2021年12月26日

歴代誌第一　29章26～30節、列王記第一　2章10～12節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ ダビデの最後の記録 ＞


　2021年を守って下さいました神様に感謝します。また、コロナの中、主の教会のために一緒に歩んで来られた信徒の皆様にも感謝します。2021年も色々ありましたが、静かな最後の主日を迎えました。私たちの一年間の信仰の歩みは天国の書物に記されるでしょう。一年、一年の歩みが積み重なって、私たちの生涯となります。私たちの最後はどのようにまとめられるのでしょうか？　人々の記憶に私たちの人生はどのように覚えられるのでしょうか？　さて、今日の箇所にはダビデの最後が書いてあります。ダビデの最後が書いてある箇所は二か所あります。

（１）同じところ
歴代誌第一　２９：２７－２８
２７　彼がイスラエルの王であった期間は四十年であった。ヘブロンで七年治め、エルサレムで三十三年治めた。
２８　ソロモンが代わって王となった。

列王記第一２：１１－１２
１１　ダビデがイスラエルの王であった期間は四十年であった。ヘブロンで七年治め、エルサレムで三十三年治めた。
１２　ソロモンは父ダビデの王座に就き、

（２）違うところ
歴代誌第一　２９：２６－３０
２８　彼は幸せな晩年を過ごし、齢も富も誉れも満ち足りて死んだ。
２９　ダビデ王についての事柄は、最初から最後まで、『予見者サムエルの働き』、『預言者ナタンの働き』、『先見者ガドの働き』にまさしく記されている。
３０　彼の統治のすべてとその功績、諸国のすべての王国の上に過ぎていった時代・・

列王記第一　２：１０－１２
１０　ダビデは先祖とともに眠りにつき、ダビデの町に葬られた。
１２　ソロモンは父ダビデの王座に就き、その王位は確立した。


１．一つの生涯、違う個人史
　ダビデが生きた生涯は一つです。エッサイの8番目の子どもとして生まれ、青年になるまで羊飼いでした。青年になった時、ある日突然、サムエルから油注がれ、未来の王になりました。サウロに追われる大変な時間を過ごしてから、３０歳の時、王になりました。7年間はユダ族の王としてヘブロンで、３３年間は全イスラエルの王としてエルサレムで治めました。イスラエルを強くし、力強い国としました。

　その反面、二つの大きな過ちを犯しました。一つはヒッタイト人ウリヤの妻、バテ・シェバを奪ったことです。そのため、ウリヤを戦争で無理やりに死なせました。十戒の中で
６の戒めである，殺してはならない
７の戒めである姦淫してはならない，
１０の戒めであるあなたの隣人の妻を欲してはならない、
三つの戒めを同時に犯しました。誰も知らないと思いましたが、全国の人々が知るようになりました。

　運命のいたずらなのか、バテ・シェバからソロモンが生まれ、このソロモンがダビデの次の王になりました。ダビデの子どもたちが、それを認めるわけにはいきません。ですから、ダビデの子どもたちが次々と反乱を起こしました。三番目、四番目の子どもたちが反乱を起こして、そのことで、ダビデは命が危なくなり、避難したこともありました。これらの反乱に軍の最高責任者も加担したりして、ダビデは大変でした。

　もう一つの過ちはイスラエル全国の人口調査をしたことです。神様が怒られまして、7万人が3日間で死にました。ダビデが高慢になってサタンに惑わされた結果としては被害が大きいです。聖書はこれらのことについて、事実として書いてあります。

　しかし、歴代誌を見ると観点が違います。ダビデの生涯は一つなのに、彼の個人歴史は二通り書かれています。ダビデの生涯が書かれている書物はサムエル記第一と第二、列王記第一の１，２章、歴代誌の第一です。同じダビデの生涯を書いた歴史ですが、歴代誌は半分くらい省略しました。サムエル記はダビデの恥ずかしいところまで、細かく書きました。


２．一つの生涯、違う観点
　ダビデの生涯は一つですが、歴史を書く人は二通りの観点で見ています。ダビデの歴史はダビデ自身が書くのではありません。次世代の歴史家が書きます。サムエル記、列王記の歴史家と歴代誌の歴史家の書き方が違います。

