2020年4月5日
ルカによる福音書 22章47〜53節
＜ それだけでやめなさい ＞
今日から受難週です。受難週というのはイエス様の最後の一週間の受難のことです。今日の箇所には二つの国の生き方が書いてあります。一つはサタンの国、或いはこの世の国、または私が王様である自分の国です。もう一つは神の国です。サタンの国に住んでいる人たちの生き方は自分中心の生き方です。その反面、神の国に住んでいる人は父なる神に頼る生き方です。普段はサタンの国に住んでいる人も、神の国に住んでいる人も生き方が同じです。両方とも幸せを求める、人々と仲良く暮らす、互いに助け合います。しかし、緊迫した状況になると、本来の姿を現します。
１．サタンの国に住んでいる人たちの生き方（４７−５０節）
（１）一時的な利害関係（兵士とイスカリオテのユダ）
イエス様を捕えに来た兵士たちとイスカリオテユダの関係です。兵士の群れとイスカリオテのユダの関係は互いに利用する関係です。兵士にとってユダはイエス様を逮捕するまで必要です。兵士たちはイエス様を逮捕して、宗教指導者のところに連れて行くのが任務ですが、イエス様の顔をはっきり分かっていません。特に真夜中だから、イエス様を逃してしまったら大変です。真夜中、イエス様がどこにいるのか知っている人もユダだけです。しかし、兵士たちがイエス様を逮捕したら、ユダは要らない者です。面倒くさい者、どうなっても価値のない無関係の者です。
ユダもその意味で同じです。兵士たちと何の関係もありません。ユダはすでに銀貨３０枚をもらいましたので、イエス様を兵士たちに手渡さなければならない義務があります。その義務を果たせばそれで終わりです。彼らの関係はただのギブアンドテイク関係、取引が終わるとすぐ無関係になります。
（２）裏切り（イスカリオテのユダと１１人の弟子たち）
イスカリオテユダは３年間イエス様の愛を頂いて、三年間も続けて赦して頂いたのに、イエス様を裏切りました。ユダはイエス様の教えを聞いて、恵まれたはずですが、いざと言うとき、彼自身のことしか考えられなくなりました。彼は銀貨３０枚のためにイエス様を売りました。
イスカリオテユダに比べると１１人の弟子たちもイエス様を捨てたことは同じです。最初、ペテロはイエス様を守ろうと頑張りましたが、結局は彼もイエス様を知らないと３回続けて否定しました。他の弟子たちも皆、おびえながらイエス様から離れました。イスカリオテユダも、１１人の弟子たちも皆、同じく生きるために、死の恐怖の中、イエス様を捨てました。人間は皆、弱いので、恐れを感じると本能的に生きる道を選びます。生きるために裏切ることも頻繁にあります。
（３）自分を愛してくれる者だけを愛し、よくしてくれる者だけをよくする（弟子たち）
弟子たちは最初、イエス様を守ろうとしました。しかし、１１人の弟子たちの愛はあくまでも自分を愛してくれる人だけ愛し、自分に親切にしてくれる人だけ優しくする生き方です。１１人の弟子たちもイスカリオテのユダも同じ生き方です。彼らはサタンの国の生き方である「目には目、歯には歯」の教えに支配されていました。これは人間の生まれつきの本能です。３年間イエス様の愛と教えを頂きましたが、変わっていません。
（４）後を絶たない復讐の連鎖
兵士たちがイエス様を逮捕するために武装してきました。それにおびえていたペテロが剣を使いました。死の恐怖と復讐しない限り、悔しさが消えなかったでしょう。その理由で、しもべの耳が切り落とされました。しかし、それを見ていた兵士たちももっと激しくなって、弟子たちを捕えようとしました。そこで、イエス様が止められなかったら、１１人の弟子たち皆、逮捕されるまで打ち合いは続いたでしょう。復讐の連鎖は後を絶ちませんが、サタンの国がそうです。やられたら、それ以上に復讐しないと気が済まないのが人間の本能です。復讐の連鎖を止められるのはイエス様の愛しかありません。人間の復讐心は、自ら止めることはないからです。
２．神の国に住んでいる人たちの生き方（５１−５３節）
（１）敵を愛し、迫害するものために祈りなさい（５１−５２節）
イエス様は今まで「あなたの敵を愛し、迫害する人のために祈りなさい」と教えられました。イエス様は今まで教えられた通り、ここで模範を見せて下さいました。イエス様はしもべの耳を癒してくださることによって本当の愛を見せて下さいました。敵を愛する、迫害する人のために祈ることは言葉だけで出来るものではありません。イエス様は復讐の連鎖を愛によって断ち切りました。イエス様は十字架の愛で復讐の繰り返しを断ち切りました。「それだけでやめなさい」。現在、私たちに必要なメッセージです。
（２）神の時を信じて、委ねる（５３節）
イエス様がここで抵抗なく逮捕された理由は神に委ねておられるからです。今は捕えられ、苦しみを受け、十字架の受難を受ける時間です。確かに、この瞬間は不義のように見えます。弟子たちから見れば確かに間違っているので、剣を使ってでも正しくしなければならないと思うかも知れませんが、しかし、これも神の御手に委ねるのが信仰です。神の御国に住んでいる人は神の時を信じて、神の御手に委ねて忍耐します。父なる神が未来必ず、正しくさばかれる時間が来ます。私たちはそれを信じて、今はただイエス様の愛を実行して行きましょう。
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