2022年3月6日

ローマ人への手紙　8章32節

　　　　　　　　　　　　　　　＜ キリストの死：私の罪か、神のプレゼントか ＞


　３週間連続してイエス様を十字架に渡した人たちの罪を見てきました。イエス様を大祭司に引き渡した弟子の一人、イスカリオテのユダ。イエス様を総督ポンテオ・ピラトに引き渡した祭司たちとユダヤ人。イエス様に十字架形を言い渡したローマ総督ポンテオ・ピラトです。彼らはそれぞれ違う理由でイエス様を引き渡しました。共通しているのは引き渡したことです。彼らはそれぞれ必要なものを手に入れるために、イエス様を死に引き渡しました。マタイの福音書はイエス様を十字架にかけた３人の主犯者たちの罪を同じ単語で記しています。彼らは共通して「引き渡しました」。


１．主犯者三人の違う理由、同じ罪
（１）イスカリオテのユダは金銭欲望の故に祭司たちからお金をもらってイエス様を引き渡しました。
マタイ２６：１４−１６
「１４ そのとき、十二人の一人で、イスカリオテのユダという者が、祭司長たちのところへ行って、
１５ こう言った。「私に何をくれますか。この私が、彼をあなたがたに引き渡しましょう。」すると、彼らは銀貨三十枚を彼に支払った。
１６ そのときから、ユダはイエスを引き渡す機会を狙っていた。」

（２）大祭司は妬みの故にイエス様をポンテオ・ピラトに引き渡しました。
マタイ２７：１８
「ピラトは、彼らがねたみからイエスを引き渡したことを知っていたのである。」

（３）ポンテオ・ピラトは卑怯（恐れ）の故にイエス様を十字架に引き渡しました。
マタイ２７：２６
「そこでピラトは彼らのためにバラバを釈放し、イエスはむちで打ってから、十字架につけるために引き渡した」。


２．当時の群衆の罪
　イエス様を十字架につけた３人の主犯者ほどではありませんが、決して罪が軽くない人たちがいました。イエス様を「十字架につけろ」と叫んだ多くの群衆です。
ルカの福音書２７：２２−２３
「２２ ピラトは彼らに言った。「では、キリストと呼ばれているイエスを私はどのようにしようか。」彼らはみな言った。「十字架につけろ。」
２３ ピラトは言った。「あの人がどんな悪いことをしたのか。」しかし、彼らはますます激しく叫び続けた。「十字架につけろ。」

　群衆たちはしきりにイエス様を十字架につけようと叫び続けましたが、なぜ、イエス様の死を求めたのか彼ら自身も分かっていません。群衆は訳も分からないまま、我を失っていました。ピラトが不思議に思いました。殺人者バラバは釈放してほしいと言いながら、なぜ、何の罪のないイエス様の命を求めるのか？　「あの人がどんな悪いことをしたのか」。彼らはメシアを十字架につける大きな罪を犯しましたが、その理由も知らずに十字架につけました。

　ローマの兵士たちもイエス様にひどい扱いをしました。いばらの冠に、唾をかけて、イエス様の顔を殴りました。あらゆる侮辱をしました。なぜ、そこまでしたのか彼ら自身も分かっていません。彼らは知らなかったからです。

ルカ２３：３４
「そのとき、イエスはこう言われた。「父よ、彼らをお赦しください。彼らは、自分が何をしているのかが分かっていないのです。」彼らはイエスの衣を分けるために、くじを引いた」

使徒行伝３：１７
「さて兄弟たち。あなたがたが、自分たちの指導者たちと同様に、無知のためにあのような行いをしたことを、私は知っています」

　何も知らなくても人間はここまで恐ろしい罪を犯せる愚かなものです。私たちには彼らの愚かさがありませんか？　私達にもあります。私達も、彼らと同じ罪を犯せる弱さがあり、残酷さがあります。ですから、彼らの罪が私たちの罪となります。


