2022年4月17日

マタイの福音書　28章1〜15節

　　　　　　　　　　　　　　　　　 　＜ 二種類の報連相の人たち ＞


　イースター、おめでとうございます。東京教会の信徒の皆様の上にイエス様の復活の祝福と恵みがありますようにお祈りさせて頂きます。

　皆様も報連相のことばはご存じだと思います。報告、連絡、相談の頭文字を合わせて報連相と言います。皆様も会社で報告、連絡、相談することが多いと思います。私も役員会の時、信徒皆様の現状を役員に報告しています。また、信徒の皆様一人一人に連絡することもあります。一人では決められないことを相談することもあります。

　さて、今日の箇所にイエス様の復活に関して、報連相の役割をしている人たちがいます。イエス様が復活なさったお墓の近くに二種類の人たちがいました。彼らはイエス様がよみがえられる瞬間は見ていませんが、お墓の近くにいまして、不思議な現象を感じて、見て、聞きました。見たこと、聞いたこと、感じたことを誰かに報告、連絡、相談しました。


１．マリアたちの報連相
　安息日が終わって週の初めの日の明け方、イエス様のお墓に行ったのはマグダラのマリアともう一人のマリア、二人だけです。他の福音書によりますとイエス様のお墓に行ったのは3人の女性です。

（１）彼女たちの報告の内容（天使を見たこと、天使から聞いたこと）
　女性たちは見て、聞いて、感じたことを弟子たちに報告、連絡しました。この女性たちはまず、大きな地震の揺れを感じました。主の使いが天から降りて来て石をわきに転がしたので、地の揺れを感じました。そして、その上に座っている天使を見ました。その姿は稲妻のようで、衣は雪のように白かったのです。彼女たちは恐れを感じました。

御使いが彼女たちに言っていることを聞きました。
６ 「イエス様はここにはおられません。前から言っておられたとおり、よみがえられたのです。さあ、納められていた場所を見なさい。
彼女たちは天使を見て、天使からの伝言を聞いて、地の揺れを感じ、心に恐れを感じました。これらのことをすべて弟子たちに伝えました。

（２）彼女たちの連絡の内容（天使からの伝言）
天使たちが弟子たちに伝える伝言がありました。彼女たちが弟子たちに伝えました。
７ そして、急いで行って弟子たちに伝えなさい。『イエスは死人の中からよみがえられました。そして、あなたがたより先にガリラヤに行かれます。そこでお会いできます』と。いいですか、私は確かにあなたがたに伝えました。」

　「私は確かにあなたがたに伝えました」と天使が言っているのを見ると天使たちも主から預かった伝言を、彼女たちに伝えているわけです。天使は女性たちに確かに伝えましたよと確かめています。主から天使に、天使から彼女たちに、彼女たちから弟子たちに、弟子たちから時代を超えて私たちに、私たちから未来の誰かに。復活のイエス様の伝言はこれからも未来に続きます。イエス様の復活に関して伝言する活動が宣教です。

（３）もう一つの報告と連絡内容（復活のイエス様を見て、聞いて）
彼女たちは、今度は、よみがえられたイエス様に直接、出会いました。
９ すると見よ、イエスが「おはよう」と言って彼女たちの前に現れた。彼女たちは近寄ってその足を抱き、イエスを拝した。

　復活されたイエス様を見ました。イエス様の声を聞きました。イエス様の体に触れました。これらの内容を全部弟子たちに伝えました。イエス様から預かった伝言があります。内容は天使から預かった伝言と同じです。
１０節　イエスは言われた。「恐れることはありません。行って、わたしの兄弟たちに、ガリラヤに行くように言いなさい。そこでわたしに会えます。」

　女性たちと天使は忠実に報告して、連絡しました。私たちに真実を伝えてくれました。それに比べると兵士たちはいかがだったでしょうか？


２．兵士たちの報連相
（１）兵士たちの報告の内容（天使を見たこと）
　彼らはイエス様のお墓を見張っていました。イエス様が十字架にかかる前から復活を予言されていました。それを警戒した祭司長たちがわざとピラトにお願いして、何日間でもイエス様のお墓を見張るようにしていました。兵士たちはマリアたちよりももっと近いところで、地の揺れを感じ、近くで天使を見ていました。

