2022年2月27日
マルコの福音書 14章21節
＜ キリストの死の責任３「裏切りのイスカリオテのユダ」 ＞
イエス様の十字架の死に関わった重要な責任者を見ています。ローマ総督ポンテオ・ピラト、祭司たちとユダヤ人、そして、今日はイエス様の弟子、イスカリオテのユダです。イスカリオテのユダはイエス様の１２番目の弟子でした。しかし、彼は先生であるイエス様を裏切りました。なぜ、彼はイエス様を銀貨３０枚で売ってしまったのでしょうか？
１．イスカリオテユダへの同情心を抱く人たち
世界にはイスカリオテのユダを擁護する人たちがいます。彼らの主張はイスカリオテのユダがイエス様を裏切りたくて裏切ったのではなくて、イエス様にお願いされて売り渡しただけだったという人たちがいます。つまり、イスカリオテのユダはイエス様に頼まれて、大祭司のところに行ってイエス様を引き渡したと主張しています。もちろん、これは偽りの教えですが、この偽りの教えが流行したことがあります。
彼らが主張している論理はこうです。イエス様は十字架で死ななければならないと決まっている。そのためには誰かがイエス様を売り渡す役割をしなければならない。その役割をしたのがイスカリオテのユダである。それなのに、なぜ、ユダを非難するのか？ ユダは役割を忠実に果たしただけなのに。ユダは単に神のご計画にそって、神の予定通りに使われた道具に過ぎないのに、そこまで非難されて良いのかと言う同情心から始まった空想話です。神によってすべてが最初から予定されているのであるなら、そこまで人間に責任を問われることはおかしいのではないかと言う反発心からです。
彼らはユダと何の関係もないのに、どうしてユダを擁護するのでしょうか？ 彼らの本当の目的はユダを擁護するためではありません。彼らの本当の目的は神様に文句を言っているだけです。ユダの例に挙げて、本来、神様に責任があるのに、どうして人間に責任を問われるのか、神様に責任があるのに、どうして人間を罰するのか、どうして人間を利用するのかと文句を言いたいので、ユダのことを言っています。私達にも確かにこのような反発心があります。神様はなぜ、私に責任を求められるのか？ この世の終わりの時、救われていない人は全員、一人も例外なく、この言い訳をするでしょう。私が救われていないのは神様が最初からそう決められたからだ。これは神の責任であって、私の責任ではないと悔しい歯ぎしりをしながら、神に文句をいうでしょう。イスカリオテのユダがイエス様を売り渡したのは誰の責任でしょうか？
イエス様の責任でしょうか？
ヨハネの福音書を見るとイエス様は最初から裏切りが誰なのかご存じでした。
ヨハネ６：７０，７１
７０ 「わたしがあなたがた十二人を選んだのではありませんか。しかし、あなたがたのうちの一人は悪魔です。」
７１ イエスはイスカリオテのシモンの子ユダのことを言われたのであった。このユダは十二人の一人であったが、イエスを裏切ろうとしていた。
イエス様が最初から知っておられるのであるなら、最初からユダがお金を盗まないように止めてくださればよかったですが、イエス様は止めておられません。イエス様が最初から止めておられなかったので、イエス様の責任でしょうか？
サタンのせいでしょうか？
サタンのそそのかしもありましたので、サタンのせいにすることも出来ます。
ヨハネ１３：２
「夕食の間のこと、
悪魔はすでに
シモンの子イスカリオテのユダの心に、イエスを裏切ろうという
思いを入れていた。
ヨハネ１３：２７
「ユダがパン切れを受け取ると、そのとき、
サタンが彼に入った。
ユダは可哀そうに神に利用され、イエス様に捨てられ、サタンにそそのかされたので、イエス様を売ってしまったのでしょうか？ それは違います。
２．彼の自由意思で決めたことだから、裏切りの罪から免れることはない
ユダの言い訳は、神様が最初から決めておいたのだから、サタンのそそのかしがあったのだから、と言っています。しかし、彼はやりたくないことを無理やりにやらせられたのではありません。イスカリオテユダはお金の欲望で、怒りに満ちて、とても積極にイエス様を売りました。イエス様は３年間、何回もユダに悔い改められるチャンスを下さいました。最後の晩餐の時もイエス様はユダに悔い改められるチャンスを下さいました。
２１ 「あなたがたのうちの一人が、わたしを裏切ります。」
２６ イエスは答えられた。「わたしがパン切れを浸して与える者が、その人です。」
それからイエスはパン切れを浸して取り、イスカリオテのシモンの子ユダに与えられた。
２７ ユダがパン切れを受け取ると、そのとき、サタンが彼に入った。
３０ ユダはパン切れを受けると、すぐに出て行った。時は夜であった。