　サムエル記にはダビデの個人的な恥がそのまま全部書いてあります。ヒッタイト人ウリヤの妻、バテ・シェバを犯したこと。それを隠すために、軍の長官ヨアブを動かしたこと。計略でウリヤを戦争で無理やりに死なせたこと。バテ・シェバからはソロモンが生まれたこと。このソロモンがダビデの次の王になること。ダビデの子どもたちが、それを認めるわけにはいかなかったこと。ダビデの子どもたちが次々と反乱を起こしたこと。三番目、四番目の子どもたちが反乱を起こして、そのことで、ダビデが避難したこと。列王記第一2章を見るとダビデが最後、死ぬ時までこれらと関連でソロモンに頼んでいます。列王記第一１，２章を読んでみると決して、「幸せな晩年を過ごした」と言えません。ダビデの最後の２０年くらいはこれらのことで、一日も平和の時間がありませんでした。

　それに比べると歴代誌第一はヒッタイト人ウリヤの妻、バテ・シェバを犯したことやそれに関連して起きたすべての出来事に関する記録がありません。ダビデの20年間くらいの辛い、苦しみの時間を全部省略しています。その代わりに一節だけ書いてあります。２９ダビデ王についての事柄は、最初から最後まで、『予見者サムエルの働き』、『預言者ナタンの働き』、『先見者ガドの働き』にまさしく記されている」。ですから、この書物を参考にしてくださいというような感じです。

　ダビデの生涯において最も消してしまいたい出来事を全部省きました。その代わりに歴代誌には他の聖書には書いてない別の内容が代わりに書いてあります。神殿建築のために必要な物を長年間準備したこと、材料を数えきれないほど蓄えておいたこと、ソロモンに神殿建築と関連して細かくお願いしています。そして、主に対する熱い心と信仰が書いてあります。

　サムエル記、列王記に書いてあるダビデの恥ずかしい個人史も事実であり、歴代誌に書いてある神様への熱い信仰も事実です。どちらもダビデの歴史です。

　未来の歴史家は同じダビデの歴史から二通り書きました。サムエル記と列王記はダビデの弱さをそのまま書いてあるので、彼の人生の悩み、嘆き、涙、ため息、罪の結果、悲しみ、未来への課題がそのまま書いてあります。

　しかし、歴代誌はそれでも、神様の助けがあり、赦しがあり、憐れみがありましたので、「幸せな晩年を過ごし、齢も富も誉れも満ち足りて死んだ」と書きました。歴代誌の書き方は嘘ではありません。歴史の背後で働いておられる神の憐れみは人の目には見えませんが、神の憐れみも歴史の事実です。

　サムエル記はダビデの生涯をありのまま、忠実に書くのが目標であるなら、歴代誌はダビデの生涯を信仰の側面に制限して解釈したものだと思います。信仰の側面にフォーカスを当てると罪や過ちは神の愛によって覆われます。


３．私たちの生涯、違う観点
　偉大な信仰者ダビデも色々の罪があり、神様に厳しくさばかれることもありました。しかし、聖書は「彼は幸せな晩年を過ごし、齢も富も誉れも満ち足りて死んだ」と評価しています。私達もダビデみたいに生涯、色々のことをやりました。恥ずかしくて隠したいこともあり、主のために熱心だったこともあります。どちらが書かれても私たちの生涯です。感謝なことはダビデみたいに一番省きたい恥ずかしいことは歴代誌みたいに丸ごと省略して下さることは感謝です。イエス様の十字架によって覆われました。その代わりに、少しではありますが、主のために熱心に奉仕して、主と共に歩んだ日々を幸せの時間だったと評価してくだされば、それで満足です。

　 私たちの最後の時間はどのように書かれるのでしょうか？　愛の神様は私たちの最後を辱めるお方ではないので、まず安心です。ですから、私たちはまず、安心して、これからは主のために、愛する兄弟姉妹たちのために、主の教会のために残りの時間頑張りたいです。皆様、来年も、元気を出して、主のために頑張って頂きたいです。



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