2021年10月17日

ヘブル人への手紙　12章22～24節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 語りかける十字架 ＞


　十字架は神様の愛と罪人へのさばきを同時に見せるものです。十字架は見せるだけではなく、私たちの心に語りかけるものです。今日の箇所の24節を見るとイエス様の血が語っています。「アベルの血よりもすぐれたことを語る、注ぎかけられたイエスの血です」

　アベルが血を流したのは創世記４：１０の出来事です。主は言われた。「いったい、あなたは何ということをしたのか。声がする。あなたの弟の血が、その大地からわたしに向かって叫んでいる。」
血がどうやって叫びますか？　血には口もないのに。これは単なる文学的な表現でしょうか？　単なる文学的な表現ではありません。私たちには聞こえませんが、神様には聞こえます。血は命を象徴するものなので、命の主には血の叫びが聞こえます。

　兄、カインに殺されたアベルの血が神様に叫びました。「神よ、復讐してください、カインに刑罰を与えて下さい」
アベル以後の多くの義人の血が同じく流され、神様に叫びました。「私の悔しい死のために、神様が代わりに報復してください」

　しかし、イエス様が流された血潮はすぐれたことを語っています。アベルみたいな報復ではありません。神様の愛を語っています。神との和解を語っています。イエス様は血を流しながら「彼らの罪を赦してください」と語られました。今まで流された報復の叫びではなく、赦しの叫びでした。

　十字架は2000年前の過去だけではなく、現在も私たちの心に語っています。ですから、私たちは私の心に語りかけてくれる十字架の声に耳を傾けましょう。十字架は今日も私たちに新しいメッセージを語っています。


１．十字架が私に語りかける
（１）父なる神と私の現在の関係はどうなのかを語りかける
　十字架は毎日、私たちの心に語りかけています。父なる神様と私の関係はどうですかと心に問いかけています。私たちが毎日気にしていることは誰かとの関係です。家族のことを考えています。時には、友達、仕事の同僚のことも考えます。しかし、これらの人々のことはもちろんですが、何よりも私たちが毎日、思い起こしたい方は父なる神様です。私たちは誰よりも24時間父なる神様の存在を意識しながら生活したいです。父なる神様との関係は誰よりも大事な関係です。なぜなら、父なる神様との関係が良い時は隣の誰とも良い関係となるからです。

　十字架が私たちにこのように語っています。現在、この瞬間、父なる神との関係はどうですか？　父なる神様のことを意識していますか？　あなたの現在の目標は何ですか？　その目標は誰のためですか？　神の栄光のためですか？　単なる自分の欲望ですか？　十字架の声に心を傾けると明確に分かります。このまま進んでも良いか、どうか分かります。隣人との関係はどうですかと十字架は私たちに語りかけています。十字架の声に心を傾けると真相が明確に分かります。

（２）罪が何かを語ってくれます
　十字架が毎日私の心に語っていることは私の中に隠れている罪のことです。日常生活の中では自分の罪に気づきません。しかし、十字架が私たちの心に語りかけます。十字架が私たちの心にある罪を指摘します。十字架が私たちの心に「やめなさい、止まりなさい」と声をかけます。

　このまま続けると神様に罰せられると十字架が私の心に話します。十字架の痛みを知っているので、神様に一度叩かれたらどれほど痛いか分かっています。私たちは十字架の声を聞いて罪の途中、止まりましょう。


２．十字架が私に宣言する
　十字架は単純に語るだけではなく、宣言します。語るだけでは実行能力や権威がありませんが、宣言には実行能力があります。宣言することなので、宣言には神様の能力があります。人間の宣言にはある程度の効果しかありません。しかし、十字架の宣言は父なる神様の公の宣言なので、１００％の実行能力があります。十字架の宣言は神様の宣言なので、実際、宣言通りになります。

　例えばローマ３：２５です。
「神はこの方を、信仰によって受けるべき、血による宥めのささげ物として公に示されました。・・」
公に示すことが宣言です。十字架は父なる神の公の宣言です。

　宣言の内容はイエス様の血潮が宥めのささげ物だから、人の罪は信仰によって赦されることを公に宣言されました。この公の宣言が語られる前までは本当に罪が赦されるのか知りませんでした。父なる神が私たちの罪を本当に赦してくださったのかどうか、明確に示される必要がありますが、それが十字架による宣言です。十字架は私たちの罪が永遠に赦されたことの宣言です。


３．十字架が私を招待する
　十字架は罪人を神のところにお招きするものです。アベルの血の叫びは復讐、報復を求める叫びです。ですから、正義の神はアベルの血の叫びを聞いて、カインをさばかれました。被害者の復讐の叫びは加害者への神様の怒りを招きます。

　しかし、それよりもすぐれてイエス様の血は神様の招待です。十字架が私たちを神の子どもに招待してくださいました。十字架は神様の民と呼ばれたユダヤ人を招待しました。十字架は犬扱いをされた異邦人も招待しました。十字架はパリサイ人だけではなく、遊女、取税人も招待しました。

マルコ２：１７
「これを聞いて、イエスは彼らにこう言われた。「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人です。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためです。」

　この世の人々は丈夫な人、正しい人ばかり招きます。哲学者の招き：哲学に関心がある人ばかり集まります。他の人は哲学に関心がありません。道徳者の招き：世の倫理に関心がある人ばかり聞きます。堕落している人は耳を貸しません。宗教家の招き：宗教に関心がある人だけ集まります。他の人は宗教に関心がありません。教会の周辺の方々は牧師の説教に全く関心がありません。すでにイエス様を信じている皆様だけが聞いています。しかし、十字架は病人に語りかけて、招いています。悪人に語りかけて、招いています。人々が相手にしてくれない人に語りかけて招待しています。生きることに疲れ果てているすべての人を招いています。

マタイ１１：２８
「すべて疲れた人、重荷を負っている人はわたしのもとに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます」
すべて疲れている人々へのイエス様の招きで、この聖句は誰もが好きです。イエス様の知らない方もこの聖句は好きで、心を開きます。牧師の説教には力がありませんが、十字架の招きには力があります。皆様の知り合いの中で生きることに疲れている方々にこのみ言葉を語りかけ下さい。

　イエス様はどうやってすべて疲れている人々を休ませてあげることが出来るのでしょうか？　イエス様自ら十字架を背負われ、罪を取り除くから可能です。イエス様の招きは十字架の招きです。イエス様の招きに答えた人は十字架の下に荷を下ろして、安らぎを得ます。私たちは十字架の語りかけに答えてイエス様を信じました。今まで人生の重荷を背負って、頑張って、疲れてしまいました。しかし、現在は一番の重荷を下ろしました。

　一番の重荷は自分で全責任を取らなければならないプレッシャーでした。そのプレッシャーが私たちの肩に乗っかっていました。現在はイエス様がおられるので、全責任をとる必要はありません。私たちは全部、イエス様に委ねています。全責任はイエス様に委ねていますので、とても気が楽です。

　 皆様、未だに十字架の招きに１００％答えることは出来なくて、自ら重荷を背負って苦労していますか？　人生の全責任を自分一人で背負おうとする重たい責任感がありますか？　もう一度十字架の招きに耳を傾けましょう。十字架の招きは父なる神の宣言なので、神の宣言には人生の重荷から解放してくれる力があります。



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