2022年2月20日

ヨハネの福音書　19章11節

　　　　　　　　　　　　　　　　＜ キリストの死の責任２「民と祭司長たち」　＞


　使徒信条によりますとイエス様を十字架につけたのは確かにポンテオ・ピラトです。ポンテオ・ピラトがイエス様に十字架刑を宣告しました。しかし、彼の本心はイエス様を処刑するつもりはまったくありませんでした。ピラトはイエス様に十字架刑を宣告せざるを得ない状況に追い込まれただけです。

　それでは裏でピラトを操って、イエス様を十字架刑に追い込んだ人たちは誰でしょうか？　それはイエス様をピラトに渡した祭司長たちとユダヤ人の群衆です。彼らの罪はピラトよりも大きいとイエス様ご自身が教えて下さいました。

　イエス様の十字架刑において、ピラトの役割はとても消極的なものでした。しかし、祭司たちは積極的な殺意で動きました。彼らはイエス様の身柄をピラトに渡しました。そして、イエスが間違った教えで民衆を惑わしていると偽りの証言をしました。そして、群衆を扇動してピラトに十字架刑を求めました。祭司長たちがここまでイエス様を憎んで積極的に命を奪った理由は何でしょうか？

　イエス様がメシアとして活動を開始したその日から、最後十字架で息を引き取られるまで毎日と言っても過言ではないくらい対立していました。祭司長たちを代表するサドカイ人たち、ユダヤ人群衆を代表するパリサイ人たちはイエス様と3年間ずっと対立しました。今日は彼らがイエス様を十字架に追い込んだ長年間の葛藤を見てみましょう。彼らがイエス様をピラトに渡して、十字架刑を求めた表面上の理由は三つくらいです。


１．彼ら（祭司長たちとユダヤ人）がイエス様を死に渡した表面上の理由
（１）倫理的な理由
　イエス様は罪人を救いに来られたので、当時の第一の罪人である税金取りや遊女たちを食事にお招きしました。イエス様は罪人の友達でした。パリサイ人たちはこれらの罪人達と絶対一緒に食事しないので、イエス様の行動を認めるわけにはいきませんでした。パリサイ人たちは週二回も断食をしたのに、バプテスマヨハネの弟子たちも頻繁に断食をしたのに、イエス様と弟子たちは断食しません。断食のところか、罪人達とたくさんのぶどう酒を飲んで、食べて喜びました。彼らはイエス様が堕落していると思いました。

（２）神学的な理由
　パリサイ人たちは安息日に何もしないで過ごしていたのに、イエス様は安息日を守らないで、人たちを癒しました。安息日なのに苦しんでいる人を助けるために村から村へと移動しました。お腹がすいた時には麦を手で取って食べました。パリサイ人たちの論理は安息日に癒すことは仕事だと決めつけていました。安息日の癒しも許せないのに、イエス様は安息日の主だと主張して大変な議論となりました。また、父なる神と一つだと語られたので、怒った群衆に殺される直前まで行きました。

　パリサイ人たちは外出してから家に帰るときよめのために手を洗いました。きよめのために頻繁に洗いました。しかし、イエス様と弟子たちは洗わない手で食べました。イエス様は人の内面を強調して、形式的な儀礼は気にしませんでした。その理由で昔からの長老たちの伝統を無視しました。昔からの長老たちの伝統はただの人間の教えであって、神の教えではないからです。人の教えばかり大事にして、神のみ言葉と内面の汚れは蔑ろにする彼らの二重人格を指摘しました。

　イエス様はラビでもないのに、資格もないのに、民に教えられました。信仰熱心だと自負しているパリサイ人たちを偽善者だと非難なさいました。

（３）政治的な理由
　イエス様の人気が高まるとイエス様を中心に群衆が暴動でも起こしたら、ローマによって滅びると怯えていました。ですから、イエス様一人が死んで、民全体が助かるのであるなら、その方が良いと大祭司は結論付けました。

　彼らは最初からイエス様の教えは危ないと認識していました。ですから、イエス様を憎むのは当然だと思っていました。イエス様の行為は聖なる律法への侮辱だと認識しました。神殿の中にある両替人を追い出した騒ぎもありました。カエサルへの税金が正しいがどうかに関するうわさもありました。これ以上放っておくわけにはいかないと思い、イエス様を十字架に渡しました。