　兵士たちは大きな地震の揺れを感じました。主の使いが天から降りて来て石をわきに転がしたので、地の揺れを感じました。そして、その上に座っている天使を見ました。その姿は稲妻のようで、衣は雪のように白かったのです。兵士たちが見て、感じたことは衝撃そのものです。彼らの何人かは恐怖の中、報告しました。４節「その恐ろしさに番兵たちは震え上がり、死人のようになりました」
１１節 「番兵たちが何人か都に戻って、起こったことをすべて祭司長たちに報告した」

（２）偽りの伝言（ピラトに）
　兵士たちはすべてを祭司長たちに報告しました。報告を受けた祭司長たちは協議をしました。言わば、相談したことです。その結果、偽りの伝言を兵士たちに預けました。
１３ 『弟子たちが夜やって来て、われわれが眠っている間にイエスを盗んで行った』と言いなさい。
真実を報告したのに、人間同士で相談した結果、偽りが生まれました。いくら真実に基づいて議論しても、人間は罪人なので、結論は偽りを生み出します。

兵士たちは責任者に偽りの報告をしました。その報いとして多額のお金を受け取りました。
１５節 「そこで、彼らは金をもらって、言われたとおりにした。それで、この話は今日までユダヤ人の間に広まっている」
「今日まで」はマタイの福音書が書かれた時のことです。イエス様が復活してから大体30年間、およそAD60年前後まで長い間、偽りの噂が広がりました。

　当時の人々はどちらの話を信じたのでしょうか？　女性二人と兵士と、どちらの話を信頼してくれたのでしょうか？　二人のマリアよりはやはり、兵士たちの話を信頼してくれたでしょう。


３．報連相する者の姿勢
　報告、連絡する人の姿勢は正確に、正しく、素早く伝えることです。天使は二人のマリアにイエス様の復活を正確に、正しく、素早く伝えました。二人のマリアもイエス様の復活のお知らせを弟子たちに正しく、素早く伝えました。女性たちは伝言のために走りました。兵士たちも見たことを素早く、正しく、祭司長たちに伝えました。報告する人、連絡する人はそれで充分です。彼らの役目はそれで終わりです。ところで、今日の箇所の報連相の仕事をした人たちの未来を想像してみました。

二人のマリアたち
８ 彼女たちは恐ろしくはあったが大いに喜んで、急いで墓から立ち去り、弟子たちに知らせようと走って行った。
その後、彼女たちは聖霊に満たされ、多くの愛する兄弟姉妹たちと共に喜びながら、感謝し、主の復活の証し人として、命さえ惜しみなく主のために生涯をささげたでしょう。彼女たちの生涯は一言でいうと喜びです。主が下さいました真実の中に暮らしている人には心に安らぎがあります。

番兵たちの何人か
　彼らは正しく、正確に、素早く報告しました。しかし、彼らは偽りの集団に加わりました。彼らが見たことを正確に伝えることだけで良いのに、偽りの集団と相談しました。祭司たちの言われた通りに言わざるを得なくなりました。彼らは天使を見て、イエス様の体が無くなったと真実を言っても誰も信じてくれません。そして、イエス様の体が無くなったことは確かなことなので、責任が重たいです。ですから、生きるために、真実を言うよりは祭司長たちの提案を受け入れて、この危機を逃れた方が良いと計算したでしょう。おまけに多額の金ももらったので、一石二鳥です。

　しかし、それで良いでしょうか？　彼らは死ぬ時までずっとうそをつかなくてはなりませんでした。真実通りに言えないことは辛いことです。兵士たちがうそをついても、イエス様が本当によみがえられたと証しする証人たちがあちらこちらから現れました。しかし、その都度、兵士たちはうそをつきましたが、それはしんどいです。しんどくなって、本当の真実を言っても、「今さら何を」です。生涯ずっと真実を言えない、言わない闇の中で暮らしたと思います。二人のマリアと全然違う未来ではありませんか？

　 これから主は私たちと共におられることを見せて下さるでしょう。私たちは主の証し人です。私たちはこれから、どちらの証し人になりましょうか？　真実を正しく、偽りがない、報告、連絡、相談する喜びの人として暮らしたいです。



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