2022年10月23日
列王記第二 2章6～15節
＜ 主の召しに答えて続け！ ＞
おはようございます。新しい週の主の日の朝、今日もこうして愛する皆様と御一緒に私たちの父なる神様に礼拝をささげることのできる恵みを 心から感謝いたします。１０月の 第４主日 を迎えました。今日は、「主の霊を受けて続け！」と題してのメッセージです。
どの分野においても後継者選びは大切な事案です。どれほどすばらしい働きでもうまく引き継がれないことで、閉じられてしまうことがあります。たとえ親子であっても意見が一致することは難しいのです。聖書には、創世記の族長時代から今日の列王記において、多くの代代りがしるされています。イスラエルは北王国として歩みだしますが、神を信じない王により神の祝福から大きくそれていきました。そのような時、神は「預言者」を選び遣わして、生きて働かれる神の力を見せ、真の神に立ち返るよう求めたのです。
Ⅰ．エリヤ、後継者エリシャを任命 (列王記第一 １９章)
偶像礼拝に陥るイスラエルに神は預言者エリヤを遣わしました。エリヤは生きて働く真の神の力を示し、民たちに立ち返るよう勧めますが、容易ではありませんでした。「私は万軍の神、主に熱心に仕えました。しかし、イスラエルの子らはあなたとの契約を捨て、あなたの祭壇を壊し、あなたの預言者たちを剣で殺しました。ただ、私だけが残りましたが、彼らは私のいのちを取ろうと狙っています」(１０，１４節)と、まるで燃え尽きてしまったかのように気を落とし、神の前に弱音を吐いているようです。
主はそんなエリヤを励まし、最後の大切な使命を与えました (１５，１６節)。神は、イスラエルにはまだまだ戦いが続くことを告げ、そのためにエリヤに続く神の預言者が必要であり、エリシャを選んで主の前に立たせるというものでした。
エリヤは主のことばに従い、農作業をしていたエリシャを見つけると、自分の外套を取ってエリシャの肩に掛けました。ここで外套は預言者としての働きを意味します。エリヤはエリシャを自分の後継者に任命したのです。エリヤは最後の時間を用い、自分に仕えるエリシャと共に過ごしながら、神の預言者としての使命を教えました。
エリシャにとって、エリヤの招きは少し唐突な出来事だったかもしれません。しかしエリシャにも、神は預言者への召しを語っておられたのでしょう。二人が初めて出会った時、エリシャはすぐに、エリヤを通して預言者としての召してくださった神のご計画を理解し、「あなたに従って行きます」と応答しました(：20)。そこには不必要な謙遜やためらいは見られません。エリシャは家族や雇人たちに挨拶し、これまでの自分の働きの象徴である「牛」を調理し、ふるまって感謝をあらわし、恵まれた農夫としての生活に別れを告げ、預言者としての人生を歩み出しました。
エリヤが孤独な預言者として神の働きをしたのに対して、エリシャはかなり裕福な農民であり、農夫と言う仕事仲間だけでなく、すでにかなりの人数の預言者グループをかかえていたようです。言うなれば、職業的、政治的にも太っ腹な言動で王の政治に関わっていたのがエリシャだったようです。ここで一つ気になることは、イエス様は弟子となるためには家族に挨拶に行くのも許されませんでした（ルカ９：61，62）。それは、「主よ、従ってまいりますが、まず家の者に別れを言いに行かせてください」と申し出た人に対して、あやふやな気持ち、曖昧な気持ちで弟子になることはできないという意味でおっしゃられたのです。エリシャは、神の招きの声を聞き、選ばれた者として誠実にその召しに従ったのでした。
皆さんの人生にも、自分の思いもよらない方法で考えもしなかった道に導かれる経験が、これから起こるかもしれません。直接的な主の道でなくても、その選択が、主を証しすることに繋がることがあるのです。いつも霊の耳を開いて、主の招きを聴きとれるようにしましょう。
Ⅱ．主の霊を求めるエリシャ (列王記第二 二章一～十五節)
エリヤは自分が天に上げられる時が近いことを知って、エリシャと二人で預言者の仲間たちを訪問する旅をします。１節からその様子が記されていますが、ギルガルで、べテルで、エリコで「ここにとどまっていなさい」と言うエリヤに、エリシャは「私は決してあなたから離れません」と、こんなやり取りを３度も繰り返しながら旅を進めました。師であるエリヤの最期を見届けなければという責任感と覚悟がエリシャにはあったのです。そして、ヨルダン川のほとりに立った時、エリヤは自分の外套を丸めて水面を打ちました。すると水が分かれて、二人は乾いた川底を歩いて渡りました。出エジプトの奇跡（出エジプト14章）、そしてヨシュアたちがカナンに入る際にヨルダン川を渡った奇跡（ヨシュア３章）を彷彿とさせる姿です。二人の預言者には、イスラエルの神が共におられたことがわかります。
どこまでもついてこようとするエリシャに、エリヤが「あなたのために何をしようか」と尋ねると、エリシャは「あなたの霊のうちから二倍分を下さい」と答えました。自分の非力さを知るエリシャは、単に預言者という以上に、偉大なエリヤの後継者として十分な責任を果たすことができるように、エリヤにある神の霊を多く願ったのです。