２．彼ら（祭司長たちとユダヤ人）がイエス様を死に渡した本当の理由
　これらのすべての理由でイエス様は十字架の死に値すると正当化しようとしました。多くの群衆は祭司長たちの根の深い妬みを見抜くことが出来ないので、イエス様を十字架につけなさいと叫びましたが、ピラトは見抜いていました。祭司長たちがイエス様に敵意を持っている本当の理由は倫理的なことでもなく、神学的な理由でもなく、政治的な理由でもないことをピラトは分かっていました。祭司たちの妬みが原因でピラトの手に渡されたことを知っていました。ですから、ピラトは三回も連続してイエス様には罪がないと宣言して、何とかして祭司たちの企みに加わらないように努力したわけです。

マタイ２７：１８
「ピラトは、彼らがねたみからイエスを引き渡したことを知っていたのである。」
ピラトの判断はだれよりも、何よりも鋭いです。彼は人間の邪悪な本音を素早く見抜ける人です。なぜなら、ピラト自身がその生き方をずっとしてきたからです。

　祭司長たちの妬みと傲慢こそ、イエス様を十字架につけた本当の理由です。イエス様が現れるまでは彼らが宗教、政治、経済のすべての権限を握っていました。彼らは民に尊敬されるのが楽しみで生きてきた人たちです。国と民を自分たちの思いのままにリードしていることを喜びました。彼らは信仰を利用して絶対的な権力を握ていることに満足していました。パリサイ人たちも同じでした。

　それなのに、イエスと言う預言者が現れて、彼らの奥底に隠していた二重性、堕落していること、すべてが暴露されてしまいました。イエス様は彼らの権威を否定されました。彼らの権威がイエス様によって脅かされていると彼らは感じました。大勢の群衆も祭司長たちの権威よりはイエス様の権威に喜んでいました。一般市民も見れば分かります。権威だけで自慢している祭司長たちと神のみ力によって民を救われるイエス様の権威は一目で分かります。民はイエス様の権威ある教えに喜んでいました。

　祭司たちはイエス様の権威を認めることが出来ませんでした。神の神殿をきよめるイエス様にこのように質問しました。何の権威によって
マルコ１１：２８ 「こう言った。「何の権威によって、これらのことをしているのですか。だれがあなたに、これらのことをする権威を授けたのですか。」

　祭司たちやパリサイ人たちの権威は同じ人間から受け継いだ権威でした。先祖から受け継いだ権威、遡ってモーセからの権威です。しかし、イエス様の権威は父なる神様からの権威です。神様からの権威であることをあらゆる御業を通して見せて下さったので、彼ら自身も否定できません。

　彼らはイエス様を取り除かない限り、彼らの今までの権威が無くなるので、民を治めることが出来なくなることを心配しました。そして、イエス様を取り除かない限り、今まで神殿から得ていた経済的な収益も無くなると思い、イエス様を殺すことにしました。

　ガリラヤ出身の田舎者が、何の勉強も出来てない無学な者が、何の権威もない無力な者が、生意気な者が、祭司の私たちの権威に挑むなんて、赦せない。イエス様が彼らの権威の範疇を勝手に超えるのを許すことが出来ませんでした。イエス様に生々しく、彼らの奥底の秘密がばれるのが耐えられませんでした。イエス様がメシアであることを認めることが出来ませんでした。これこそ、彼らがイエス様を殺した本当の理由です。しかも、ただの死では気が済まなくて、一番侮辱的な死に方である十字架の死で彼らの溢れる怒りを噴出しました。


３．彼らと同じである私たちの罪
　イエス様に対する祭司長たちの態度、怒りが私たちにもあります。イエス様からの干渉が嫌いです。イエス様！私たちにあれこれ、あまり求めないでください。私の領域にあまりに勝手に入らないでください。

　イエス様はなぜ、２４時間、私たちのことを密着マークしているのでしょうか？　一人一人が最後、無事に天国に到着できるように、これからも２４時間密着して、私たちの１００％の心を求められます。しかし、私たちはイエス様に１００％はしたくないです。この差が私たちを苦しめています。また、この違いで私たちは試みにあっています。



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