2021年1月17日

ルカによる福音書　9章22〜23節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 自分を捨てなさい ＞


　現代の価値観は「あなたの人生も大事だ、一方的な犠牲はだめだ」と言っています。現代の価値観で生活すると「自分を捨てる」、「犠牲を払う」ことは悔いが残ります。現代は自分自身の人生を第一に優先する時代なのに、「自分を捨てなさい」と言うイエス様のメッセージは現代人に通じるのでしょうか？　今までの自分の経験で考えてみると親しい人たちとの間に起こる喧嘩の一番の原因は悔しさでした。

　悔しさを抱いているのは現代人だけではありません。昔の人も、皆、悔しさがあります。悔しさがあると自分を捨てることが出来ません。信仰者である私たちにはこの教えに違和感はありませんか？　現代人の生活に慣れている私たちは自分を捨てることが出来ますか？　イエス様がここで言っている「自分を捨てる」ことは何の意味でしょうか？


１．「自分を捨てる」ことは一緒に生きること
　自分を捨てることは具体的に皆と一緒に生きることです。イエス様はご自分を捨て、皆が生きられる道を選ばれました。イエス様はわざわざこの地に来られなくても良いのに、人間となられましてこの地に来られました。

ピリピ２：６−７
　６： キリストは、神の御姿であられるのに、神としてのあり方を捨てられないとは考えず、
　７： ご自分を空しくして、しもべの姿をとり、人間と同じようになられました。 人としての姿をもって現れ、

イエス様は多くの苦しみを受けなくてもいいのに、代わりに苦しみを受けられました。
イザヤ５３：４−５
「まことに、彼は私たちの病を負い、私たちの痛みを担った。しかし、彼は私たちの背きのために刺され、　私たちの咎のために砕かれたのだ。彼への懲らしめが私たちに平安をもたらし、その打ち傷のゆえに、私たちは癒やされた。

　イエス様は長老たち、祭司長たち、律法学者たちに捨てられなくても良いのに、捨てられました。イエス様は殺され、命を失わなくても良いのに、殺され、失われました。私たちのために。
マタイ２０：２８
「人の子が、仕えられるためではなく仕えるために、また多くの人のための贖いの代価として、自分のいのちを与えるために来た・・」
イエス様が私たちのために命を捨てられた理由は私たちにイエス様の永遠の命を下さるためです。

　ところで、私たちに永遠のいのちを下さいましたイエス様は消えてしまいましたか？　そうではありません。イエス様は私たちと一緒に永遠に生きておられます。

　「皆と一緒に生きる」、これこそ、キリスト教の「自分を捨てる」意味です。「自分を捨てる」意味は自分だけ死んで、他人だけ生き残る意味ではありません。イエス様が言われた「自分を捨てる」意味は自分も生きることになり、他人も生きることになります。皆が一緒に生きることとなります。

　これから、世界に必要な考えです。私だけ生き残る、私の家族だけ、私の会社だけ、わが国だけ生き残る競争の考えでは皆、駄目になります。私たちにこれから必要な生き方は皆と一緒に生きる道を探すことです。とても難しい課題ですが、私たちは福音を通してこの道を探しましょう。

　自分自身のこれからのビジョンは「一緒に生きる」ことです。皆様に「一緒に生きる」ビジョンを提案させて頂きますので、真剣に考えてみて下さい。「一緒に生きる」ビジョンは日本らしいスローガンです。「共生」です。


２．「自分を捨てる」ことは自らの選択
　自分を捨てることなので、強制的には出来ません。強いられることではなく、自分の奥底の人格からの自らの選択です。イエス様が命を捨てられたことは自ら喜んで選ばれた選択でした。

　それでは私たちはこれから、どのような選択をするのでしょうか？　私たちも自分を捨てる選択をするのでしょうか？　今の時代は自分を捨てる選択よりは自分の人生だけ大事だと教える時代ですが？　私たちはいったい自分を捨てる選択をするのでしょうか？

　私たちもきっとイエス様と同じ選択をすることになると思います。なぜなら、イエス様が私のために命を捨てられた恵みを受けたからです。イエス様の十字架の恵みがあまりにも大きく感じる方であればあるほど、自分を捨てる道を選びます。

　私自身がその一人です。神様がお母さんを救ってくださったからです。その恵みがあまりにも大きいので、感謝の気持ちで、自分も喜んで主のために自分を捨てることを選びました。

　 皆様もこれから、同じ選択するでしょう。イエス様が私のために十字架を背負われた恵みを本気で感謝している方は誰でも喜んで自分を捨てる道を選びます。自分を捨てることなので、悔しくなる時もあると思います。しかし、悔しさよりは神様に感謝する気持ちが大きいので、多少の悔しさを覆います。その選択により、皆が生きる道となります。



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