2021年2月14日礼拝

2021年2月14日

申命記　15章1～15節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜皆と一緒に生きる＞

　新型コロナに感染されると完治されても、幾人かの方は後遺症で悩むそうです。コロナウイルスの終息が遅くなると世界経済は深刻な後遺症を残すでしょう。日本も多くの店が閉店となり、失業された方も多いです。この厳しい状況が出来る限り、短期間で終わりますように祈るばかりです。元々裕福だった人はダメージが少ないです。しかし、元々貧しかった人にはダメージが大きくて、長引きます。

　さて、皆様は貧しくなることに関してどう思われますか。皆様は貧しくなったことがありますか？　聖書は貧しさに関して何を言っているのでしょうか？　４節を見ると「貧しい人がいなくなる」ようにするのが神様の目標です。

　イスラエル民はエジプトで奴隷でした。奴隷は貯金がありません。奴隷だったイスラエル民を神様は救い出してくださいまして、カナン地を神の相続としてくださいました。彼らは神様の祝福によって豊かになりました。民の中で貧しい人がいなくなるのが神様の御心です。

　カナン地に定着した人たちは皆、大体同じく相続地を神様から頂きました。割り当て地の大きさに違いはありましたが、各家庭に、部族ごとに、土地がありました。しかし、時間が経つと個人の差が出てきました。財産が増える家と没落する家が出てきました。家が貧しくなるのは色々の理由があったでしょう。

　一つ、やむを得ないケースがあります。
　　病気になって働けなくなった、災害で打撃を受けた。
　二つ、個人の過ちによるケースがあります。お金を管理できる能力がないから、怠けて、悪きはないですが事業に失敗して。

　貧しくなる理由は別として、神様は貧しい人を救済できる社会制度を最初から命じられました。七年の終わりごとに、負債を免除する制度です。2：貧しい家にお金を貸しますが、返せない時は一番近い親戚に返済の義務がありました。しかし、それでも返せない時は、七年目に負債を免除する制度です。イスラエル全民族を一つの運命共同体だという考えがないと出来ない制度です。

　なぜ、神様は負債の免除制度を命じられたのでしょうか。貧しい人が増え続けると社会は深刻な不況になるからです。社会が不況になると共同体全体が駄目になります。ですから、深刻になる前に、七年ごとに救済して、負債をチャラにする制度です。

　イスラエル民は最初からこの制度が気に入らなかったようです。ですから、最初からこの戒めを守りませんでした。今の私たちの社会でも無理です。その理由は人々が返さなくなるからです。「救済されるのが癖になったらどうしますか」のことです。債務者が返さなくなると社会が駄目になります。

　それなのに、神様は不思議に今日の箇所で、債務者の義務の項目はありません。必ず返しなさいとか、返さないと神様に罰せられるなどの義務が一つもありません。社会からの制裁もありません。

　その反面、債権者への厳しい戒めがあります。
２：「貸し主はみな、その隣人に貸したものを免除する。その隣人や同胞から取り立ててはならない。主が負債の免除を布告されたから
７：その貧しい同胞に対してあなたの心を頑なにしてはならない。また手を閉ざしてはならない。
８：必ずあなたの手を彼に開き、その必要としているものを十分に貸し与えなければならない。
９：あなたは心によこしまな考えを抱き、「第七年、免除の年が近づいた」と言って、貧しい同胞に物惜しみして、何も与えないことのないように気をつけなさい。その人があなたのことで主に叫ぶなら、あなたは罪責を負うことになる。
１０：必ず彼に与えなさい。また、与えるとき物惜しみをしてはならない。

　債務者の責任はなく、逆に債権者の責任ばかりです。債権者は神様への責任があります。これは不公平ではありませんか。 3：こうすると社会が崩壊するのではありませんか。この制度だと現在の資本主義は崩壊してしまいます。

　神様が負債の免除制度を命じられた理由は何でしょうか？
６：あなたの神、主はあなたに約束したようにあなたを祝福されるから、あなたは多くの国々に貸すが、あなたが借りることはない。
１０：このことのゆえに、あなたの神、主は、あなたのすべての働きと手のわざを祝福してくださるからである。
１５：あなたは、エジプトの地で奴隷であったこと、そして、あなたの神、主があなたを贖い出されたことを覚えていなければならない。それゆえ、私は今日このことをあなたに命じるのである。

　負債の免除制度の基本的な考え方は簡単に言えばこうです。神様が債権者で、イスラエル民は皆、債務者です。イスラエル民は元々、奴隷でした。彼らが現在、蓄えたすべての財産は神様からただで頂いたものです。しばらく、生涯の間、預かっているだけです。いつかは全部神様に返さなければならないものです。財産は神様からしばらく預かったもので、その中から、兄弟を救済するために少し使う。これがこの制度の精神です。

　神様が債権者で、イスラエル民が債務者である関係は生涯ずっと続きます。神様は債権者なのに、債務者であるイスラエル民に負債を返しなさいと催促なさることはありません。

　神様と私たちとの基本関係もこれと同じです。神様はイエス・キリストの十字架の血潮の代価を払われまして、私たちを罪から救い出してくださいました。そして、今は神様の子どもとしてあらゆる祝福を下さいました。自分が持っている財産は全部、神様から頂いたものです。ですから、皆と一緒に生きるためにこのお金が必要です。自分一人のために使うとか、自分の子どものために使うとかではなくて、自分の周辺にいる関係している人々が皆、生きるために、無駄遣いは一切しないで、節約しながら、上手に使わなくてはならない大事なお金です。一人だけが全部使ってはいけません。一つの家族だけが全部使ってはいけません。4 ：「皆が一緒にいきるために」使うべきものです。この意味で、お金はとても大事なものです。

　個人の予測ですが、これから日本に、世界的に、経済的なとても厳しい時間が来ると思います。自分だけではなくて、皆様も同じく、予測していらっしゃることです。皆様はどんな対策を立てておられますか。貯金する、保険に入る、金融商品を分散させる、保証人には絶対ならない。これらの一つ一つはそれなりに大事な対策だと思います。しかし、これらの対策は全部、皆様の頭から出てきたものであって、神様の知恵ではありません。しかも、自分だけ生き残る作戦です。

　今日の聖書が教えている教訓はどうすれば皆が一緒に生きるかです。貧しい人が増えても私と関係ない、いくら不況になっても、自分さえ生き残れば良いと考えがちですが、社会というのは結局、皆が一緒に生き残るか、皆が一緒に死ぬかの共同体です。

　今日の聖書の教えは単なる理想論ではありません。一部分に限っては世界各国が福祉という名目で現在、やっていることです。コロナによる給付金、手当、基盤が弱い階層が崩れないように努力しています。日本でも数多くの給付金や手当などなどがあります。皆が一緒に生きるための知恵です。財政悪化になると出来なる日は来るでしょう。その時は神様に助けを求めるしかありませんが、現在のこの危機において皆と一緒に生きる精神が必要です。

　私たちが社会の貧しい人のために具体的に出来ることはとても限られています。しかし、私たちの精神は常に皆と一緒に生きる姿勢が必要です。困っている人を少しだけ助けることで、その人に生きるチャンスが与えられるのであるなら、一人を絶望から救い出すことになります。私たちはこれからの生き方をこのように定めたらいかがでしょうか。「皆と一緒に生きる」貧しい人、困っている人、助けを求めている人、救いを求めている人と一緒に生き残る道を探す。これが私たちのこれからの課題です。

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