2022年2月13日

ルツ記　1章1〜18節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 信仰に深入りすること ＞


　宗教に深入りしてはいけないと思う日本人は多くいる気がします。その理由はいろいろ挙げられると思いますが、一律に宗教＝怪しい・危険、と一まとめにしてしまうのはただの偏見ではないでしょうか？　宗教、とりわけキリスト教への理解はかなり乏しいため、クリスマスは教会へ、お正月は神社へ、お葬式はお寺へ、と適当に、ほどほど宗教に関わることは問題ないが、どれかに深入りするのはＮＧとされます。

　ところが、深入りしないクリスチャンは無用だ、と聖書もイエス・キリストも繰り返して主張します。いいかげんな信仰に対してイエスさまは次のように言われます。

ヨハネの黙示録3:15-16
「わたしはあなたの行いを知っている。あなたは冷たくもなく、熱くもない。むしろ、冷たいか熱いかであってほしい。そのように、あなたは生ぬるく、熱くも冷たくもないので、わたしは口からあなたを吐き出す。」

「深入り」に対するイエスさまの思いを心にとめておきたいと思います。

　でも、普通に考えても、人生では何か本当に価値があって、手抜きで得られるものはありますか？　オリンピック選手になるとか、コンサートピアニストになるとか、外国語を流ちょうに話せるようになるとか、本当に価値あることは、深入りしないと手に入れることはできません。そうであるならば、命を与えてくださり、日々数えきれない恵みを注いでくださっている神さまを全身全霊で賛美し、身をもってその神さまに仕えることも、それらと同じぐらい価値あるものではないでしょうか？　深入りすることに値しませんか？

　深入りしたある一人の女性の話は聖書に出てきます。ルツという女性の話です。彼女は、若いうちに夫を亡くしました。愛して尊敬するしゅうとめのナオミも未亡人となりました。ルツは一緒にナオミのふるさとに同行することを決心します。

ルツ記1:17
「あなたの行かれる所へ私も行き、あなたの住まれる所に私も住みます。あなたの民は私の民、あなたの神は私の神です。」

　ルツは一途に自分の将来をナオミにかけるわけです。しかも、ナオミだけではなく、ナオミの民に将来をかけます。ナオミの民とは、神の民イスラエルです。イスラエルは、まことの神さまの救いを地上のすべての民族、すべての国の人々に示すという使命が与えられた、選ばれた民です。地上のすべての民族を神さまの祝福の輪に導く役目が与えられたのです。

　異邦人（神の民の一員でない者）であるルツは自分の民、文化、自分の国の神々をかなぐり捨てて、ナオミについて行く、神の民を自分の民にする、唯一のまことの神さまを自分の神にする、と決心したわけです。まさに深入りしました。

　ストーリーの続きはとても面白いのですが、このようにしてルツは神の民に加わることになりました。そして、ご自分の民を通して神さまがご計画なさっている救いの約束にあずかることになりました。

　ところが、神の民イスラエルは結局、神さまの救いを全世界に示すという使命を果たせませんでした。彼らも弱い罪人だったため、神さまにだけ忠実であることは難しすぎたようです。結局、全身全霊でまことの信仰に深入りできませんでした。

　最終的には、神の民の使命を代わりに果たしてくださったのは、イエス・キリストです。つまり、一途に父なる神の言うことを聞き、全身全霊で神さまを愛し敬うイエスさまご自身が、父なる神の救いを地上のすべての民族、すべての国の人々に示すという使命を、地上のすべての民族を父なる神の祝福の輪に導く役目を果たされたのです。

　イエスさまが救いの約束をどのように成就なされたのでしょうか？　それは、ご自分がこの世に深入りした、ということです。

ピリピ人への手紙2:6-8
　キリストは、神の御姿であられるのに、神としてのあり方を捨てられないとは考えず、ご自分を空しくして、しもべの姿をとり、人間と同じようになられました。人としての姿をもって現れ、自らを低くして、死にまで、それも十字架の死にまで従われました。

　家畜小屋にお生まれになった瞬間から、イエスさまは弱くて心の貧しいわたしたち人間の状況をご自分の状況になさいました。人間が経験するありとあらゆる事柄を共有なさいました。また、イエスさまは十字架の上で、罪人のむなしさをお味わいになりました。

　そして、弱くて心の貧しい罪人であるわたしたちを待ち受けている死の深淵に、イエスさまご自身がお飛び降りになりました。まさにとことんまで、罪人の状態に深入りなさいました。

　罪人である人間の状況にこうやって深入りしてくださったそのイエスさまは、よみがえられたわけです。そのおかげで、ルツのように異邦人であるわたしたちも、神の民に加わることができます。神さまの救いの約束にあずかることができます。神さまの祝福の輪に入ることもできます。

　 これは、わたしたちの力でできることではありません。結局、弱いわたしたちは信仰に深入りできません。イスラエルと同じく、わたしたちの信仰も相変わらず薄いものです（マタイ8:26）。しかし、十分信仰に深入りできないわたしたちの赦しをイエス・キリストが十字架の上で勝ち取ったおかげで、わたしたちが神の祝福と愛に深く入ることができます。イエスご自身がその道となってくださいました。感謝です。



　　　　　　　　このペ−ジのTOPへ　　　　前週へ　　　　　翌週へ　　　　　一覧表へ戻る