2021年10月10日礼拝

2021年10月10日

エペソ人への手紙　2章11～19節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜真の平和を作り出した十字架＞

　私たちの生活には人々との間に葛藤が多いです。イエス様の時代やパウロの時代にも似ている葛藤がありました。ユダヤ人と異邦人の間には互いに無視して、互いに差別しました。割礼を受けているか、いないかの宗教による差別です。ユダヤ人なのか、異邦人なのかの民族的な差別です。

１．葛藤が起こる理由は何か
　葛藤と言うのはAとBの間の違いによってぎくしゃくすることです。葛藤が大きくなると喧嘩になり、国は戦争になります。同じものが住んでいるところには葛藤がありません。異質のものが入ると葛藤が始まります。考え、価値観が違う兄弟、親、子どもの間に葛藤があります。皮膚の色が違う人が集まって住んでいると葛藤があります。財産の多少の違いが社会の葛藤を引き起こします。つまり、違うものが一緒に暮らしているからです。

　元々、神様が造られた世界はあらゆる多様のものが混ざって住んでいました。創世記１章に何回も繰り返している単語が「種類ごとに」です。神様はあらゆる生き物を種類ごとに創造されました。そして、種類ごとの生き物が群がって、別の種類も群がって、仲良く暮らしていました。各種類の生き物が調和しながら、一緒に暮らしている姿が神の目には非常に良い風景でした。

　神の目には非常に良かった関係だったのに、どうして現在は種類ごとに争うようになったでしょうか？　その理由は神の創造の世界に罪が入ったからです。人々の中に罪があります。私たちの生涯は誰かと仲良く暮らす時間よりはトラブルの中で過ごす時間が多いです。その理由は相手に罪があり、私にも罪があるからです。残念ながら両方とも自分こそ罪人だと認めません。

　しかし、いつまでずっと争うことは出来ないので、何とかして回復を取り戻したくて、努力はしますが、なかなか難しいです。私たちの罪を悪利用して、回復できないように働くサタンがいるからです。サタンは人間の心にある罪を悪利用して、もっと激しく争うように惑わします。中にある罪は色々の形で具体的に現れます。

２．人々の間を壊す具体的な罪
　創世記1章の被造物は種類ごとに群がっていましたが、別の種類と調和しながら生きていました。種類が違っても一緒に暮らしていました。アダムとエバは裸でありましたが、恥ずかしいと思わず幸せに暮らしていました。アダムと神様は親しい交わりをしていました。

　しかし、罪がこの世界に入ってからアダムは神の顔を避けるようになりました。アダムとエバは互いが裸であることを知って、隠すようになりました。アダムと自然との間には緊張関係となりました。これらの現象を見ると罪はAとBとの間に線を引いて、二つを分離するものです。罪は二つを分離する性質があります。分離して、私と違うことで差別、無視、軽蔑します。

　コロナの時代、アジア系は欧州の人に無差別暴行を受ける事件がありました。皮膚の色の違いで差別されます。男女の違いで差別されます。私たちの本性の中には、私と違うものを分離して、目に見えない線を引いて、差別して楽しむ性質があります。

　ユダヤ人は異邦人を無割礼者だと犬のように軽蔑しました。一緒に食事すらしません。家を訪ねることすらしません。目に見えない罪は目に見えない線を引いて、線を越えることは絶対しません。イエス様にはその線が無かったので、頻繁に線を越えました。取税人と一緒に食事をして、罪人達と一緒に過ごしました。社会が決めつけた線を勝手に越えたことでイエス様はパリサイ人から嫌われました。

　私たちにはある人との間に線がありますか。具体的な相手ではなくて、不特定多数の人に対して私は線を引きます。パウロはイエス様に出会う時まで無数の差別の線を引いてきました。
ピリピ３：５―６
私は生まれて八日目に割礼を受け、　「割礼者と無割礼者」
イスラエル民族、「割礼者の中でも生まれつきの割礼者と途中でユダヤ人に改宗した人」
ベニヤミン部族の出身、「12部族の中でも王様を輩出した部族とそうではない部族」
ヘブル人の中のヘブル人、　歴史ある先祖からのへブル人で、途中からではない」
律法についてはパリサイ人、「同じユダヤ人の中でも一番信仰熱心なパリサイ人」
６その熱心については教会を迫害したほどであり、「神に一番熱心な熱い信仰者」
律法による義については非難されるところがない者でした。
「何一つ指さされることなし」

使徒行伝２２：３
「私は、・・ガマリエルのもとで先祖の律法について厳しく教育を受け、」
当時、最高の学びをしていたので、他の人を無視しています。

　ユダヤ人として異邦人と線を引いて、異邦人を軽蔑しました。同じユダヤ人でも線を引いて、彼自身は格が違うと高慢の中に住んでいました。彼にとって誇りとなるものなのに、どうして誰かを差別する、誰かを軽蔑する結果となるのでしょうか？

３．葛藤の解決案
（１）この世の解決案
　葛藤のままでは不安定なので、人々はそれなりに解決案を出します。互いの意見を聞いて、協議して、互いに一定の線を越えないように調整します。積極に解決しようとしないで、そのままにしておいて、時間が経つまで待つ方法です。

　しかし、これらのようなこの世の解決案は本当の解決になりません。葛藤の緊張状態がひどくならなければそれで良いという感じです。世界が求めている平和の概念がまさにこのレベルです。中東の葛藤も解決の道はないので、臨時的な平和で満足です。戦争まで行かなければそれで満足です。私たちの人間関係もこのくらいのレベルに合わせています。十字架が言っている完全な和解、完全な平和ではありません。

（２）神による十字架の解決案
　十字架は人々の間にある線を全部取り除きました。十字架はまず、すべての人間は皆罪人であると宣言しました。
ローマ３：２３
「すべての人は罪を犯して、神の栄光を受けることができず」
すべての人間は皆、神の御前でさばかれるべき罪人です。全員同じ種類の罪人です。全員罪人の同じグループに入っています。神様とすべての人の間に罪によって越えられない線が引かれています。神様が隔てたのではありません。人間の罪が神と人との間を隔てました。罪によって神様と人間が分離されていました。しかし、十字架は神と人の間に引かれている線をイエス様の十字架の血潮により、取り除きました。

１４「実に、キリストこそ私たちの平和です。キリストは私たち二つのものを一つにし、ご自分の肉において、隔ての壁である敵意を打ち壊し」
イエス様の十字架の死が平和を作り出しました。
１５こうしてキリストはこの二つをご自分において新しい一人の人に造り上げて平和を実現し、
１６二つのものを一つのからだとして、十字架によって神と和解させ、敵意を十字架によって滅ぼされました。
１８このキリストを通して、私たち二つのものが、一つの御霊によって御父に近づくことができるのです。

　罪によって二つに分離されていたものを、十字架が一つにしました。十字架は完全な平和を実現しました。十字架がユダヤ人と異邦人が同じ空間で、同じ神を礼拝し、同じ神の家族にしたことは神による奇跡です。人類歴史上初めて、こんなに完全な平和、完全な和解を実現したことがありません。教会の中でこの天国の美しい信徒の交わりを見たパウロはこう言いました。「しかし私には、私たちの主イエス・キリストの十字架以外に誇りとするものが、決してあってはなりません」

　この世の中で十字架以外に真の平和を作り出せるものはありません。私たちの心から誰かを無視する罪を追い出せるものは十字架しかありません。私たちの口から誰かを無視する言葉を止められるものは十字架しかありません。私たちは誰かと完全な平和、完全な和解をこの地上で一度見てみたいです。

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