2021年9月19日
コリント人への手紙第一 1章18～25節
＜ 人の高慢と神の知恵 ＞
十字架には奥深い神の知恵があります。救われた人は十字架から神の知恵が見えます。ほとんどの人は十字架を見ても神の知恵が見えません。その理由は、人は高慢だからです。高慢と言うのは自分自身がすべての判断の基準になっていて、自分の判断は100％正しいと思い込んで十字架を判断することです。
当時のユダヤ人も、ギリシャ人も高慢だったので、イエス様の十字架を見ても信じることが出来ませんでした。高慢だったユダヤ人はイエス様の十字架を見て、救われるところか、逆につまずきました。神に呪われた人がメシアであるはずがない。ユダヤ人の高慢な思い込みで、イエス様はメシアに見えません。高慢だったギリシャ人はイエス様の十字架を見て、感動するところか、逆に愚かだと軽蔑しました。
２３節 「ユダヤ人にとってはつまずき、異邦人にとっては愚かなことです」
１．人の高慢
（１）ユダヤ人の高慢
ユダヤ人はイエスのような者がメシアであるはずがないと決めつけていました。ユダヤ人にはメシアらしいイメージがありました。一つは神のような姿のイメージです。天の雲に乗って来られ、悪人をさばかれ、神の民を救われる審判者のイメージです。
ダニエル７：１３
「私がまた、夜の幻を見ていると、見よ、人の子のような方が天の雲とともに来られた。その方は『年を経た方』のもとに進み、その前に導かれた。」
もう一つのイメージは苦しめられる主のしもべのイメージです。
イザヤ５３：６
「私たちはみな、羊のようにさまよい、それぞれ自分勝手な道に向かって行った。しかし、主は私たちすべての者の咎を彼に負わせた。」
神様は旧約聖書からこの二つの矛盾するメシアのイメージをくださいましたのに、ユダヤ人は自分勝手に苦しめられる主のしもべのイメージは捨てて、イスラエルを世界の強大国から救われるイメージしか持っていませんでした。特にイエス様の時代は超強大国であるローマに支配されていたので、何とかしてローマから解放してくれるメシアを待っていました。
神様がくださる異なるメシアのイメージを彼らが勝手に選択することは彼らの高慢から来ています。神に選ばれた選民意識が強すぎて、異邦人を人格ある存在としない高慢さがありました。異邦人を救われるべき魂ではなく、さばかれる悪人だと決めつけていることが高慢です。天地万物の神なのに、全世界の神なのに、全世界の人々を愛しておられる神なのに、イスラエルだけ愛し、イスラエルだけ救われるちっぽけな神にしてしまいました。イスラエルを解放してくれるメシアは良いが、異邦人まで救われるメシアは嫌だと思っていることは高慢です。彼ら自身も救われる立場なのに、メシアを自分たち勝手に選択するのが人の高慢です。
（２）ギリシャ人の高慢
ギリシャ哲学を始め、人間が築き上げてきた学問は他人を説得することです。学問は基本的に私の理論を人に説得することです。自分の理論が世界に説得できれば博士となります。十字架は学問として人々を説得できますか？ 十字架はギリシャ人の目には矛盾しています。罪人をさばかれる神、同時に罪人を愛して下さる神。さばきと愛を同時に行うことが論理的に可能でしょうか？ ギリシャ人は不可能だと結論付けました。人間の能力で出来ないことはいかなる神も出来ないと決めつけるのが人間の高慢です。学問の中心が人間になっているからです。
しかし、人間に出来ないことを神様は出来ます。それが十字架です。神のさばきと愛が同時に行われところ、それが十字架です。
（３）私たちの高慢
私たちにもユダヤ人、ギリシャ人のような高慢があります。私たちはユダヤ人みたいに神のみことばを自分中心に受け止める弱さがあります。自分が気に入ったみ言葉にはアーメンします。しかし、避けたいみことばには反応が鈍いです。神は私を愛してくだいますが、同時に私が憎んでいる隣人も同じく愛するお方です。
私たちにはギリシャ人みたいに、見えるものだけを信じる高慢があります。自分の目に見えるものが真理であり、全部だと信じ込んでいます。私たちの目は騙されやすい者なので、真理の基準になれないのに、私たちは自分自身を真理の基準にしています。自分自身が世界のすべての善悪を決める神になっています。自分自身が真理の基準になっているので、十字架の奥義が見えるはずがありません。十字架の知恵が見えるはずがありません。私たちは自分たちの高慢さを認めましょう。そうすれば人生を見つめることが出来ます。そして、自分の高慢を捨てて、謙遜になって十字架を見上げましょう。
２．神の知恵
