2022年8月14日

ローマ人への手紙　8章32〜39節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 父なる神の自己犠牲 ＞


　人の罪を赦されるのは神さまですが、それでも、神さま自ら納得して、満足する答えが必要です。なぜなら、神さまは偽りがないお方だからです。偽りがないことは神さまご自身に対しても偽りがないことです。神さまは罪人をさばきながら、同時に罪人を愛する方法を私たちに下さいました。自ら罪人を徹底的にさばかれることも出来て、自ら罪人を愛することも出来て、同時に出来て自らも納得する、満足する方法をくださいました。具体的に、旧約では罪人の代わりに家畜が犠牲を払う方法でした。


１．罪人の代わりにさばかれるいけにえ
　旧約時代からイスラエル民は神様の命令に従っていけにえをささげました。罪からきよられるためです。羊やヤギ、牛などが人の罪の代わりに死にました。罪を犯したのは人間ですが、犠牲の血を流すのは家畜です。

　罪を犯した人はいけにえとなる家畜に手をおいて按手しました。人の罪を家畜に転嫁しました。家畜は人間の代わりに血を流しました。血は命を象徴するものです。家畜が血を流すことで、家畜の命の代価によって人が生きることです。

レビ記４：２７−３１
２７ 民衆の一人が、主がしてはならないと命じたことの一つでも行って、気づかずに罪に陥ってしまったが、・・
２８ ・・その人が陥っていた罪のために、ささげ物として傷のない雌やぎを連れて来る。
２９ そして、その罪のきよめのささげ物の頭に手を置き、全焼のささげ物の場所で罪のきよめのささげ物を屠る。
３１ ・・祭司は・・それを祭壇の上で焼いて煙にする。こうして祭司はその人のために宥めを行う。そして彼は赦される。

　ところが、家畜から見ればどうして、罪は人間が犯したのに、家畜が代わりに死ぬのか。家畜は悔しいです。人間の代わりに死にたくありません。新約時代になってからは家畜の代わりにイエス様が神の子羊です。バプテスマのヨハネがこう言いました。
「世の罪を取り除く神の子羊」
イエス様は私たちの罪を代わりに担いました。

ペテロ第一２：２４　「キリストは自ら十字架の上で、私たちの罪をその身に負われた。　それは、私たちが罪を離れ、義のために生きるため。　その打ち傷のゆえに、あなたがたは癒やされた。」
へブル９：２８　「キリストも、多くの人の罪を負うために一度ご自分を献げ、・・
マルコ１０：４５　「人の子も、・・多くの人のための贖いの代価として、自分のいのちを与えるために来たのです。」

　私たちの罪をイエス様が代わりに背負われたことは分かりました。しかし、私たちにも納得できないことが一つあります。「代わりに」と言うことです。私たちの社会は自己責任を強調します。ですから、イエス様が代わりに死んだことを喜ぶのではなく、嫌っています。なぜ、代わりに死ぬのか。大体の人がおかしいと言っていました。


２．神自ら納得するために、神を満足させるためになぜ、御子イエスを犠牲にしたのか。
　「代わりに」という単語から私たちは神の愛を感じるところか、大きな疑問を感じます。なぜ、人の罪に家畜が代わりに犠牲になるのか？　なぜ、人の罪をイエス様が代わりに支払うのか？　罪人本人が支払うべきなのに、どうして代わりに支払うのか？　自己責任を強調すると、代わりに犠牲を払うこと自体が不義のように見えます。ほとんどの方が拒否反応するところです。

　もう一つは、神様は自己中心のお方で、残酷に見えます。神様は何もしないで、御子イエス様にお任せして責任転嫁しているように見えます。神様が自ら納得するため、満足するために、無理やりに十字架を御子イエスに背負わせているように見えます。その方法もあまりにも残酷です。


３．神様も一緒に十字架の苦しみを味わった。
　イエス様が代わりに十字架を背負われる時、父なる神は何をなさいましたか？　十字架は父なる神のお働きではないので、その場から離れていたのでしょうか？　或いは、三位一体の神だから父なる神も一緒に十字架にかかったのでしょうか？

　答えは父なる神も御子のうちにあって一緒に苦しめられたことです。ただし、父なる神も一緒に十字架にかかったと言ってはいけません。父なる神も一緒に十字架の苦しみを味わいました。罪人のための神の自己犠牲です。神の自己犠牲から私たちは本当の愛を見ることが出来ます。

　本当の愛なのか、どうかを確かめる方法が「代わりに」です。愛の一番分かりやすい表し方が「代わりに」です。親の愛、家族の愛を考えてみるとすぐ分かります。親の愛、家族の愛には利害関係の計算がありません。利害関係を超え、いかなる犠牲も惜しみなく、代わりに払います。

　本当の愛は自分自身を犠牲にします。自分を犠牲にする愛は一番人格的な行動です。子どもに何があると親は気がおかしくなります。子どものためなら、親はおかしいこともやります。親の愛を想像してみるとイエス様の十字架は残酷だと言えません。愛する神の子どもたちのためなら、神は何でもなさいます。愛する神の子どもたちである私たちのために何でもなさる神様を見てみたいですか？　皆様も神に本当に愛されていることを確かめたいでしょう。十字架は父なる神がご自分を犠牲するものでした。本当の親であるなら、一番自然な愛の行動です。

３２節 「私たちすべてのために、ご自分の御子さえも惜しむことなく死に渡された神が、どうして、御子とともにすべてのものを、私たちに恵んでくださる」
３５ だれが、私たちをキリストの愛から引き離すのですか。苦難ですか、苦悩ですか、迫害ですか、飢えですか、裸ですか、危険ですか、剣ですか。
３８ 私はこう確信しています。死も、いのちも、御使いたちも、支配者たちも、今あるものも、後に来るものも、力あるものも、
３９ 高いところにあるものも、深いところにあるものも、そのほかのどんな被造物も、私たちの主キリスト・イエスにある神の愛から、私たちを引き離すことはできません。
このように父なる神はいつも、いつでも、真の愛を見せて下さる準備が出来ています。それでは私たちは出来ていますか。真の神の愛に出会うために、本気で臨みますか？　神の愛を確かめるために、人生をかけられますか。命をかけられますか？　父なる神の愛に出会うために、人生までかけるのか、命までかけるのか？　私たちが知っている愛、私たちが見てきた愛、私たちの現在持っている親の愛、愛は元々命をかけるものではないでしょうか？　本当の愛はすべてをかけたところに現れるものです。



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