2022年8月21日

ルカの福音書　3章23〜38節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ イエス様の系図にある人々 ＞


　今日は人の名前ばかりある箇所なので聖書朗読者の方は大変でした。今日の箇所は人の名前しか書いてありませんが、何よりも大事な所ではないかと思います。なぜなら、私達はたった２、３分の短い時間で旧約聖書を全部読んだことと同じ意味がありました。今日の箇所に書いてある人々の数は７６名です。彼らの名前は旧約の歴史と同じです。一人の名前には一人の歴史とその時代が含まれています。

　たとえば、東京教会の３０年の歴史とその時代を３０文字で短くまとめて下さいと言われたら、何を書いたら良いですか？　幾人かの人の名前だけ書くのも良き方法ではないかと思います。東京教会の歩みは人々の歩みと同じです。人は歴史に名前を残します。私達の名前も歴史に残ります。私達の短い人生は長い教会の歴史に残りますので素晴らしいクリスチャン生活を過ごしたいです。次の世代の人々に手本になりたいです。ルカは名前だけ書いて、旧約の長い歴史を短くまとめました。今日の箇所を通して大事な教えを頂きたいです。


１．イエス様の家系図の特徴
１）二つしかない新約の家系図
　旧約には家系図がたくさんあります。しかし、新約には二つしかありません。マタイ１章とルカ３章だけです。二つはそれぞれ、特徴がありますし、理由もあります。マタイの系図とルカの系図に関する色んな説もありますが、今日は確実な事だけ考えたいです。

２）神に至る。
　３８節に「エノシュ、セツ、アダム、そして神に至る」になっています。人間の系図にどうして神さまが入っていますか？　７６名一応、神さまの子どもです。「神の子アダム、・・、最後に神の子イエス」。神の子イエスを強調していまし、神の子誰々を強調しています。「神の子ども、或いは父なる神さま」は基督教の一番中心的な真理です。主の祈りには「天にまします我らの父よ！」
使徒信条には「我は天地の造り主、全能の父なる神を信ず」
私達の信仰告白の第一です。

３）ルカが特別に選別した資料の一つ
ルカ１：３「 私も、すべてのことを初めから綿密に調べていますから、・・あなたのために、順序を立てて書いて差し上げるのがよいと思います」。
ルカの福音書はこのような前書きで始まります。彼は福音書を書く前に多くの資料を予め調べて、その中から選択しました。全ての資料を全部書き入れることは出来ません。その量があまりにも多いからです。それでも、今日の箇所はルカにとって必ず書かなくちゃならないところでした。そして、この資料を入れるならどこに入れるのか？　その位置も彼にとって大事でした。以下の四つは一つのセットです。はずしては行けない一つのセットです。

３：２１−２２洗礼（愛する子）２２節
３：２５−３８系図（神の子）３８節
４：１−１２サタンの試み（神の子であるなら）３，９節
４：１４−３０伝道スタート（ヨセフの子）２２節

４）最後のアダムの勝利
Ｉコリント１５：４５に「・・・最後のアダムはいのちを与える御霊となりました」と書いてあります。最初のアダムは死をもたらしました。（メサイア４６番の歌詞と同じですーひとひとり、死をもたらせど）。しかし最後のアダムはいのちをもたらしました。ローマ5：19「・・・一人の人の不従順によって多くの人が罪人とされたのと同様に、一人の従順によって多くの人が義人とされるのです。」

　今日の箇所に出てくる人々はアダムのように不従順による罪人、霊の戦いに負けた人々です。しかし、最後のアダムであるイエス様が来られて、全ての旧約の失敗した歴史を背負いました。代表して７６名を背負いました。そして、ルカ４章のところでサタンの誘惑に打ち勝ちまして、勝利しました。その勝利は十字架で確実になりました。イエス様の勝利は７６名の勝利であり、私達の勝利です。


