2022年3月13日

コリント人への手紙第一　11章23〜26節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 最後の晩餐と十字架 ＞


　今日の個所はとても慣れているところです。私たちが毎月、聖餐式を行う時、いつも聞いた内容です。イエス様の最後の晩餐と私たちの聖餐式は何でしょうか？　何の関係があるのでしょうか？

　最後の晩餐というのはイエス様の十字架の前触れです。最後の晩餐は十字架を予め、ドラマチックに演出したものです。十字架が本番であるなら、それを別の形で表現したものが最後の晩餐です。最後の晩餐は十字架と同じ意味があります。

　ですから、私たちもイエス様の命令に従って、聖餐を十字架と同じ意味で受け止め、行っています。私たちは実は、聖餐式を通して十字架を演出しています。イエス様が十字架にかかったと事と同じように私たち自身も罪を十字架にかけていることを、聖餐式を通して演出しています。ですから、私たちにとって聖餐式はとても大事なことです。初代教会は聖餐式のために毎週、集まりました。

　カトリック教会は未だに毎週、聖餐式を行っています。しかし、プロテスタントは聖餐式の形よりは聖餐の意味を、メッセージを通して伝えています。カトリックは目に見える聖餐を通して十字架の恵みに与ります。プロテスタントは見える聖餐式よりはメッセージを通して、十字架の恵みに与ります。

　カトリックはメッセージ中心よりは式そのものを強調しました。プロテスタントは十字架のメッセージを強調して、聖餐式そのものを減らしました。プロテスタントの課題は十字架のメッセージそのものも減ってしまったことです。

　さて、最後の晩餐が十字架を演出したものだから、最後の晩餐の中にキリスト教の真理があります。今日は最後の晩餐の中から、キリスト教の真理をもう一度確認してみましょう。すでに知っている内容ですが、私たちは何を信じているのか、もう一度確認しましょう。


１．聖餐式の内容はイエス様の死です。
　キリスト教はイエス様の死を信じる宗教です。他の宗教にはない独特なものです。信仰の対象者の死を信じる宗教はありません。聖餐式はイエス様の死を記念する式典です。コリント第一１１章２４節「わたしを覚えて、これを行いなさい。」

　私たちはイエス様が十字架で亡くなられた記念式典を毎月、やっているわけです。亡くなられた記念式、追悼式であるなら、毎年一回で良いのにどうして毎月やっているのでしょうか？　カトリック教会は毎週やっています。初代教会も食事会を兼ねて、毎週やっていました。

　イエス様の死を記念する式を頻繁にやっている理由はイエス様の体と血を私たちに下さったことを忘れないように覚え、心に刻むためです。信仰生活の第一の部分だから聖餐式を大事にして行っています。

　聖餐式の時、イエス様が弟子たちにパンとぶどう酒を分け与えられました。それはイエス様の体と血を象徴します。次の日、十字架でお亡くなりになりますが、裂かれる体と流される血を象徴します。

　私たちもイエス様の体を象徴するパンとぶどう酒を頂きます。信仰をもって受け入れる時、2000年の時間を超えます。イスラエルと日本の空間を超えます。イエス様の体と血が現代の私たちの罪をきよめるものとなります。ですから、十字架が私たちの信仰の中心です。


２．イエス様の死の目的は新しい契約です。
イエス様の死が私たちの信仰の中心ですが、それではイエス様の死の目的は何でしょうか。何のためにお亡くなりになったのでしょうか？　イエス様によりますと血は新しい契約のために流されました。
コリント第一の手紙１１：２５
「この杯は、わたしの血による新しい契約です」

契約の主な内容は罪を贖うことです。
マタイ２６：２８「これは多くの人のために、罪の赦しのために流される、わたしの契約の血です」
イスラエルの民は今まで神様と契約を結ぶとき、血を流してきました。

出エジプト後のシナイ山契約
出エジプト２４：８
「モーセはその血を取って、民に振りかけ、そして言った。「見よ。これは、これらすべてのことばに基づいて、主があなたがたと結ばれる契約の血である。」
しかし、民が契約を破棄しましたので、神は新しい契約を約束して下さいました。

エレミヤ時代のシナイ山契約の破棄
エレミヤ３１：３１−３３
「見よ、その時代が来る──主のことば──。そのとき、わたしはイスラエルの家およびユダの家と、新しい契約を結ぶ。

　その契約は、わたしが彼らの先祖の手を取って、エジプトの地から導き出した日に、彼らと結んだ契約のようではない。わたしは彼らの主であったのに、彼らはわたしの契約を破った──主のことば──。

　これらの日の後に、わたしがイスラエルの家と結ぶ契約はこうである──主のことば──。わたしは、わたしの律法を彼らのただ中に置き、彼らの心にこれを書き記す。わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる」

イエス様の血による新しい契約
コリント１１：２５
「罪の赦しのために流される、わたしの契約の血です」


３．団体契約ではなく、個人契約です。
　イエス様は多くの人のために、罪の赦しのために、血を流されました。私達と新しい契約を結ばれました。ただし、その契約の当事者はあくまでも、イエス様と私の個人契約です。イエス様と私たち全体の契約ではなく、私たち達一人一人との個人契約です。私たち一人一人の信仰告白によって結ばれる契約です。最後の晩餐の時、イエス様は弟子たち一人一人と契約を結びました。

　私たちは聖餐式の当事者です。聖餐式を見物する人ではありません。私たち一人一人が聖餐式の主人公です。聖餐式にエキストラはいません。イエス様と契約の主人公は私たち自身です。私自身が聖餐式の当事者にならないと聖餐式は何の有益もありません。私たち一人一人の信仰告白と罪の悔い改めが必要です。

ヨハネ６：５３−５６
「５３ イエスは彼らに言われた。「まことに、まことに、あなたがたに言います。人の子の肉を食べ、その血を飲まなければ、あなたがたのうちに、いのちはありません。
５４ わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、永遠のいのちを持っています。わたしは終わりの日にその人をよみがえらせます。
５５ わたしの肉はまことの食べ物、わたしの血はまことの飲み物なのです。
５６ わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、わたしのうちにとどまり、わたしもその人のうちにとどまります。」

　イエス様の表現そのものには違和感があると思いますが、比喩として理解して頂きたいです。ヨハネ6章は天からのパンを5千人以上が食べた奇跡後のことなので、このような比喩も自然に受け止められます。この箇所も一人一人がイエス様を受け入れることを強調しています。わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は複数ではなく、単数です。イエス様は皆に体と血を下さいましたが、しかし、一人一人が受け入れます。私たちの信仰は皆個人のものです。

　互いに助け合うことはできます。互いに支え合うことも出来ます。救われるように祈ることも出来ます。しかし、救い出すことは出来ません。信仰は個人のものです。夫婦でも、兄弟でも、友達でも、同じ礼拝をして、同じメッセージを聞いて、同じ試練に会いましたが、それでも一人一人の信仰が違います。私たちは今年、一人一人、各自の信仰が成長できるように祈りましょう。



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