2021年6月27日

サムエル記第一　15章10～16節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 神にも後悔があるのか ＞

　過去のことを後悔しない人は一人もいないと思います。家族にやさしくしてあげなかったこと、友達にひどいことを言ってしまったこと、過去の選択を悔やんでいる人。皆様は現在、後悔していることはございませんか？

　さて、過去を後悔するのは人間だけでしょうか？　旧約聖書には神様の悔やみがいくつも書いてあります。サムエル記　第一15章には神がサウルを王としたことを「悔やむ」と二回も書いてあります。
サムエル記　第一１５：１１
「わたしはサウルを王に任じたことを悔やむ」
サムエル記　第一１５：３５
「主も、サウルをイスラエルの王としたことを悔やまれた。」

　創世記６：６を見ても、神様は人を造られたことを悔やんでいると書いてあります。「それで主は、地上に人を造ったことを悔やみ、心を痛められた。」
人間の創造、そのものが否定されることです。現在の私たちの存在、そのものが否定されることです。人を造られたことを後悔することは天地万物を造られたことも後悔していることです。

　その反面、聖書には神様は人間みたいに後悔なさることはないとも書いてあります。
民数記２３：１９
「神は人ではないから、偽りを言うことがない。人の子ではないから、悔いることがない。」

　全知全能の神は人間みたいに悔いることがありません。人間が悔やむ理由は未来が分からないからです。未来を分かっていると後悔することをしないはずです。人間が悔やむもう一つの理由は未来を変えられないからです。未来を変えられるなら、後悔することをしません。

　ところが、全知全能の神は未来を知っておられる全知の神です。全知全能の神は未来を変えられるので、全能の神です。未来を知って、未来を変えられる全知全能の神は後悔することをなさいません。人間が後悔している理由は、人間には過去、現在、未来があるからです。私たちは全員、過去、現在、未来の中に閉じ込められて生きています。しかし、全知全能の神は時間に制限されるお方ではありません。神様は時間の制限に縛られない、時間を支配なさるお方です。時間に制限されないので、後悔と言う概念が最初からありません。民数記では悔いることがないと言ったのに、それでは、なぜ、サムエル記には悔いると言っているのでしょうか？　しかも、二回も続けて書いてあります。

　これは神様の失望を極大に表した人間的な表現です。神様はサウルを大いに期待していました。サウルが神様の代わりに民を愛して、守ってくれると期待されました。しかし、サウルは今まで、何回も神様が失望することばかりやりました。

　サムエル記第一15章には神様がサウルに失望なさった理由がいくつもあります。神様はサウルにイスラエルの王として、神様の代わりにアマレク人へのさばきを命じられました。しかし、サウルは神様のみことばに従うことには関心がなくて、彼自身のことばかり考えていました。神様がサウルに失望なさった理由をいくつか挙げてみるとこうです。


１．神に従うよりはものを惜しむ
９サウルとその兵たちは、アガグと、肥えた羊や牛の最も良いもの、子羊とすべての最も良いものを惜しんで、これらを聖絶しようとしなかった。ただ、つまらない値打ちのないものだけを聖絶したのである。


２．自分のために記念碑を立てる
１２翌朝、サムエルはサウルに会いに行こうとして早く起きた。すると、サムエルに、「サウルはカルメルに来て、もう自分のために記念碑を立てました。


３．彼の責任なのに、兵士のせいにして、兵士からの人気を気にする
１５サウルは答えた。「アマレク人のところから連れて来ました。兵たちは、あなたの神、主に、いけにえを献げるために、羊と牛の最も良いものを惜しんだのです。しかし、残りの物は聖絶しました。」
２１兵たちは、ギルガルであなたの神、主にいけにえを献げるために、聖絶の物の中の最上のものとして、分捕り物の中から羊と牛を取ったのです。」


４．神よりは彼自身の名誉を気にする
２５どうか今、私の罪を見逃してください。そして、私が主を礼拝することができるように、一緒に帰ってください。」
３０サウルは言った。「私は罪を犯しました。しかし、どうか今は、私の民の長老とイスラエルとの前で私を立ててください。どうか一緒に帰ってください。私はあなたの神、主を礼拝します。」

　神様はサウルを立てて、全イスラエルの最初の王にしました。神様の代わりに民を導いてくれると大いに期待されました。しかし、サウルは神様の栄光よりは、彼自身の栄誉を求めていました。神様に聞き従うよりは、民の声に屈服する道を選びました。その結果、神様は大いに失望なさったわけです。その失望を人間の言葉で極大に表現したのが「悔いる」という表現でした。


５．サウルの堕落を最初から知っておられたのか、止められなかったのか。
　サウルの失敗を神様は知らなかったのか、サウルの失敗を最初から知っていたのなら、なぜ、堕落しないようにできなかったのか。どちらも全地全能の神に合わないことです。

　サウルの失敗を神様は知らなかったのであるなら、全知の神ではありません。サウルの失敗を最初から知っていて、堕落しないように出来なかったのであるなら、全能の神ではありません。しかし、この二つの質問はサウルの問題の本質ではありません。

　全知全能の神はサウルに無限とも言える選択肢、権利を下さいました。サウルは神のかたちとして造られ、無限とも言える選択の権利を頂きました。その選択権利によって、サウルは神に従うか、兵士の声に従うかを決めました。神に従うか、自分の欲望に従うかを決めました。神様は一度、特権を下さいましたので、サウルの選択ごとに介入することはしません。サウルに下さいました王様の特権です。サウルは神様から頂いた特権を使って、神様を失望させることばかりやりました。失望が大きいことを聖書は悔やむという人間的な表現を使いました。サウルに下さいました特権をすぐ回収することはなさいません。最後までチャンスを下さいました。サウルへの悔やみは神様の最後のチャンスが終わったことの表現です。


結論
　人が後悔している内容は大体一つです。AとBの中で選択の間違いを悔やんでいます。Aを選んでおけば良かったのに。Aをやればよかったのに。Aをしなければよかったのに。しかし、私たち人間はどうせ、どちらを選んでも後悔するようになっています。仮に未来を最初から知っていても、未来を変えられても、私たちから悔やみは無くなりません。人間が悔いる理由は罪があるからです。未来を知らない、未来を変えられない能力の問題ではありません。神を信じない不信仰があるから、どちらを選んでも後悔します。

　ですから、神を信じている私たちは未来を知らなくても、未来を変えられなくても父なる神に委ねましょう。神様は子どもたちである私たちにどちらを選んでも良いように聖霊によって導いて下さいます。仮に間違った道を選んだとしても、聖霊様は修正してくださいます。私たちはイエス様を信じることによって、過去のことを後悔しなくても良いようになりました。
ローマ８：２８
「神を愛する人たち、すなわち、神のご計画にしたがって召された人たちのためには、すべてのことがともに働いて益となることを、私たちは知っています」
すべてを主の御手に委ね、信仰をもって未来を選び、勇気をもって歩き出せば良いです。後悔する必要もありません。反対のものを選んだとしても結果は同じだからです。

　人間は自分自身を信じているので、後悔します。しかし、神様を信じる人には後悔がありません。信仰の私たちも、どうしても後悔してしまうことはありますが、後悔することもほどほどにしましょう。私たちには聖霊の導きによる明日があります。



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