2023年2月26日

創世記　26章12〜25節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ イサクと財産 ＞


　今日はイサクが井戸を掘る話ですが、イサクが住んでいた時代に、井戸は欠かせない財産の一つでした。イサクの時代は家畜、しもべ、土地、家などが財産ですが、井戸も財産の一つです。人々が集まっているところは必ず井戸がありました。イサクも、アブラハムもカナン地の至る所で、井戸を掘りました。井戸が無いと一日も生活が出来ません。極端に言えば、金や銀が無くても、僕がいなくても、土地が無くても、家畜がいなくても、一日の生活に支障はありません。しかし、水は一日も欠かせません。その時代、引っ越しをするとしたら、一番の条件は水の確保です。ロトがアブラハムと別れる時、東にするか、西にするかを選ぶとき、彼の目に一番先に入ったのは全地に広がっていた牧草と豊富な水でした。イサクはペリシテ人のところに住んでいた時、井戸を掘りました。今日の箇所を通して私たちはイサクと財産、財産の中でも井戸をめぐる争いから、学ぶことがあります。


１．カナン地に住み続けなさい：神さまの戒めと約束
　２６章の始まりを見るとアブラハムの時代にあった先の飢饉とは別に、カナン地にまた飢饉がありました。それでイサクはゲラルのペリシテ人の王アビメレクのもとへ行きました。食べ物を求めて、水を求めて行きました。食べ物、水を求めてエジプトに行く選択肢もありますが、神さまに禁止されました。２節「エジプトへは下ってはならない。わたしがあなたに告げる地に住みなさい。カナンに住みなさいという戒めとそうすれば神さまが祝福してくださるという約束も下さいました。３節「あなたはこの地に寄留しなさい。わたしはあなたとともにいて、あなたを祝福する。あなたとあなたの子孫に、わたしがこれらの国々をすべて与える。こうしてわたしは、あなたの父アブラハムに誓った誓いを果たす。６節「こうしてイサクはゲラルに住んでいた」。大変な飢饉の中、カナン地に住み続けることは難しい選択ではありましたが、イサクは従いました。イサクが神さまに従いましたので、神さまも約束通りイサクを祝福してくださいました。


２．神さまからの百倍の祝福と試練
　イサクは神さまの約束を信じてその地に定着して、その地に種を蒔きました。その年、百倍の収穫がありました。神さまはイサクを大いに祝福してくださいました。
１３ こうして、この人は富み、ますます栄えて、非常に裕福になった。
１４ 彼が羊の群れや牛の群れ、それに多くのしもべを持つようになった。

　しかし、神さまに祝福されたイサクは同時に近所の民族から嫌がらせを受けました。14節の後半「ペリシテ人は彼をねたんだ」　ペリシテ人の妬みは理解できる部分はあります。イサクはよそのものです。寄留者であるイサクがペリシテ人たちのところで、ますます栄えて、勢力を増していくと怖いです。イサクの家族が小さい群れであった時は仲良く、土地を貸してあげる、井戸も使えるようにしましたが、こんなに勢力を拡大していくと警戒するようになります。

　その理由でイサクの家族を追い出そうとしました。追い出すための方法としてイサクが所有していた井戸を土で埋めてしまいました。そして、ペリシテ人の指導者アビメレクに宣告されました。１６節「アビメレクはイサクに言った。「さあ、われわれのところから出て行ってほしい。われわれより、はるかに強くなったから。」

　イサクはこれ以上、ペリシテ人が住んでいる地域では暮らせなくなりました。定着できる土地がない悔しさもありますし、これからどこに行けば良いのかという嘆きもありますし、せっかく神さまが大いに祝福してくださいましたのに、近所の人々に妬みの的となると気が重くなりました。

　神さまからの祝福なのに、どうして試練の始まりになるのでしょうか？　神さまの祝福のせいではありません。人間は皆罪人だからです。理由はどうであれ、住み慣れたところから移すことは心痛いです。


