2022年6月19日

マタイの福音書　9章9〜13節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 自分は必要な人なのか ＞


　現代社会はすべてが自動化、機械化されました。ですから、人を必要としない時代となりました。会社が私のことを必要としなくなったら、どうすれば良いでしょうか？　会社を辞めると生活はどうなるのでしょうか？　ですから、学生の皆様はいつの時代になっても人を必要とする職業を求めています。

　社会が私のことを必要としなかったらどうしましょうか？　孤独になると思います。家族が私のことを必要としないのであるなら、どうしましょうか？　寂しくなると思います。また、悔しくなると思います。

　人々が私のことを必要とするときは生きがいになり、元気の源となります。幸せを感じます。反対に人々が私のことを必要としないときは元気がありません。生きる気力がありません。不幸を感じます。

　教会は私のことを必要とするのでしょうか？　そもそも神さまは私のことを必要とするのでしょうか？　先週、行われた中年の危機セミナーのテーマ見たな内容です。


１．神さまは私を必要とするのか。
ヨブ記を見るとヨブの友がこのように言いました。
ヨブ記３５：６−７
「あなたが罪を犯したとしても、あなたは神に対して何ができるのか。あなたの背きが多くあるとしても、神に対して何をなし得るのか。あなたが正しかったとしても、神に何を与えられるのか。神は、あなたの手から何を受けられるのか。」

　そもそも神さまはなぜ、人間を造られたのでしょうか？　神さまの仕事のために必要だったので造られたのでしょうか？　土のちりで造られた弱い人間のどこが必要で造られたのでしょうか？　エデンの園を管理させるために造られたのでしょうか？

創世記２：１５
「神である主は人を連れて来て、エデンの園に置き、そこを耕させ、また守らせた」
耕させる：農夫が必要だからなのか。土で造られた人間は弱くて効率悪いです。守らせる：警備が必要だからなのか。天使に任せた方が効率良いのに。

　神さまは宇宙を支配して、管理しています。アダムはエデンの園を支配して、管理しています。似ている身分として交わる関係です。神のかたちとして、神のにすがたとして、互いに通じ合う関係として造られました。私たちを愛するために造られました。

　神さまはなぜ、私たちを救われたのでしょうか？　必要だったので、救われたのでしょうか？　罪人のどこが必要なので、救われたのでしょうか？　愛しているから救われたのではありませんか？

ローマ５：８
「しかし、私たちがまだ罪人であったとき、キリストが私たちのために死なれたことによって、神は私たちに対するご自分の愛を明らかにしておられます。」

　必要と愛は違います。子どもが必要なので、子どもを産む人がいますか？　私の老後のための保険として子どもを産んでいますか？　私の後継ぎが必要なので、子どもを産んでいますか？　その家庭は最初から不幸が始まっています。今の時代が戦国時代でもないし、昔みたいに農業の仕事のために男の子が必要で、子どもを産んでいるわけでもないし。親が子どもを産むのは必要があるからではありません。夫婦が愛して、その愛の結果が子どもです。

　親が子育てをしている理由は子どもが必要だからではありません。面倒見てもらうために育てているわけではありません。親を心配させることも多い、お金もかかりますが、その理由は愛しているからです。必要ではなく、愛の故に育てています。

　天の父なる神さまが毎日、私たちの必要な物を与えてくださる理由は私たちが必要だからではありません。私たちが神さまの子どもだからです。私たちを毎日養ってくださる理由は愛する神の子どもだからです。


２．イエス様の周辺には必要ない人ばかり
　イエス様の周辺には多くの人が集まりました。今日の聖書の箇所にも「取税人たちや罪人たちが大勢来て、イエスや弟子たちとともに食卓に着いて」いました。取税人のマタイを弟子にしてくださいました。イエス様にマタイが要りますか？　マタイを弟子にしたせいで、さんざん言われました。罪人たちの友だと指さされました。

　イエス様に罪人が必要ではなく、反対にこれらの罪人達にイエス様が必要です。イエス様が取税人や罪人達を受け入れてくださったのは必要だからではなく、真実に愛していたからです。

　イエス様の周辺に集まった人たちはほとんど、社会から捨てられた人たちです。取税人のザアカイ、ツァラアトに冒された人、姦淫した女性、目が見えなくて物乞いをしている盲人、悪霊に取りつかれていたマグダラのマリアなどなど、数えきれないほどです。彼らがイエス様のところに来る前にイエス様が先に彼らのところに行かれました。そして、彼らの招いて下さいました。

マタイ１１：２８
「すべて疲れた人、重荷を負っている人はわたしのもとに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。」

　イエス様が彼らを招いてくださった理由は彼らが必要だからではなく、彼らをあわれんでくださったからです。羊飼いのいない羊みたいに人生の道をさまよう彼らをあわれんでくださいまして、彼らを愛してくださいまして、神の国に招いてくださいました。

　イエス様の周辺にはパリサイ人たちもいました。イエス様にはパリサイ人たちも取税人みたいに必要性があるわけではありません。しかし、彼らを愛しておられるので、彼らを神の国に招いてくださいました。しかし、彼らには罪人の友であるイエス様は要りません。もちろん、イエス様を愛することもありません。


３．聖書にある必要ないと思われた人たち
　聖書には必要ない人たちの物語が多いです。エリヤ、エレミヤ、パウロ、イエス様さえ

　人々は誰でも時間と共に段々、必要性が薄くなります。私自身も現在は東京教会に要りますが、段々、必要性が無くなります。私たちはどうすれば良いでしょうか？　引き続き、必要とされる人になろうと頑張りますか？　こんな年で、すでに体と心がぼろぼろになっているのに。結局は要らない人になります。その時の挫折感、どうなさいますか。あの偉大な神のしもべエリヤでさえ、神さまに死を求めました。「神さまもう十分です」

　私たちはこれから心の準備が必要です。今までは社会が、家族が、私を必要としていることで幸せを感じました。私のことを必要としてくれれば幸せ、私のことを必要としないと不幸でした。しかし、これからはただ、父なる神さまに愛されていることだけでも、十分幸せを感じられるようになりたいです。

　そのためには毎日、み言葉を黙想してください。
マタイ６：２６
「２６空の鳥を見なさい。種蒔きもせず、刈り入れもせず、倉に納めることもしません。それでも、あなたがたの天の父は養っていてくださいます。あなたがたはその鳥よりも、ずっと価値があるではありませんか。」
私たちがいくら歳をとっても、仕事ができなくなっても神様にとっては価値ある尊い神の子どもです。

　父なる神さまが私をこの世に送られました。私が必要だからではなく、この世の何よりも私を愛しておられるからです。イエス様が私の罪の中から救い出してくださいました。私が必要だからではなく、この世の誰よりも私を愛しておられるからです。

　この一週間、私たちの心の中に満ち溢れる神さまの愛、イエス様の愛が必要です。主に愛されている認識が強い方は世間から要らない人だと言われても平気で乗り越えられます。私のことを必要としない、今のこの時代こそ、私たちに三位一体の神の満ち溢れる愛が必要です。

　神さまにとても愛されてきて、今もとても愛されていると神の愛に十分満たされていると認識する人はこれ以上未練がありません。歴史の舞台から退場して、次世代が主人公になることを喜びます。歴史の主人公から今度は裏で祈りながら次世代を支える立場になっても喜びます。人生の舞台の上に立っても、裏で応援する側に回っても、何も以前と変わっていません。神さまに愛されていること、とても大事な神の子どもであることはいつまでも同じです。この信仰が私たちの未来を支えてくれます。



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