イエス様は１２人の弟子の一人としてパン切れを与えられました。イエス様は１１人の弟子たちにも同じく、パンを与えられました。最後の晩餐、イエス様は弟子たちにイエス様の体を象徴するためにパンを渡しました。他の弟子たちはそのパン切れを頂いて、罪が赦されました。他の弟子であるなら、その場でイエス様に悔い改めたはずです。しかし、ユダは逆に怒りに満ちて、イエス様との関係をここで断ち切りました。彼はイエス様の手を放して、サタンと手を結びました。
イスカリオテユダは最後も悔い改めていません。彼は良心の呵責を感じて自ら命を絶ちましたが、これは悔い改めではありません。良心の呵責と悔い改めは聖書から見ると同じものではありません。良心の呵責を感じて自ら責任を取ろうとすることは主が喜ばれることではありません。社会では美徳かも知れませんが、神の御前では自ら責任を取って始末することは不信仰です。自ら責任をとる行為は神様に助けを求めないことです。罪を悔い改め、神様に救いを求めることこそ、主が喜ばれることです。良心の呵責を感じて悔いる方はたくさんいますが、主の恵みを求めて改める方は少ないです。
３．ユダの裏切りの動機
聖書を研究する人たちの中で、ある人たちによりますと彼はローマからの独立のためにイエス様の弟子になったと言っています。しかし、その根拠となる聖書の裏付けはありません。
ヨハネの福音書によりますと彼には金銭欲がありました。ユダは財布を管理していた人です。ユダの金銭欲が皆にばれた出来事が一つありました。その出来事はイエス様が十字架にかかる６日前にありました。ヨハネ１２章１−６節です。
１ イエスは過越の祭りの六日前にベタニアに来られました。そこには、イエス様が死人の中からよみがえらせたラザロがいました。
２ ラザロはイエスとともに食卓に着いていました。
３ 妹のマリアは純粋で非常に高価なナルドの香油を一リトラ取って、イエスの足に塗り、彼女の髪でイエス様の足をぬぐいました。家は香油の香りでいっぱいになりました。
４ 弟子の一人で、イエスを裏切ろうとしていたイスカリオテのユダが言いました。
５ 「どうして、この香油を三百デナリで売って、貧しい人々に施さなかったのか。」
６ 彼がこう言ったのは、貧しい人々のことを心にかけていたからではなく、彼が盗人で、金入れを預かりながら、そこに入っているものを盗んでいたからです。
時間的に計算してみるとユダはこの日から２，３日の後、祭司長のところに行きました。マリアの香油の出来事でユダはイエス様に怒ったのか、お金が欲しくなったのか、お金が必要になったのかは分かりませんが、とにかく、マリアの香油の出来事の後、祭司のところに行きました。
彼は祭司長たちのところに行って先にイエス様を売り渡そうと提案しました。祭司長たちは思いもよらない所からの嬉しい訪問客で喜びました。ユダはイエス様を引き渡しますから、いくらくれるかと交渉を始めました。彼らは交渉の結果、銀貨３０枚としました。当時、奴隷を自由に解放するための金額です。
イスカリオテのユダの間違った価値観を私たちも持っています。ユダは人の命をお金で換算しています。
マタイ２６：１５
こう言った。「私に何をくれますか。この私が、彼をあなたがたに引き渡しましょう。」すると、彼らは銀貨三十枚を彼に支払った。
「私に何をくれますか」と話を始めているのを見るとお金が彼の一番の関心事です。イエス様への憎しみが第一の原因であるなら、「イエス様をあなた方に引き渡しましょう」と先に言ったはずです。お金さえくれるなら、イエス様でさえ、引き渡しましょう。イエス様は罪人のためにお金では換算できないご自身の命をくださろうとしているのに、ユダは安いお金と救い主の命を引き替えました。少しずつお金を盗んでいくうちに彼はお金と命の価値を混乱してしまいました。命の価値が分からなくなって、結局彼自身の命さえ、断ち切ってしまいました。
イエス様は3年の間、何回もお金に関する教えを下さいました。特にイエス様が十字架にかかる１週間前は毎日のように何回もお金に関して教えられました。貧しいやもめの献金、両替のテーブルをひっくり返したこと、神への献金とカエサルへの税金などなど、その教えがユダの心には聞こえなかったようです。
神とお金に同時に仕えることは出来ない。お金に仕えるか、神に仕えるか。これらの教えにユダは最終的にイエス様よりはお金を選びました。
私たちにもユダと同じく、お金に弱いです。しかし、私たちはユダのような価値観で生きてはいけません。私たちにとってお金と神とどちらでしょうか? もう一つは私たち自身の責任を神に転嫁しようとする悪も持っていることを認め、主に悔い改めましょう。
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