2023年4月23日
ルカの福音書 9章11〜17節
＜ 主の計画と私の計画 ＞
神の国は無計画のように見えます。神さまには計画がありますが、私たちから見れば無計画のように見えます。今日の箇所は私たちの計画とイエス様の計画の側面で見ることができます。今日の箇所に登場する人たちは何の計画も無く、イエス様について行きました。
１．人の計画、準備：あるようで、ない
イエス様はどこに行かれても多くの人がついて行きました。今日の箇所も村と町から相当離れたところなのに、そこにもついて行きました。彼らはイエス様の事だけ考えて何も考えず、夢中になってついて行きました。イエス様の教えに夢中になって、イエス様の癒しに感動しているうちに時間が過ぎました。心は感動で、喜びでいっぱいですが、お腹がすきました。お腹がすいて現実に戻りました。イエス様の天国の話も良いですが、お腹がすきますと何も聞こえません。群衆たちは何の準備もせず、イエス様について来ました。突然、イエス様について来たので、お金もありません。お弁当を持ってきたわけでもありません。一日お泊りするところも用意していません。一日お泊りすることは最初から計画になかったことです。最初からこうなると分かっていたのであるなら、お金も、お弁当も用意したと思いますが、突然のことです。
イエス様の弟子たちもお手上げの状況です。イエス様の弟子たちは今までイエス様について来ましたが、イエス様と弟子合わせて13人だけの少数でしたので、何とかなりました。しかし、今日の状況は初めてです。人数があまりにも多いです。大人の男子だけで5,000人以上、しかも、周辺は民家が一つもありません。彼らの対案は5000人を解散させる、各自が自由に周りの村や里に行くなり、宿をとるなり、何か食べるなり、各自に任せることです。各自で生き残る道を探す、5000人対１で運よく早めにパンを買った人は食べられる。これはこの地の生き方です。今まで、長く誰でも入れる神の国の話を聞いて、結論は結局この地の生き方で終わる。提案する弟子たち自身も対案にならないことを分かっています。問題の解決にならないことを彼ら自身も分かっています。イエス様の返事を聞いて敏感に反応したかも知れません。
「あなたがたが、あの人たちに食べる物をあげなさい。」
弟子たちがどうやって5,000人を食べさせるのでしょうか？ とんでもない話です。
これが私たち人間の限界ではないでしょうか？ 未来への計画がある、未来を事前に準備する、予定通り、時間通り進める。予期せぬことまで予測して準備して、備える。しかし、私たちには想定を超える時があります。私たちは未来の計画や準備が色々ありますが、予期せぬ時は実際、何も出来ません。未来の準備ができているようで、何もできていません。その時こそ、イエス様の出番です。
２．イエス様の計画、準備：ないようで、ある
イエス様は大勢の群衆を連れて、町から、村から離れたところに行きました。人里離れたところ、食べ物もなく、飲み物もないところです。群衆が自宅に帰られる時間も計算せずに、遠いところまで連れて来てしまいました。今日は自宅から遠く離れたところに行きますと事前に案内したわけでもありません。お金はお持ちですか、お弁当はお持ちですかと事前に把握したわけでもありません。今日はイエス様がご馳走しますと事前にお知らせして、安心させたこともありません。日が傾き始めてから、弟子たちも心配しないように事前に一言、案内したこともありません。イエス様はこの状況になるまで何の計画も、何の準備もしていないように見えます。弟子たちだけが慌てています。
しかし、イエス様は事前に計画を持っておられました。イエス様は最初から計画があって、大勢の群衆を連れて人里離れたところに来られました。そして、天からの食事をくださいました。イスラエル民がエジプトから出てから荒野でマナを食べて以来、再び天からの食べ物です。イエス様は日が傾き始めて、弟子たちがイライラして、イエス様に助けを求める時まで待っていました。日が傾き始めてからイライラする弟子たち。日が傾き始めてから心配する群衆。日が傾き始めてから天からの食事を準備するイエス様。イエス様はスケジュール通りです。
１６ そこでイエスは、五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げ、それらのゆえに神をほめたたえてそれを裂き、群衆に配るように弟子たちにお与えになった。
１２人の弟子たちが5,000人の食事を準備するとしたら、長い時間が必要です。沢山のお金も必要です。事前準備をしても、多くの群衆から文句言われるでしょう。しかし、イエス様は何の準備もなかったように見えたのに、大勢の群衆に一気に食べ物をくださいました。そのイエス様が私たちにも未来を備えてくださるメシアです。
３．私たちの計画、準備：あるか、ないか
私たちは未来のためにお金をコツコツ貯めています。未来を備えて計画性があり、事前に備えるのが得意です。社会自体が勤勉で、真面目です。私の性格も、皆様の性格もこのようなライフスタイルの方が大多数です。これらの方は個人の責任感が強いです。未来を備えない人を無責任だと批判します。私たちは未来を備える生き方に慣れています。
その反面、私たちのようなライフスタイルは良い信仰者になりにくい側面があります。緻密に未来を計画して、備える人には一つの弱点があるので、イエス様の教えに耳を傾けましょう。常に未来を準備して、備える、計画するのが得意の私たちには心が痛い教えです。
マタイ６：２５
「何を食べようか何を飲もうかと、自分のいのちのことで心配したり、何を着ようかと、自分のからだのことで心配したりするのはやめなさい。」
マタイ６：２６、２８
２６ 空の鳥を見なさい。種蒔きもせず、刈り入れもせず、倉に納めることもしません。それでも、あなたがたの天の父は養っていてくださいます。
２８ 野の花がどうして育つのか、よく考えなさい。働きもせず、紡ぎもしません。
マタイ６：３１―３３
「ですから、何を食べようか、何を飲もうか、何を着ようかと言って、心配しなくてよいのです。」
３２ あなたがたにこれらのものすべてが必要であることは、あなたがたの天の父が知っておられます。
３３ まず神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはすべて、それに加えて与えられます。
これらの内容は貯金をやめなさい、未来のための計画をやめなさいではありません。未来を計画するのが好きで、備えるのが得意で、コツコツ貯めるのが喜びである性格の人はそのライフスタイルから幸せを感じます。計画性がなく、事前に準備するのが嫌いな性格の人は誰にも縛られなくて、何にも束縛されなくて、自由に暮らすのが幸せです。生まれつきの性格、元々身に慣れているライフスタイルを変えることは不可能です。イエス様がここで言っておられるのは「心配したりするのはやめなさい」、「心配しなくてよい」です。マタイ６章25−34節の間に「心配」という単語が７回も書いてあります。心配する原因が不信仰にあることです。未来を主の御手に委ねている人であるなら、未来を準備しても、計画して、コツコツ貯めても何の問題もありません。性格上、未来を備えることが難しい人でも、イエス様を信じる信仰があれば、とても良い信仰者になれるそうです。
天の父なる神さまは私たちを天国に導いて行かれる素晴らしいご計画を持っておられます。現在の段階では神さまのご計画が見えないので、無計画のように見えるだけです。現在は神さまのご計画が見えなくても、そのご計画を信じて合わせるのが信仰です。神のご計画を信じて、そのご計画に合わせることを私たちは神さまの御手に委ねると言います。未信者から見れば無計画のように見えるでしょう。計画通りに行かなくても、色々試行錯誤があっても、主に委ねられる信仰者になりたいです。私たちには未来への計画があるようで、実はありません。しかし、私たちの父なる神さまは私たちのために何の計画のないようで、実は計画があります。
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