。彼らには何の権力もなく、出来ることは何一つありません。

　モーセのため息に理由が二つあります。一つはイスラエル子孫とパロのところに行って、何を言ったら良いのか？　神さまが私にこう言いましたよと言いますか？　いろいろ突っ込まれることを想像するだけでもぞっとします。もう一つは、モーセは何も持っていません。何もできません。


１．イスラエル子孫に父祖の神さまを現わしなさい。（１３−１７節）
　モーセはまず、同族ところに行きます。パロに神さまの警告を伝える前に同族を説得しなければなりません。イスラエル民族をエジプトから連れ出すことだから、イスラエル民族の人たちが動かない限り、連れ出すことは出来ません。イスラエル民族の前でモーセは「私たちの先祖、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神が私のところに現れました。皆様を連れて約束の地、カナンに行きなさいといわれました」
ヤコブでさえ、400年前の先祖です。400年間、神さまの存在を忘れていたイスラエル民に神さまの存在を現すことは難しいです。モーセが言っているその神は先祖の神であって、私の神ではないと彼らは思っています。少なくても今はまだ、彼らの神ではありません。先祖たちには現れてくださったかも知れませんが、私にはまだ現れていない。ですから、すんなり信じるわけにはいかない。

　アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神と呼んではいるものの、それがあの方の名前ではありません。未だにあの方の名前すら分かっていません。先祖たちが信じていた神の名前すら分かっていないのに、その神をどうやって信じることができるのでしょうか？　あの神のお名前は何ですか？
『わたしはある』
これは名前よりは創造者を意味します。天地万物を造られた創造者には名前などあるはずがありません。名前があることが逆におかしいです。

　名前と言うのは誰かによって生まれたもの、誰かによって造られたことを意味します。天地万物を造られた神は誰から生まれたことも、誰から造られたこともありません。永遠の前から、自ら存在なさるお方です。永遠の以前から存在なさる神が各世代に現れてくださいます。アブラハムの時も、イサクの時も、ヤコブの時も、モーセの時も。そして、私たちの時も。しかし、先祖の神だけでは不十分です。私の神として現わしてくださらないと私たちは信じることが出来ません。アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神がモーセの神となりました。そして、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神がこれからは私の神となります。私の先祖の神だけでは不十分です。私の両親の神だけでは熱心に信じることが出来ません。私の神として現わしてくださらないと。私の神になってくださらないと。私の神になってくださいと祈りましょう。天の父なる神も、私たちの神となることをとても楽しみにしておられます。


２．エジプトの王、パロに創造者の存在を現しなさい。（１８節）
　モーセの任務はまず、天の神の使者としてパロのところに行くことでした。そして、天の神の使者として、神さまから授かった命令を伝えることでした。「私たちに荒野へ三日の道のりを行かせ、私たちの神、主にいけにえを献げさせてください」
パロが聞いてくれるはずがありません。モーセも知っています。モーセを使者として送られた神さまもよく知っておられます。これからモーセの役割はパロの目の前で神さまが本当に生きておられるお方であり、エジプト人が信じてきた神とは違って真の神であることを証明することでした。しかし、モーセがどうやって証明しますか？


３．私（モーセ）は何も出来ません。
（１）持っている物は何もありません。
　権力も、お金も、兵士も、武器も、何もありません。今まで40年間羊飼いをしていましたので、手にあるものは杖しかありません。神さまは「その杖を使いなさい」と言われました。その杖が神さまの御業を現す道具となりました。モーセが持っているものは何でも良いです。たまたま手に杖を持っていたので、その杖を使いなさいと言われました。他のものを持っていたら、他の物を使いなさいと言われたでしょう。

　これは私たちにとって大きな励みになります。私たちが手に持っている物は何でも良いです。力不足、能力不足、後ろ盾もない、極端に言えば手に何も持っていなくても良いです。モーセは杖を離したら杖は蛇となりました。そして、モーセの手には何もありません。彼が持っている物はゼロです。しわだらけの老人の手だけです。

（２）年老いてできることが何もありません。
　年老いたモーセに何が出来ますか。しわだらけの病弱なモーセに何が出来ますか？　神さま、この手をご覧ください。何が出来ますか？
「年老いてしわだらけのあなたのその手を使いなさい」
その手が神の御業を現す手段となりました。

（３）話すことしかできないのに、お話が下手です。
　モーセは最後にもう一つの理由で否定しました。パロに私の民を離しなさいと神のみことばを伝えますが、その話自体ができません。なぜなら、モーセはお話が下手です。外形は老人、中身はお話が下手。


４．神さまの現しは神さまご自身がなさる。
　モーセはイスラエル子孫のところに、パロのところに行くだけで充分です。モーセはイスラエル民に、パロに言うだけで充分です。その瞬間、その場面で、創造者なる神さまがご自身の存在を現してくださいます。神の御手によるわざが神の存在を証明します。まずはパロの呪法師たちが真の神の存在を認めました。
出８：１９
「呪法師たちはファラオに「これは神の指です」と言った。しかし、ファラオの心は頑なになり、彼らの言うことを聞き入れなかった。主が言われたとおりであった。」
最後はパロも認めざるを得なくなりましたが、遅くなれば遅くなるほど被害は大きくなります。

　私たちを通して神の栄光が現れますように、私たちを通して家族に、友達に神の存在が現れますように、この社会で神の存在を現すことが出来るように祈っていきたいです。



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