神の知恵の結晶体は十字架です。神様は罪をさばかれるお方であり、同時に罪人でさえ愛するお方です。神は聖なるお方なので、罪人をさばかれるお方であり、同時に愛のお方なので、罪人を憐れむお方です。正義の神は絶対、罪人を赦しません。徹底的に罪をさばかれるのが正義の神、聖なる神です。同時に神は憐れみ深いお方です。罪人が罪の中で滅びるのを決して、喜ばないお方です。全能の神の御手によって罪人を罪から救い出されるのが愛の神です。
しかし、人間の頭では正義と愛、さばきと赦しは正反対の概念なので、共存できないものです。人間の頭の中では完全に矛盾するものです。けれども、さばきの神と愛の神、二つが共存する十字架、そこに神の知恵があります。十字架には人間の愚かさと神の知恵が同時にあります。その例となる箇所を探してみましょう。
ヨハネ１１：４８－５０
「４８ あの者をこのまま放っておけば、すべての人があの者を信じるようになる。そうなると、ローマ人がやって来て、われわれの土地も国民も取り上げてしまうだろう。」
４９ しかし、彼らのうちの一人で、その年の大祭司であったカヤパが、彼らに言った。「あなたがたは何も分かっていない。
５０ 一人の人が民に代わって死んで、国民全体が滅びないですむほうが、自分たちにとって得策だということを、考えてもいない。」
宗教指導者と言うものが神の正義を求めないで、自分たちの特権を守るために救い主を殺しました。イエス様が死んでくれれば全イスラエルが滅びないで済むと考えました。これは人間の邪悪な知恵です。罪なき一人が民に代わって死んでくれれば、民全体が滅びないですむ、確かに得策です。罪なきイエス様が民に代わって死んで、民全体が罪から滅びないで救われることになると大祭司は全然考えもしていません。大祭司の邪悪な計略が神の救いの知恵になるとは大祭司自身も想像もしていません。神様はこの人間の邪悪な罪を逆に用いられて、罪人を救われる手段にされました。人間の邪悪な知恵でさえ、神様の知恵の中に入っています。神様は人間の邪悪な知恵でさえ、逆利用して救いの御業を成し遂げられます。
２０ 知恵ある者はどこにいるのですか。学者はどこにいるのですか。この世の論客はどこにいるのですか。神は、この世の知恵を愚かなものにされたではありませんか。
２５ 神の愚かさは人よりも賢く、神の弱さは人よりも強いからです。
十字架は人の邪悪な知恵の総体です。しかし、実は人類を罪から救い出した道具であり、神の知恵による御業です。神様はこの御業のために長い歴史の中、準備して、見事に実行されました。イエス・キリストが十字架を通して私たちの罪の代わりにさばかれました。同時に罪人である私たちが神の愛によって救われるようにしてくださいました。神の知恵である十字架を信じて、受け入れる人は救われ、神の知恵を悟ります。神の知恵が救いとして現れます。
反対にこの十字架を無視して、軽蔑する人はどうなりますか？ 神の知恵を無視して、軽蔑したことになるので、神の知恵がさばきとして現れます。イエス様の十字架の救いを受け入れない人にはそれに相応しい代価があります。人の知恵は大したものではないことを自ら、経験をすることになります。自分こそ賢いと思ってはいけません。神のお招きを無視してはいけません。イエス様の福音を受け入れないことは神のお招きを無視することです。自分は頑張れば何でも出来ると思って暮らしますと出来ないことが一つずつ増えていくことを体験することになります。
人間は愚かで、神と対決しようとしています。エジプトのパロがそうでした。パロはエジプトでは神のような存在です。神のような存在ですが、本物の神ではありません。さすが、神のような存在だから最初から素直に神に従うことは出来ませんでした。神に従うのが遅ければ遅いほど、彼にとって大事な一つ一つを失いました。自然災害、疫病、最後は長男まで失いました。頑固になればなるほど、被害は大きくなりました。彼は悪い意味で神が生きておられることを証明する人になってしまいました。出来れば早い段階で降伏したら良かったのに。
今の時代もパロのような人はたくさんいます。イエス様の十字架に現れた神の知恵を認めません。神を認めない人に、人間は何一つ出来ないことを神ご自身が一つ一つ証明してくださいます。「神の愚かさは人よりも賢く、神の弱さは人よりも強いです」。人より賢く、人より強い父なる神にすべてを委ねて暮らせば、天の神様が私たちに神の知恵を下さり、神の力を下さいます。この信仰の世界に入ると平和そのものです。幸せそのものです。この信仰の世界を多くの方に知って頂きたいですが、なかなか、信じて下さらないので、残念です。
このペ－ジのTOPへ 前週へ 翌週へ 一覧表へ戻る