３．井戸を掘り続けるイサク
　私たちの人生の中で、いかなる大変な事があっても、人々とのトラブルがあっても、私たちの生活は続きます。私たちの人生も、人々との関係も続きます。イサクもここで、落ち込んでいる場合ではありません。これからの生活のために井戸を掘り続けるしかありません。

　イサクは追い出された後、ゲラルの谷間に天幕を張り、そこに住みました。以前使っていた井戸を再び掘りました。しかし、今度はゲラルの羊飼いたちが来て奪いました。しもべたちは、もう一つの井戸を掘りましたが、それも争いとなり奪われました。井戸のことで何回も悔しい思いをしました。悔しい思いはあっても仕返しはできません。神さまが約束の地を下さるまで、忍耐と我慢です。カナン地はまだ正式にイサクの土地ではありません。神さまからの百倍の祝福があっても、カナン地はイサクの所有ではありません。土地も井戸もイサクの財産ではありません。しばらく借りているだけです。

　イサクのものであって、イサクのもではない。イサクの財産であって、イサクの財産ではない。イサクの土地であって、イサクの土地ではない。この地にしばらく生活している私たちにも必要な姿勢です。私の財産であって、私の財産ではない。この事実を信じて、認め、従う人に神さまの財産をくださいます。


４．新たなところに落ち着いたイサク
　イサクは何回も井戸を奪われ、悔しい思いをしましたが、主は生きておられます。神さまの祝福は限りがありません。神さまが新しいところをくださいました。そして、イサクは井戸を掘りました。今度は争いがありません。井戸はイサクの家族、家畜の日常を支える神さまの祝福の源です。いくら試練が多くても、終わりがあります。しかし、神さまの祝福は終わりがありません。いくら試練の頻度が多くても、最後は神様の祝福で終わります。イサクは何回もカナン地で追い出されましたが、最後はイサクの子孫が神さまからカナン地を頂きました。神さまの祝福に感謝してイサクも祭壇を築いて、神さまに感謝しました。

　イサクの家族にとって井戸は大事な財産です。しかし、隣の人たちが大事な財産を何回も奪いました。けれども、神さまの祝福そのものを奪うことは出来ませんでした。イサクは井戸を何回も奪われましたが、しかし、神さまに祝福されている身分は奪われませんでした。

今日の箇所を通してイサクと財産が私たちに教えてくださることは何でしょうか？
井戸は大事な財産ですが、財産の全部ではありません。私たちにも財産は大事ですが、財産が私たちの人生のすべてではありません。イサクの井戸みたいに、無くなったり、奪われたり、盗まれたりします。大事な財産が奪われたり、盗まれたりすることは悔しいことですが、私たちの人生が駄目になるくらい悔やんでどうしますか？　財産は神さまがくださるものです。イサクの第一の財産は百倍の収穫でもなく、多くの羊の群れや牛の群れでもなく、多くのしもべでもありません。天の父なる神さまが彼の第一の財産です。天の父なる神が彼を祝福してくださいました。「主は彼を祝福された」

　主が私たちも祝福してくださいます。主が私たちに祝福をくださるように、私たちも信仰の行動をしたいです。イサクは神さまの命令に従ってエジプトに行かないで、カナン地に留まりました。しばらくは大飢饉で大変でしたが、やがて神様が彼らを祝福してくださいました。イサクは何回か、ペリシテ人の土地から追い出されましたが、やがて落ち着く土地に定着しました。

　私たちもイサクのように神さまの約束のみ言葉を頂きたいです。神さまの約束のみ言葉こそ、永遠に変わらない、私たちの財産です。神さまの約束のみことばが、今年には具体的にどのような形の財産として私たちに与えられるのでしょうか？　私たちが主に積極に従う姿勢であるなら、今年の具体的な財産を楽しみにしながら、日々を過ごしましょう。



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