2020年7月26日

ルカによる福音書　1章57〜66節

　　　　　　　　　　　　　　＜ イエス様とバプテスマヨハネ２：割礼式と命名式 ＞


　今日はイエス様とバプテスマヨハネの二回目のことですが、お二人の割礼式と命名式を見たいと思います。先週から、イエスとヨハネを比べています。


１．二人の割礼式と命名式
　ユダヤ人の男の子は生まれたら８日目に割礼を受けます。割礼の儀式は神様とアブラハムの契約によるものです。神の民となる儀式です。割礼を受けないと神と民となりません。そして、子どもの名前を正式に登録する日でもあります。ユダヤ人は割礼によって神の民となり、その日、名前も決まります。

　バプテスマヨハネはイエス様より、6ヶ月早く生まれましたので、彼の割礼式が先に書いてあります。彼の割礼式にはイエス様と違って多くの人たちが集まって、楽しみにしていました。割礼式を終えて、その後、名前を付ける時間となりましたが、人々は当たり前のように父の名にちなんで「ザカリヤ」にしようとしました。

　ユダヤ人は子どもの名前を先祖と同じくする習慣があったようです。ですから、人たちは当たり前のように「ザカリヤ」にしようとしたわけです。けれども、その習慣を無視して、母のエリサベツは天使からもらった名前、ヨハネにしなければならないと言いました。あいにく、ザカリヤの先祖の中にはヨハネという名前はありませんでした。それでも、母エリサベツはヨハネだと強く主張しました。父ザカリヤも天使から直接、もらった名前なので、ヨハネにしました。

　「ヨハネ」の名前を付けたのは両親ではなく、神様です。これは何を意味するのでしょうか？　これをあえて言えば、名前を付けるのが本当の親です。ヨハネは誰の子どもでしょうか？　ザカリヤとエリサベツが生みましたので、確かに二人の子どもです。しかし、厳密に言えば、神様が名前を付けられましたので、神様の子どもです。

　イエス様も同じです。イエス様もヨハネと同じく８日目に割礼を受けられました。そして、名前は「イエス」となりました。ヨハネの命名式と違って、イエス様はヘロデから避難しているところでしたので、お祝いしてくれる人がいません。

　イエス様の名前も天使を通して神様が付けて下さいました。当時の人たちは皆、イエス様はヨセフの子、マリアの子と呼びました。マリアの子という呼び方はイエス様を侮辱するための言い方でした。イエス様も厳密に言えばヨセフとマリアの子どもではありません。神様が名前をイエスと付けましたので、神の子です。

　信徒の皆様、私たちの子ども達は誰の子どもでしょうか？　私たちと同じ家で生活しているので、私たちの子どもです。私たちが生み、私たちが育てました。ですから、私たちの子どもでしょうか？　確かに私たちの子どもですが、厳密に言えば神様の子どもです。

　中高生くらいになるとそろそろ自立する時間が近づきました。自立するという意味は神様に返す時間がそろそろ近づいたことです。私たちは今まで、しばらくの間、子どもを預かっていました。そろそろ、子ども達を神様に返す心の準備が必要ではないかと思います。子ども達が成人になる前に自分たちの唇で、自分たちの父なる神に祈れるようにしたいです。

　中高生の皆様、これからは皆様の霊的なお父様である、父なる神に祈り求めて下さい。父なる神が子どもである皆様に必ず、答えて下さいます。

　もう一つは皆様の家にいらっしゃるご両親には寂しくならないように、子どもとしての役割を果たしてください。信者である両親でさえ、心のどこかは寂しいです。我が子は神の子どもであることは知っていますが、それでも寂しいです。

　ましてはイエス様の信じていない両親であるなら、その寂しさは大きいです。皆様のご両親から見れば命をかけて皆様を生みました。そして、生涯をかけて皆様を育てました。それなのに、我が子ではなく、神の子どもだと言われたら寂しいし、悔しいです。ですから、これからは、以前よりももっと親孝行する皆様となってください。

　イエス様もバプテスマヨハネも両親のために親孝行しました。個人の推測ですが、ヨハネも両親が天に召されるまで家にとどまっていたと思います。イエス様も30年間、家族を養うために働き、家を守りました。神の国のために働いたのはわずか３年しかありません。３年の１０倍は家族を養い、兄弟たちを支えました。


２．全国に語り伝えられた有名人と無名人
　ユダヤの山里の至るところに、これらの事がことごとく語り伝えられました。ヨハネが生まれてから８日しか経っていないのに、すでに全国にその名が知らされました。そして、彼の成長を楽しみにしていました。ルカ１：６６「聞く者たちは皆それを心に留めて、「この子は、いったい、どんな者になるだろう」

　それに比べるとイエス様の誕生は人々に語り伝えられませんでした。イエス様はおおよそ、３０歳になるまで、無名人でした。ある日、突然、バプテスマヨハネの前に現れる時まで、イエス様は無名人でした。聖書にも１２歳の出来事一つ以外には何も残っていません。全国の皆がバプテスマヨハネを注目している中、イエス様を注目する人は誰一人いませんでした。

　イエス様はイザヤ５３：２−３節の預言通りになりました。
「2 彼は主の前に若木のように、かわいた土から出る根のように育った。彼にはわれわれの見るべき姿がなく、威厳もなく、われわれの慕うべき美しさもない。
3 彼は侮られて人に捨てられ、悲しみの人で、病を知っていた。また顔をおおって忌みきらわれる者のように、彼は侮られた。われわれも彼を尊ばなかった。」

　イザヤ５３：２−３節で考えて見るとヨハネはメシアではありません。彼は生まれた時から、殉教する時まで、生涯ずっと、人気者でした。ヨハネは神様から送られた預言者ではありますが、メシアではあません。メシアであるイエス様を全国に紹介する人でした。ヨハネはその使命を全うしました。

　 私たちはこれから、ヨハネみたいに有名人になることもあるかも知れません。私たちは今まで通り、これからも無名人かも知れません。どちらになっても関係なく、私たちは神の子どもだから、神の栄光を表す人として生きましょう。



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