2021年3月28日

ルカによる福音書　22章54〜62節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ イエス様について行く距離　＞


　ペテロはイエス様の教え通りにイエス様の後について行きました。ゲッセマネの園でイエス様が捕らえられた時、他の弟子たちはイエス様から逃げました。しかし、ペテロは大祭司の家までついて行きました。けれども、彼はイエス様について行ったものの、最後はイエス様を知らないと否定してしまいました。イエス様について行ったのに、なぜ、イエス様を知らないと否定したのでしょうか？

ペテロは今まで１２弟子たちの中、誰よりもイエス様のことを心配する人でした。
ルカ２２：３３
シモンはイエスに言った。「主よ。あなたとご一緒なら、牢であろうと、死であろうと、覚悟はできております。」
しかし、今日の箇所を見ると彼は三回も連続してイエス様を知らないと否定しました。

　他の弟子たちは皆逃げたのに、なぜ、ペテロは密かに忍び込んで、イエス様がどうなるのか、見に来たのでしょうか？　その理由はイエス様のことが心配だったからです。ペテロはイエス様を愛しています。

　イエス様が心配で後ろについて来たことは事実です。イエス様のことを愛していることは事実です。しかし、生きるためにイエス様を知らないと否定したことも事実です。二つとも事実ですが、二つは両極端です。イエス様を心配することとイエス様を否定することは両極端ではありますが、二つともペテロの本心です。本心が両極端に分かれる不思議な現象です。ペテロがイエス様を否定した理由は二つです。


１．ペテロは遠く離れてイエス様について行った。（５４節）
　「自分を捨て、日々自分の十字架を負って、イエス様に従う」ことはイエス様にくっついていくことです。イエス様から遠く離れてついて行くといつか状況によって態度を変えることになります。何の試練もない平和の時はイエス様を愛しているので、イエス様について行きます。しかし、試練が来るとイエス様から離れてしまいます。イエス様と遠く離れていたからです。ペテロはイエス様が捕らえられていた大祭司の家に密かに入りました。大祭司の家だから広いです。ペテロはイエス様がどこにおられるのか、どうされているのか、あちらこちら徘徊していました。出来る限り怪しく見られないように行動しました。しかし、ペテロの行動がその家に住んでいたしもべたちの目には怪しく見えました。

　ペテロがこのようにイエス様から遠く離れ、一定の距離を置いていた時、試みに会いました。
５６節　ある召使いの女が、・・「この人も、イエスと一緒にいました。」
５７節　しかし、ペテロはそれを否定して、「いや、私はその人を知らない」と言った。
イエス様から離れている距離なので、ペテロの声がイエス様の耳には聞こえません。ペテロはうそをついて一回目の危機を免れました。

　イエス様のことを心配しているので、完全に離れることも出来ないし、だからと言ってイエス様のそばに行くことも出来ないし、どうしたらいいでしょうか？　どうしたらいいのか、迷っているうちに二回目の試みに会いました。
５８節　ほかの男が彼を見て言った。「あなたも彼らの仲間だ。」
しかし、ペテロは「いや、違う」と言った。

　イエス様との距離はそのまま離れています。二回目の試みにも、うそをついて危機を逃れました。イエス様が心配だからこの場から離れることも出来ないし、だからと言って彼自身の身分を明かすことも出来ません。

迷っている間に三回目の試みに会いました。
５９節　また別の男が強く主張した。「確かにこの人も彼と一緒だった。ガリラヤ人だから。」
６０節　しかしペテロは、「あなたの言っていることは分からない」と言った。
彼がまだ話しているうちに、鶏が鳴いて、イエス様の預言通りになったことを悟って彼は完全にイエス様から離れました。

　遠く離れてイエス様について行ったペテロは結局、イエス様を捨て、離れました。遠く離れてイエス様について行く人は状況が悪くなると自分の十字架を捨てることになります。イエス様とある程度の距離を置いて、信仰生活する人がたくさんいます。ペテロはイエス様のすぐそばにいた時は勇敢でした。しかし、今はイエス様と一定の距離を置いたので、結局、離れることになりました。


２．サタンの試みにつまずいた（３1節）
　ペテロがイエス様を知らないと否定した二つ目の理由はサタンの試みにつまずいたからです。
ルカ２２：３１
シモン、シモン。見なさい。サタンがあなたがたを麦のようにふるいにかけることを願って、聞き届けられました。

　イエス様と一定の距離をおいておくとサタンがその間に入ります。イエス様と一定の距離を置く理由は私たちの信仰がずるいからです。イエス様とある程度の距離置いていることを誰よりもサタンが良く知っています。距離を置くと結局はもっとずるいサタンの誘惑によって、イエス様と離れるようになります。イエス様から一度離れるとペテロの方からはイエス様に近づくことが出来ません。うしろめたさを感じるからです。ペテロとイエス様の間に今までなかった心の距離か出来てしまいました。

　試練に直面したとき、現われる反応が二つあります。一つは試練が厳しくなるとイエス様にもっと近づく方です。もう一つは試練があるとしばらく教会から離れる方です。皆様はどちらのタイプでしょうか？

　イエス様はペテロが躓くことをご存じだったので、前もって備え、ペテロの信仰がなくならないように祈られました。

ルカ２２：３２
　しかし、わたしはあなたのために、あなたの信仰がなくならないように祈りました。ですから、あなたは立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい。」

　イエス様は私たちのためにも祈っておられます。私たちの姿がもしかして、遠く離れてイエス様について行くペテロに似ているかも知れません。試練に直面したら私たちはどのような反応を示すでしょうか？

　私たちが試練をどのように反応するかは分かりませんが、私たちの反応と関係なく、イエス様は私たちのために予め、取り成しの祈りをささげられるでしょう。私たちの信仰がなくならないように今日も、イエス様は聖霊様を通して私たちのために祈っておられます。

　ヨハネの福音書が教えているイエス様と私たちの距離はどのくらいでしょうか？　ぶどうの木と枝の距離です。距離がなく、くっついています。

ヨハネ１５：４−７
４　わたしにとどまりなさい。わたしもあなたがたの中にとどまります。あなたがたもわたしにとどまっていなければ、実を結ぶことはできません。
５　人がわたしにとどまり、わたしもその人にとどまっているなら、その人は多くの実を結びます。わたしを離れては、あなたがたは何もすることができないのです。
６　わたしにとどまっていなければ、その人は枝のように投げ捨てられて枯れます。
７　あなたがたがわたしにとどまり、わたしのことばがあなたがたにとどまっているなら、何でも欲しいものを求めなさい。

ヨハネ１４：２０
その日には、わたしが父のうちに、あなたがたがわたしのうちに、そしてわたしがあなたがたのうちにいることが、あなたがたに分かります。

　 私たちは現在、イエス様にうちにとどまっている状態でしょうか？　離れることも出来る、くっつくことも出来る、一定の距離をおいているのでしょうか？



　　　　　　　　このペ−ジのTOPへ　　　　前週へ　　　　　翌週へ　　　　　一覧表へ戻る