2022年7月24日

マルコの福音書　5章21〜28節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 二人の１２年 ＞


　今日の箇所には二人の女性が登場します。一人は十二年間も長血をわずらっていた女性、もう一人は１２才しかなってないのに、急に死んだ少女。偶然なのか分かりませんが、同じく１２年と言う時間です。１２年間、病をわずらった女性と１２才で死んだ少女。二人を結び付ける関連性は何もありません。二人は別々の時間を過ごしましたが、イエス様によって同じ神の家族になりました。二人が過ごした１２年間を聖書に基づいて推測して見ました。皆様も彼女たちが過ごした１２年間を想像してみて頂きたいです。彼女たちはどんな歳月を過ごしたのでしょうか？


１．同じ十二年と違う十二年
　二人の女性に神様から頂いた同じ１２年間がありました。ところが、二人が過ごした同じ１２年という物は全く違うものです。物理的な時間は二人とも同じです。しかし、彼女たちが心で感じる時間はあまりにも大きな差がありました。時計と心にある時計とスピードが違います。一人はあまりにも遅いと言っています。一人はあまりにも早いと言っています。同じ時間なのに、感じるのは違います。物理的には皆、一日２４時間、一年３６５日、皆同じ時間を過ごしましたが、心で感じる時間は皆、違います。

１）重い病を持っていた女性に取って１２年というものはあまりにも長い歳月でした。
　体が痛い人に取って一日、２４時間は長く感じます。痛みを感じる時間ばかり長いです。何がやることでもあれば、痛みを忘れますが、やることもありません。一日中、痛みに耐える時間ばかり長いです。

　２５節に「１２年の間」と書いてあります。彼女の苦しい心を表しています。「１２年の間」、最初の一年はあらゆる不平、不満、つぶやきがあったと思います。しかし、希望はあったと思います。「私はきっと治る」
２年目になると希望も薄くなるし、３年目に落胆して、４年目には絶望して、５年目には引きこもりになって孤独に陥ります。

　２６節に「多くの医者からひどい目にあわされて、持っている物をすべて使い果たした」と書いてあります。お金もなくなりました。皆が彼女から離れて行きました。独りぼっちになりました。望みが完全になくなりました。神様を恨んだこともあるかも知りません。長い病は人格や、性格、価値観と信仰も変えます。彼女に取って１２年は１２０年のように長く感じたかも知りません。

２）その反面、１２才の少女にとって１２年はあまりにも早い時間でした。
　この少女と家族に取って、特にお父さんヤイロにとって、１２年はあまりにも短い時間でした。ヤイロの家でこの少女の存在は喜びそのものだったと思います。その理由として２２−２３節に八イロのことばを見るとそうです。

　「足もとにひれ伏して」「懇願しました」。娘を亡くしては生きていられない、娘が生きるためなら何でもやれる父でした。医者は完全にあきらめていたので、イエス様の足下で切実に懇願したでしょう。

　もう一つは、ヤイロは２３節で１２才の娘を「小さい娘」と言っています。弟子たちの目には成人です。「１２才にもなっている：口語訳」

　イスラエルは１２才に成人式をします。弟子たちの目には１２才の成人ですが、ヤイロの目にはいつまでも１２才しかなっていない小さい子どもでした。そのくらい可愛がったでしょう。父ヤイロに取って娘と過ごした１２年間はあまりにも短い時間でした。あまりにも短く終わった幸せでした。私たちはヤイロの気持ち、十分理解出来ます。親にとって自分の子どもはいつまでも子どもです。

　二人の女性は二人とも神様に不満でした。一人は１２年間があまりにも長かったので不満です。もう一人の少女はあまりにも早く人生が終わったので不満です。しかし、主にあって彼女たちは満足する人生に変わります。


２．違う過去と同じ未来
　二人の女性はそれぞれ違う人生でした。全然違う１２年間を過ごしました。一人はあまりにも不幸せでしたが、一人は普通の幸せでした。一人はあまりにも長い時間でしたが、もう一人はあまりにも短い時間でした。一人はあまりにも辛い人生の道のりでしたが、もう一人は平凡な良き道のりでした。一人には家族がいません。しかし、一人には家族がいました。一人にはお金がありません。しかし、一人にはお金がありました。一人は家族からの愛がありませんでしたが、一人には全家族から愛されました。一人は死んでも泣いてくれる人すらいませんでしたが、一人には大勢の人々が泣いてくれました。二人は全く会えない運命の人々でした。一人は会堂に近づくことすら出来ない人でしたが、もう一人は父が会堂司でした。

　ところが、二人とも後に幸せな人に変わります。二人は主にあって人生が変わりました。しかも同じ幸せの人に変わりました。一人が主に繋がって、もう一人が主に繋がって、二人とも互いに繋がることになりました。
２７節「イエス様の衣に触った」とたん、主に繋がりました。永遠の命、癒しの力がイエス様から大人の女性に流れました。
４１節「子どもの手を取った」とたん、もう一度新たな命が流れました。
彼女たちは別々にイエス様に繋がりました。別々にイエス様に会いました。別々にイエス様を信じて救われましたが、主にあって同じ神様の子どもとなりました。イエス様と出会うことによって彼らの未来が変わりました。しかも幸せの未来に変わりました。

　一人には苦しみ終わり、幸せが始まりました。もう一人には引き続き幸せでした。最初の二人は全く違う時間を過ごしていましたが、イエス様と出会うことによって同じ幸せの生き方に変わりました。


３．私たちの十二年の過去と未来
　生涯において１２年という時間は長いです。しかも重要な期間です。生まれた赤ん坊が１２年経つと小学校６年生になります。小学校に入学した子供が１２年経つと高校３年を卒業して大人になります。若いとき１２年間、何を準備するかによって人生が決まります。私たちは既に過去の十二年を使いました。その結果が現在です。少なくとも私たちは一応、成功者です。なぜなら、様々な経験はともあれ、イエス様を信じてここに集まっているからです。皆様もあらゆる事に接してここまでたどり着いたと思います。私もあらゆる苦難の道のりを経て今までたどり着きました。

　私たちにこれから新しい未来が始まります。皆様はこれからの１２年間、何をしたいのですか？　未来にやりたいことが色々あると思いますが、やはり全ての中心は信仰です。



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