2023年3月5日

出エジプト記　3章15〜22節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 出エジプトの民と財産 ＞


　今までアブラハムと財産、ロトと財産、イサクと財産を見てきました。個人の財産増加、減少の話を見てきました。今日はヤコブの家族と財産、ヤコブの子孫たちと財産、すなわちイスラエル民全体と財産の話をさせて頂きます。


１．ヤコブ全家族がエジプトへ移住
　イスラエルの民はヤコブの子孫で、ヤコブの息子は１２人です。彼らは元々、カナン地に住んでいました。12人のうち、ヨセフは他の兄弟達に憎まれて、エジプトに売られました。ヨセフは紆余曲折の苦労をした後、エジプトの総理となりました。やがて、エジプトにも、カナン地にもひどい飢饉となりまして、ヨセフがカナン地に住んでいた全家族をエジプトに招きました。ヨセフの招きもあり、神さまのご指示もありまして、ヤコブは全家族と全財産を携えてエジプトに移住しました。全家族の海外移住です。

創世記４６：５−７
５ ヤコブはベエル・シェバを出発した。イスラエルの息子たちは、ヤコブを乗せるためにファラオが送った車に、父ヤコブと自分の子どもたちや妻たちを乗せた。
６ そして、家畜とカナンの地で得た財産を携えて、ヤコブとそのすべての子孫は、一緒にエジプトにやって来た。（全家族が全財産を携えて移住した）
７ 彼は、自分の息子と孫、娘と孫娘、すなわちすべての子孫を、一緒にエジプトに連れて来た。（一人も残らず全家族がエジプトに移住した）

創世記４７章１節からヤコブ家の財産目録
１ 「私の父と兄弟たち、また、その羊の群れ、牛の群れ、そして、彼らの所有するものすべてが、カナンの地から参りました。今、ゴシェンの地におります。」
４ また、彼らはファラオに言った。「私たちはこの地に寄留しようとして参りました。カナンの地は飢饉が激しくて、しもべどもの羊のための牧草がございません。どうか、しもべどもをゴシェンの地に住まわせてください。」
６ エジプトの地はおまえの前にある。最も良い地に、おまえの父と兄弟たちを住まわせなさい。彼らをゴシェンの地に住まわせるがよい。彼らの中に有能な者たちがいるのが分かったなら、その者たちを私の家畜の係長としなさい。」

ヤコブの子孫たちはゴシェンの地を借りました。購入したわけではありません。土地を借りて、財産である家畜を飼いました。ヨセフの何人かの兄弟たちはパロの家畜を飼う係長に就職しました。やがて大飢饉の試練は過ぎて、しばらく幸せな時間も過ぎました。しばらく寄留するためにエジプトにくだっただけで、いつかはカナン地に戻りたいところでしたが、本当に戻れるのでしょうか? 私たちの経験上、一つのところで定着したら、身動きが取れなくなります。


２．寄留者がエジプトのしもべとなる
　その後、長い時間が経ちまして、ヤコブの12人の兄弟達の世代も死にました。そして、ヤコブの子孫はエジプトで急激に増えました。イスラエルの民が増えたので、新しいエジプト王は恐れを感じ、牽制しました。イスラエルの民に試練の時間が始まりました。

エジプトで奴隷となる
１０ 彼らを賢く取り扱おう。彼らが多くなり、いざ戦いというときに敵側についてわれわれと戦い、この地から出て行くことがないように。」（急に捕虜となる）
１１ そこで、彼らを重い労役で苦しめようと、彼らの上に役務の監督を任命した。また、ファラオのために倉庫の町ピトムとラメセスを建てた。（急に奴隷となる）
１３ ・・イスラエルの子らに過酷な労働を課し、
１４ れんが作りの激しい労働、畑のあらゆる労働、彼らに課す過酷なすべての労働、彼らの生活を苦しいものにした。（労働、労働・・エジプトのための労働者となる）

イスラエル民族抹殺政策
１６ ・・「ヘブル人の女の出産を助けるとき、産み台の上を見て、もし男の子なら、殺さなければならない。女の子なら、生かしておけ。」

　このまま行くとイスラエル民族は地上から消えます。全家族と全財産を携えてエジプトに移住した理由は大飢饉から逃れ、安全な暮らし、平和な暮らし、幸せな暮らしを求めたからです。未来に希望を抱きながらエジプトにくだりました。しもべになるためではありません。イスラエル民族が消えると財産はエジプトのものとなります。いくら財産が多くてもそれを受け継ぐイスラエル子孫がいないと意味のない財産です。神さまはどうやってイスラエル民を守られるのでしょうか？