２．失敗者たち
　今日の箇所に載っている人々はまず、一応は人生の失敗者です。彼らはサタンの試みに負けた人々です。アダムが初めて負けましたが、彼以後７５名が次々と破れました。サタンの試みに一人も勝ったことがありません。サタンには三つの強力な武器があります。その武器に人々は次々と倒れました。

１）「パンになれと命じてごらん」という武器
　体と関係ある基本的な欲望です。―人の体を維持するために、なくてはならない食欲ですが、性欲も付け加えないです。食欲や性欲、自体は悪くありません。しかし、人はその欲望を健全な形ではなくて最悪の形で使います。自分の食欲を満たすために他人を犠牲にします。理性で調節不能の時代を過ごしています。性欲は良いですがそれが、姦淫と言う越えてはならない範囲を越えます。誰でもこのような基本的な本能に惑わされないように注意しなくちゃならない時代です。

２）国々の権威（権力、お金）と栄華（名誉）と言う武器
　テモテへの手紙第一6:10「 金銭を愛することが、あらゆる悪の根だからです。ある人たちは金銭を追い求めたために、信仰から迷い出て、多くの苦痛で自分を刺し貫きました」
お金はとても良いものですが、良いものだからこそ私達の魂に毒になることもあります。

３）飛びおりてごらん（神を試みる、高慢、守るべき身分、地位から離れてはいけない）
　人々は皆この中三つの中で一つ以上の弱さを持っています。人間の歴史はいつもサタンに負け続ける連続でしたが、イエス様が初めてサタンの試みに勝ちました。


３．成功者たち
　今日の箇所に載っている人々は成功者でもあります。彼らは失敗もあり、あらゆる試みに負けました。色んな弱みを持っていました。けれども彼らは一つの事はしました。将来、来るべき救い主への望みを次の世代に伝えたことです。救い主が来られるまで世代を繋げました。彼らの働きはそれで十分でした。私達も同じです。個人の人生の中では弱い部分もありますし、隠したいところもありますし、失敗もあります。けれども、東京教会の３６年の歴史を後輩に伝えて行くだけで私達の働きは十分です。

　今日の箇所に載っている人々のもう一つの成功は、彼らはイエス家系図に入っていることです。家系図の一番上に父なる神様がおられ、一番下に御子なるイエス様がおられます。それでは、その間の７６名は失敗者ですか？　成功者ですか？　別の形で説明すると失敗者たちが７６名います。彼らを一つの手が覆います。父なる神の手です。もう一つの手が覆います。御子なるイエス様の手です。失敗者たちが神のふところに抱かれています。彼らは成功者です。私達ももちろん成功者です。

　信仰と救いの神秘がここにあります。一人一人を見ると確かに罪人です。問題だらけです。深刻な問題児です。人生失敗者です。けれども、神の愛に包まれています。イエスさまの家族の一人です。信仰はイエスさまと家族になること、家族の中に入ることです。救いは家族になったので、以前の失敗、過ちは消されることです。


結論
　私達は神さまの家族です。十字架の救いによってイエスの家族に入籍した神様の子どもです。私達は失敗もします。その失敗が未だに続いています。しかし、私達は成功者です。その理由はイエス家の家族の一員だからです。神の家族という素晴らしさを味わって見て下さい。ルカ３章は一応血筋に基づいた家系図です。（信仰の家系図である可能性もあるかも知ります）
イエス様の以後は信仰の家系図が始まりました。信仰の家系図は血筋による物ではありません。同じ母のお腹から生まれる子供なのに一人は救われ、もう一人は救われない不思議な現象を私達の足りない知恵では説明出来ません。ただただ、私達の救いを感謝するだけです。そして、私達がやるべき事はこれから信仰の系図を造るために頑張る事です。誰が誰を導き、誰が誰を立派な信仰者として育て、誰がｃｓの教師として指導したのか。教会の奉仕者になるまで誰の影響力が強かったとか。これが信仰の系図ではないかと思います。



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