2022年4月10日

ルカの福音書　23章35〜39節

　　　　　　　　　　　　　　　　　 　＜ キリストであることを証明せよ ＞


　今週は受難週でございます。イエス様の十字架の愛と恵みを黙想する一週間です。イエス様は十字架の上で誘惑を受けられました。「お前がキリストであるなら、それを証明せよ」と嘲りのことばを聞きました。イエス様がキリストであることを証明しなさいと要求されたのはお働きが始まる最初の時からでした。

　サタンはルカ4章で神の子であることを証明しなさいとイエス様に誘惑しました。
ルカ４：３
そこで、悪魔はイエスに言った。「あなたが神の子なら、この石に、パンになるように命じなさい。」

ルカ４：９
また、悪魔はイエスをエルサレムに連れて行き、神殿の屋根の端に立たせて、こう言った。「あなたが神の子なら、ここから下に身を投げなさい。

　サタンはしばらく離れましたが、その後も三年間、人々の口を通して絶えず、誘惑しました。最後の時も、十字架の上で三回も続けて、人々の口を通して、キリストであることを証明しなさいと誘惑しました。

　ユダヤ人にとって神の子とキリストは同じ身分の存在です。ですから、同じ誘惑です。今日の箇所にはサタンに利用されて、イエス様に自分を救いなさいと皮肉る三種類の人たちがいます。彼らは人間の残酷さを代表する人たちです。彼らの罪を見て、私たちにも同じ罪があることを認め、主に悔い改めましょう。

今日の箇所に登場する人たちが使っている単語は違いますが、同じ意味です。
議員たちは「キリストであるなら」
兵士たちは「ユダヤ人の王であるなら」
犯罪人の一人は「キリストではないか」


１．議員たち
３５節：「議員たちもあざ笑って言った。「あれは他人を救った。もし神のキリストで、選ばれた者なら、自分を救ったらよい。」
キリストはギリシャ語で、同じ意味のヘブル語はメシアです。メシアは最後の日にイスラエル民を救い出すとユダヤ人は旧約の時代から信じていました。メシアは民を救い出すお方です。それなのに、議員たちはイエス様に「自分を救ったらよい」と皮肉っています。これは嘲りです。メシアと言いながら自分自身も救えないくせに、民を救い出すことはあり得ないという意味での嘲りです。私たちにも議員たちみたいに皮肉ることがあります。


２．兵士たち
３７節：「おまえがユダヤ人の王なら、自分を救ってみろ」と言ってイエスを嘲りました。兵士たちはユダヤ人ではなく、ローマの兵士です。彼らはメシアの預言など知りません。メシアとか、キリストとか言葉は知っていても、彼らに慣れている言葉ではありません。兵士たちに慣れていることばは王様です。ローマ皇帝に属している兵士が植民地のユダヤ人の王への嘲りの言葉が37節です。

　ユダヤ人の王、イスラエルの王、これらの言葉は旧約聖書にある契約の言葉です。神はイスラエルの唯一の王様です。師士記、サムエル記、列王記の主な思想がこれです。万軍の神こそ、イスラエルの唯一の王様である。イエス様はユダヤ人の王として彼らのところに来られましたが、ユダヤ人は受け入れませんでした。ピラトの裁判の時、大祭司がユダヤ人の王様であるイエス様を拒みました。

ヨハネ１９：１５
「彼らは叫んだ。「除け、除け、十字架につけろ。」ピラトは言った。「おまえたちの王を私が十字架につけるのか。」祭司長たちは答えた。「カエサルのほかには、私たちに王はありません。」

　神への最高レベルの罪です。反逆罪です。それでは、私たちの唯一の王はイエス様でしょうか？　イエス様こそ、私の唯一の王様であることはイエス様に全面的に従うことを意味します。イエス様こそ唯一の王様であると告白する人がイエス様に従います。


３．犯罪人の一人
３９節：「おまえはキリストではないか。自分とおれたちを救え」と言った。イエス様を含めて、三人が十字架にかかりました。一人はイエス様の左に、もう一人は右にかかりました。犯罪人の一人は、十字架にかかってさばかれているくせにイエス様を嘲りました。「自分とおれたちを救いなさい」と言いました。

議員たち、兵士たち、犯罪人の一人
これらの三種類の人たちがイエス様を嘲る中、共通していることがあります。「キリストであるなら、証明しなさい」です。証明する方法は「イエスご自身を救う」ことです。

　サタンも、ルカ4章で同じ誘惑をしました。イエス様が４０日間断食された後、飢え続けると死ぬので、死なないように、餓死から救えるパンを作りなさいと誘惑しました。飢え渇きから「あなた自身を救いなさい」という誘惑です。

　メシアは民を救い出すお方であって、メシア自身を救い出すお方ではありません。メシアは誰かを救い出す力あるお方なので、そもそもメシア自身が危ないところに陥るはずがありません。イエス様がメシアでありながら、十字架で死なれるのは民を罪から救い出すためです。


４．キリストであることを証明なさるイエス様
４３節：「まことに、あなたに言います。あなたは今日、わたしとともにパラダイスにいます。」
　三種類の人たちはイエス様にキリストである証明を求めました。イエス様はその要求に答えて、右側の囚人を救われました。イエス様は最後の瞬間まで一人の魂を救われました。メシアは罪人を救われるお方です。メシア自身を救うお方ではありません。いや、むしろメシアはご自分を救う必要がありません。メシアは全能のお方であって、危ないところに追い込まれること自体がありません。

　メシアは全能のお方で、自ら救わねばならないことはまずないと彼らも知っています。イエス様に自ら救いなさいと言っているのは嘲っているだけです。十字架のそばでイエス様を嘲っていた人たちはイエス様に要求しました。「神の子であるなら、メシアであるなら、証明せよ」

　ところが、私たちも同じく祈っています。「本当に主が生きておられ、私のそばにおられるお方であるなら証明してください」。それでは私たちの祈りは間違っているのでしょうか？　いいえ、全然、間違っておりません。

　むしろ、私たちはもっと積極に、頻繁に祈りたいです。「キリストであることを証明してください」。2000年前、十字架のそばでイエス様を嘲っていた人たちと私たちと同じことを求めているのに、何が根本的に違うのでしょうか？

　彼らは不信仰から始まっているのが違います。最初から信じるつもりはありません。イエス様を嘲弄しているだけです。

　私たちも同じ祈りはしますが、私たちの目的はもっと熱心に信じるため、もっと積極に従うためです。主が私に共におられることを見せてくだされば、私も今までよりはもっと熱心に主に従いますという願いが込められています。私たちの神さまは私たちにもっとその存在をお見せしたがるお方です。私たちの祈りを待っておられます。聖霊なる神のお働きの場が私たちの人生の中でもっと広がるように待っておられます。私たちはユダヤ人とは違いまして、積極的な意味で主に祈りたいです。私の主こそ、キリストであることを証明してください。



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