３．エジプトから救い出す神さまの預言
３：２０―２２
２０ わたしはこの手を伸ばし、エジプトのただ中であらゆる不思議を行い、エジプトを打つ。その後で、彼はあなたがたを去らせる。
２１ わたしは、エジプトがこの民に好意を持つようにする。あなたがたが出て行くとき、何も持たずに出て行くことはない。
２２ 女はみな、近所の女、および自分の家に身を寄せている女に、銀の飾り、金の飾り、そして衣服を求め、それを、自分の息子や娘の身に着けさせなさい。こうしてあなたがたは、エジプト人からはぎ取りなさい。」

　エジプト人たちが長年間イスラエル民をしもべのように治めていました。奴隷であるイスラエルの民がエジプトから自由になる事すら不可能なのに、どうして、エジプトの民がイスラエルの民に飾り物を差し上げるのでしょうか?　神さまはどうやってこのようなことをなさるのでしょうか？　不思議に、神の御業により実際、神さまが預言された文字通りになりました。


４．多くの全財産を携えて約束の地へ
　本来であるなら家畜はエジプトに残して、人間だけエジプトから解放されるのがやっとのことですが、イスラエルの民は家畜だけではなく、たくさんの金の飾り、銀の飾り、衣服をエジプト人からもらいました。

出エジプト１２：３２−３６
３２ おまえたちが言ったとおり、羊の群れも牛の群れも連れて出て行け。そして私のためにも祝福を祈れ。」（全財産と共に解放される）
３３ エジプト人は民をせき立てて、その地から出て行くように迫った。人々が「われわれはみな死んでしまう」と言ったからである。（死の恐怖で急いで国から追い出そうとしている）
３５ イスラエルの子らはモーセのことばどおりに行い、エジプトに銀の飾り、金の飾り、そして衣服を求めた。（未払いの賃金の請求）
３６ 主はエジプトがこの民に好意を持つようにされたので、エジプト人は彼らの求めを聞き入れた。こうして彼らはエジプトからはぎ取った。

　エジプトのすべての家庭の長男が死んだので、出来る限り、イスラエルの民を早く去らせようとしたのではないかと推測します。イスラエルの民がエジプトに留まる時間が少しでも長くなればなるほど、彼らに災いが増えると感じていたので、出来る限りエジプトから去ってもらいたくて、何でも求めるものは差し上げました。はぎ取るというとイメージは悪いですが、イスラエルの民からすれば400年間の賃金に比べるとまだまだ少ないです。最初、パロは羊の群れと牛の群れを連れて出て行くことは猛反対していました。イスラエルの全財産だけは奪おうとしましたが、それも諦めました。


５．エジプトで神の民を育成された神さま
ヤコブ一家が全家族と全財産を携えてエジプトにくだったことも、再びエジプトから解放されてカナン地に行くことも全部神さまの導きです。ここで一つの疑問があります。神さまはなぜ、イスラエルの民をカナン地ではなく、エジプトで増やしたのかです。彼らの家畜を含め、全財産はカナン地ではなく、エジプトで増えたのか？　本来であるなら、エジプトから解放されることも、全財産が増えることもありません。一般的なことはパロに奪われ、エジプト人に搾取され、イスラエル民族は地上から消えるのが世界の歴史です。

しかし、神の約束によって守られていたイスラエル民はどこに行っても増えました。カルデア人のウルにいても、ハランにいても、エジプトにいても、どこに行っても、神の約束の故に彼らの人数は増えました。彼らの財産も一緒に増えました。神さまはアブラハムに約束をくださいました。「カナン地に行きなさい」
ヤコブにも約束をくださいました。「エジプトに行きなさい」
モーセに約束の地に行きなさいと命じられました。「民をエジプトから連れ出し、カナン地に行きなさい」
神さまの約束の故にイスラエル民は増え、財産も増えました。

　それでは私たちに神さまは何を約束してくださるのでしょうか？　その前に私たちは神さまに何を叫び求めていますか？　イスラエルの民はエジプトで神さまに救いを叫びましたが、私たちは何を叫び求めているのでしょうか？　私たちはこの瞬間、神さまに何を叫び求めたら良いでしょうか？　私たちが求めている救いは何でしょうか？



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