１０節で、エリヤは、それは「難しい注文」だと言います。エリヤは、霊を分け与えられるのは、自分ではなく、神のなさることであるのだから、神がその２倍の霊を与えるとするなら、エリシャに自分の最期を見させてくださるだろうと考え、エリヤは、「自分が天に上げられる時に、それを見届けられれば、その願いはかなう」と答えたのでした。そして、ついにその時がやってきました。「火の戦車と火の馬が現れ…エリヤは竜巻に乗って天へ上って行ったのです」（１１節）。あまりに突然のすさまじい出来事に、エリシャは叫び声を上げ、衣を引き裂きました。残されたエリヤの外套を拾い、エリヤがやっていたように水を打ち、「エリヤの神、主」はどこにおられるのですか？」（１４節）と呼びました。するとエリヤの時と同じように、水が分かれました。エリヤのいない今も、主がエリシャと共におられたのです。それを見た預言者の仲間たちは「エリヤの霊がエリシャの上に留まっている」と認めました。こうして、主の霊はたしかにエリシャに引き継がれたのです。
Ⅲ．主の霊を受けて続け！
イエス様は、３年余りの公生涯、言葉とわざによって多くの人を助け、励まし、新しい人生へと導きました。人々はイエスこそ王の王、救い主として期待していました。その主が、「自分を王とし、神とした」という罪で、何の抵抗もせず、神の力ある奇跡をも行わず、十字架の罰を受け死なれたのです。それは誰の目にも敗北のしるしであり、共に働いてきた弟子たちさえも主から離れたのです。しかし、その３日後、よみがえられ、主のことばを信じられなかった弟子たちの前に生きて現れてくださいました。私たちの罪を背負い、死なれたことによって救いを完成し、よみがえられたイエスを信じる者に新しい命を与えるという、神の約束を身をもって表し、４０日間、神の国について語られたのです。
弟子たちは、イエスと一緒に再び神の国を建て上げていくことができると心新たに立ち上がっていましたが、イエス様は天の父なる神のもとに帰られるというのです。そして、神の国はあなたがたに託すとおっしゃいました。そのために、わたしはあなたがたにその力=聖霊を与えるから、祈って待っていなさいとおっしゃったのです(ルカ２４：４６～４９)。それから１０日後、祈り待ち望む弟子たちに聖霊が降りました。そして、聖霊に満たされた弟子たちは、様々な国のことばで神のみわざを語り始めたのです。その様子を見て酒に酔っているようだとあざける人もいました。ペテロはこれは預言者ヨエルによって語られていたことであり、この言葉が成就したと声を張り上げ、主のことばに耳を傾けるよう迫るのでした（使徒の働き ２章１７節～２１節）。
神の救いのご計画は、私たちが生まれる前から始まり、長い時代を経て成就しました。そして今も変わることなく、神を信じる全ての人に聖霊を注ぎ、救いの確かさを表し続けてくださっています。
多くの人が宗教に求めるものはなんでしょうか？心の問題の解決を求める人が多いのは事実ですが、聖書が語る「罪の問題、解決」は、人が生きるため本当に必要な「自分を愛し、人を愛し、神を愛すること」を可能にしてくれます。それはまさしく現実離れした酒に酔ってるように見える話だとあざ笑い、多くの人は信じようとしません。しかし、本当に救い主イエスの赦しを体験し、新しい命をいただいた私たちは、何物にも代えられない「愛」という宝をもって、日々歩むことができるのです。主と繋がっているかぎり、決してなくなることも、盗まれることも、時がたっても価値が変わることがない｢愛｣、そればかりか、「愛」は全てのことを受け入れる力となり、豊かに増し加わってくる祝福に繋がっていくのです。
結 論
エリヤやエリシャが働いた時代は偶像礼拝に満ちていました。今の日本、いいえこの地域において、町中に偶像が置かれているわけではなく、人々が偶像に向かって礼拝しているわけでもありません。しかし、真の神を認めないことに変わりはなく、自分が空しいものに心を奪われていることが偶像礼拝であることに気づいていないのです。今、私たちはこの地、この社会に神のことばを伝える預言者として遣わされています。旧約時代のような顕著な神の奇跡は行われません。しかし、今日、信仰を新たにし、祝祷を受けて、社会に遣わされる皆さん一人ひとりに、確かに主の霊が注がれています。どうかこの主の霊を信じ受け取って、全ての人の思いを溶かし、新しい関係を作りだすことのできる神の愛のすばらしさ、真の神のすばらしさを宣べ伝えていきましょう。
本日のみことば
「聖霊があなたがたの上に臨むとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、さらに地の果てまで、私の証人となります。」
使徒の働き１章８節
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