３．彼らの罪であり、私たちの罪でもある。
　イエス様を十字架につけた主犯者の罪がなぜ、私たちの罪でしょうか？　主犯者たちと2000年以上時間も経っているし、場所もこんなに離れているのに、彼らの罪を私たちの罪に結びつけて良いでしょうか？　余りにもひどい論理の飛躍ではありませんか？

　聖書は彼らの罪が私たちの罪であり、私たちにも同じ罪があると言っています。確かに私たちにもイスカリオテユダのような、いやそれ以上の金銭欲があります。確かに私たちにも大祭司のような、いやそれ以上の妬みがあります。確かに私たちにもピラトのような、いやそれ以上の卑怯なところがあります。確かに私たちにも当時の群衆やローマ兵士のような、いやそれ以上の愚かさがあります。

　私たちの中にイスカリオテの金銭欲、大祭司の妬み、ピラトの卑怯、群衆やローマ兵士の愚かさがある限り、2000年前の悲劇は現代の私たちにも同じく起こります。イエス様の十字架は2000年前ですが、私たちの罪は現在です。ですから、現在も私たちの罪が、私たち自身がイエス様を十字架につけています。

　今までのことをまとめて考えるとイエス様の死の責任は誰でしょうか？　主犯者３人を先頭にして、最後は私たちがイエス様を十字架につけました。これが最後の結論でしょうか？　これで終わりであるなら、福音ではありません。聖書にはもう一つの理由が書いてあります。このもう一つの理由が一番大きな理由です。


４．イエス様が十字架でお亡くなりになった第一の理由
　イエス様はなぜ、お亡くなりになったのか、その理由を人間の側から探してきました。人間の側から探すと罪しかありません。しかし、イエス様がなぜ、お亡くなりになったのか、その理由を神様の側から、イエス様ご本人の側から見ればどうなるのでしょうか？

　イエス様は人間の罪の故にお亡くなりになりましたが、殉教ではありません。逆にイエス様自ら進んで、意図的に十字架を背負われました。イエス様は強制ではなく、自ら進んで命を捨て、自ら十字架に引き渡しました。愛の故。
ヨハネ１０：１８
「だれも、わたしからいのちを取りません。わたしが自分からいのちを捨てるのです。わたしには、それを捨てる権威があり、再び得る権威があります。わたしはこの命令を、わたしの父から受けたのです。」
イエス様が十字架に引き渡されたのは実は父なる神様です。これも愛の故にです。

ローマ８：３２
「私たちすべてのために、ご自分の御子さえも惜しむことなく死に渡された神が、どうして、御子とともにすべてのものを、私たちに恵んでくださらないことがあるでしょうか」

　十字架は二つの真実がクロースします。一つは私たちの罪がイエス様を十字架に引き渡しました。もう一つは父なる神の愛が、イエス様ご自身の愛が十字架に引き渡しました。十字架は私の罪の故でしょうか。神のプレゼントでしょうか？　両方です。ですから、十字架は不思議な神の知恵です。

　十字架はこれらの二つの事実を同時に強調しなければなりません。私たちの罪がイエス様を殺しましたが、同時に愛のイエス様が自ら十字架で死にました。殺されたことと自ら死んだことが不思議に一致するところ、そこに十字架の奥義があります。

　私たちに三つの選択肢があります。イエス様の十字架の死と私は何の関係もない。イエス様の死は私の罪のせいだと罪意識の中で暮らす。イエス様の死は神の愛と恵みによるプレゼントなので、喜んで頂く。皆様はどちらの道を選びたいのでしょうか？　聖書は私たちに神の救いのプレゼントを受け入れるように勧めています。

ローマ８：３２
「私たちすべてのために、ご自分の御子さえも惜しむことなく死に渡された神が、どうして、御子とともにすべてのものを、私たちに恵んでくださらないことがあるでしょうか」



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