2022年4月24日

ローマ人への手紙　9章1〜13節

　　　　　　　　　　　　　　　　　 　＜ 神の選びによる神の家族 ＞


　未信者一人が救われるととても嬉しいことです。この世の中でこれほど嬉しいことはありません。しかし、同時に寂しさもありました。なぜなら、他の家族は救われるのに、自分の両親は救われなかったら、責任とれるのか？　もしかして、家族が救われなかったら自分は大丈夫かと悩んだことがありました。皆様も同じ気持ちでしょうか？　一人が洗礼を受けるのを見ると「私の家族はまだ、救われていない」と思うとうらやましさと寂しさが微妙に交じり合う気持ちになりますか？

　今日の聖書に出てくる使徒パウロがまさにそうでした。いや、私たちが感じる微妙な感情とは比べ物にならないくらい彼は両極端な感情でした。彼は異邦人が救われる度に、使命を果たしているので、大いに喜びました。しかし、同時に彼の親族、同じ民族のユダヤ人が救われないことを悲しんでいました。3節を見るとユダ人が救われるのであるなら、彼自身はキリストから離されても良いと言うくらいです。ローマ８：３９で彼は「私たちの主キリスト・イエスにある神の愛から、私たちを引き離すことはできません」と神の愛を確信していますが、同族のユダヤ人が救われるためなら、彼自身は神から離されても良いと思うくらい苦しんでいます。彼は最初から異邦人を宣教するために選ばれた器です。

使徒行伝９：１５
「・・・あの人はわたしの名を、異邦人、王たち、イスラエルの子らの前に運ぶ、わたしの選びの器です。
ユダヤ人があまりにもパウロの宣教活動を邪魔したので、彼もユダヤ人をあきらめて異邦人のところに行くと宣言したこともありました。

使徒行伝１３：４５−４６
「４５ しかし、この群衆を見たユダヤ人たちはねたみに燃え、パウロが語ることに反対し、口汚くののしった。

４６ そこで、パウロとバルナバは大胆に語った。「神のことばは、まずあなたがたに語られなければなりませんでした。しかし、あなたがたはそれを拒んで、自分自身を永遠のいのちにふさわしくない者にしています。ですから、見なさい、私たちはこれから異邦人たちの方に向かいます。」

しかし、それでも彼が同族を憎んだことはありません。彼らの救いを諦めたこともありません。彼の本心は3節です。「私は、自分の兄弟たち、肉による自分の同胞のためなら、私自身がキリストから引き離されて、のろわれた者となってもよいとさえ思っています。」

　救いに一番近かったユダヤ人、パウロがあれほど、切実にユダヤ人の救いのために祈りました。しかし、それでも実際は救われなかったユダヤ人、ユダヤ人とパウロの関係を見ると救いというのは不思議なものです。パウロもユダヤ人の中のユダヤ人でしたが、彼は救われましたが、他のユダヤ人は彼を迫害しました。救いって、本当に奇妙なものです。救いって何でしょうか？


１．救いに一番近かったユダヤ人
　ユダヤ人はとても救いに近い民族でした。救いに一番近いというか、彼らは生まれつきのように救われていると確信していました。生まれつき、救われていると思うから信仰生活に熱心でした。

４節
彼らはイスラエル人です。言わば神に選ばれた民族です。子とされる身分を授けられました。栄光も、もろもろの契約も、律法を授けられました。礼拝も、数々の約束も彼らのものです。

５節
また父祖たちも彼らのものです。肉によればキリストもまた彼らから出られました。救われる可能性が一番高い民族でした。救われる確率が一番高い民族でした。


２．救いに一番遠かったユダヤ人
　彼らが生まれつきのように救われたと思っていたのはアブラハムの子孫だからです。しかし、アブラハムの子が全部救われるのではありません。イサクの子が救われます。イサクの兄であるイスマイルは神の民から離れました。

７ アブラハムの子どもたちがみな、アブラハムの子孫だということではありません。むしろ、「イサクにあって、あなたの子孫が起こされる」からです。
８ すなわち、肉の子どもがそのまま神の子どもなのではなく、むしろ、約束の子どもが子孫と認められるのです。

　イサクの子が全部救われるのではありません。イサクの二人の子どもの中から、弟のヤコブが選ばれましたが、エサウは選ばれませんでした。こうなると肉によるユダヤ人だからと言って、救われるのではなく、神の約束を受けている人が救われます。

　その意味ではパウロ時代のユダヤ人は神の約束がないので、救いから一番遠い人でした。なぜなら、神の約束はイエス様だからです。ユダヤ人は神の約束であるイエス様を受け入れていませんでした。


３．救いは救い主の御心によるもの
　アブラハムの二人の子どもの中でイサクが選ばれたことはイスマイルが選ばれなかったことを意味します。イサクの二人の子どもの中でヤコブが選ばれたことはエサウが選ばれなかったことを意味します。

　私たちは先に神に選ばれ、救われました。私たちの家族の一部はまだ、救われていません。私たちはなぜ、先に選ばれ、早めに救われたのでしょうか？　私たちの家族はなぜ、まだ選ばれなくて、まだ救われていないのでしょうか？　私たちは神に愛されましたが、彼らは神に愛されていないからでしょうか？　選ばれた人は感謝、喜びですが、選ばれなかった人は何でしょうか？　ヤコブが選ばれ、エサウが選ばれなかったことはただただ神の恵みによるものです。

１１ その子どもたちがまだ生まれもせず、善も悪も行わないうちに、選びによる神のご計画が、
１２ 行いによるのではなく、召してくださる方によって進められるために、「兄が弟に仕える」と彼女に告げられました。

　私たちの救いも神のあわれみという概念で説明しないと他の人間的な要因では説明できません。なぜ、エサウは選ばれなかったのかと質問されると答えられません。なぜ、ヤコブが選ばれたのかと質問されても答えられません。

　一つだけ答えられるのは、救いは神さまにあわれみを求める人のものです。ヤコブは人間的にはずるいことを沢山しましたが、一つだけ優れていたことは神さまのあわれみを求めたことです。エサウは彼自身の力を信じたので、神さまに恵みを求めることは一切しませんでした。主にあわれみを求める者は救われます。イエス様の十字架のそばに一緒にかかっていた二人の囚人が良き例えです。

ルカの福音書２３：４１−４３
４１ おれたちは、自分のしたことの報いを受けているのだから当たり前だ。だがこの方は、悪いことを何もしていない。」
彼はなぜ、人生の終わりのところ、急に今までの生き方を悔やんでいるのでしょうか?　なぜ、急に悔い改めるようになったのでしょうか？
４２ そして言った。「イエス様。あなたが御国に入られるときには、私を思い出してください。」

　聖霊が彼をあわれんでくださいまして、悔い改めたい心をくださったと思います。イエス様の右側の十字架にかかっていた囚人を神さまはあわれんでくださいました。彼は人生の最後の瞬間、神さまの憐れみによって選ばれました。彼はイエス様にあわれみを求めました。

４３ イエスは彼に言われた。「まことに、あなたに言います。あなたは今日、わたしとともにパラダイスにいます。」

　十字架の上で彼は救われるために何もできません。十字架の上で彼は救われるために何もやっていません。神さまが彼をあわれんでくださいまして、悔い改められる心をくださいました。

　私たちの家族の一部はなぜ、まだ選ばれていないのか不思議です。それよりもっと不思議なことはなぜ、自分は先に選ばれたのか?　神さまのあわれみによる救いの御業は不思議なことばかりです。私たちはただ神さまの恵みに感謝しかありません。



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