2020年2月23日

ペテロの第一の手紙　3章18〜22節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ キリストの死と復活と昇天 ＞


　１８−２２節全体が言いたいことは死んだ後でも、魂に福音が伝えられるとか、もう一度救われるチャンスがあるという話ではありません。現在生きている、私達の救いのためにイエス・キリストがなされた十字架の死、よみからの復活、昇天の事を言っています。すでに死んでいる過去の人のために言っているのではなくて、現在生きている私たちに救いの確信をもたらすための教えです。ノアと彼の家族が水によって救われたことと同じようにペテロ時代の人たちも水のバプテスマによって救われた安心感を与えるためです。私たちもこのみ言葉から救われた安心を得ましょう。


18節
　ペテロがここでわざとイエス様の肉と霊を付け加えたのは地上のイエス様と天上のイエス様を区分するためです。１８節はイエス様の肉体と霊の話ではなくて、イエス様の死と復活の話です。私たちの罪のゆえにイエス様の体は死にました。しかし、私たちを死から生かされるために、肉体は復活されました。私たちもイエス様のように体が死に、再びよみがえります。栄光の体によみがえります。この希望があるからこそ、私たちはいかなる現在の試練も乗り越えることが出来ます。18節はすでに死んでいる人々への福音ではなく、現在生きている私たちへの福音です。


19節
　19節を読むとまるで、すでに死んだ人たちにもう一度福音が伝えられるかのように聞こえますが、実は違います。「獄に捕われている霊ども」はすでに死んだ過去の全人類ではありません。ある特定の人たちです。「獄に捕らわれている霊」は２０節を参考にしてみると、創世記6章のところに出てくる堕落した霊的な存在とその子孫たちのことです。福音を伝えるのであるなら、彼らだけではなくて、全人類の先祖たち全員に伝えて欲しいのに、なぜ、彼らだけなのか、しかも、「獄に捕らわれている霊」は堕落して、さばきを待っている存在です。イエス様は復活され、天にあげられ、神の右に座し、天使たちともろもろの権威、権力を従わせることになりました。全宇宙にイエス・キリストの主権が宣べ伝えられました。獄に捕らわれている霊どもに伝えられたのは福音ではなく、逆にさばきのお知らせです。


20節
　さばきであるなら、それも同じく全人類の堕落した霊に伝えるべきなのに、なぜ、ノアの時代だけに制限しているのでしょうか？　旧約には深刻に堕落した色々の時代がありますが、ペテロはその中からノアの時代を取り上げました。なぜ、ノアの時代を取り上げたのでしょうか？　ペテロが特に、ノア時代を取り上げている理由はノアの箱舟による救いを強調するためです。ノア時代、水による救いとペテロ時代、水による救いが似ているからです。神の前で正しいと認められたノア、そして、ノアの８人の家族。ノアは船を作る前も、船を作っている途中も、神の恐れない人たちに迫害されました。しかし、洪水によるさばきがあり、ノアとその家族は救われましたが、ノアを迫害した人たちはさばかれました。ペテロの手紙を受けている信者たちも同じです。彼らも悪霊に支配される人たちから、迫害されました。しかし、イエス様を信じる人には水のバプテスマによる救いがあります。水はさばきの象徴であり、同時に救いの象徴でもあります。ノアの家族にとって水は救いの象徴でした。私たちにも救いの象徴です。洗礼によって救われました。

　神は救いの神でもあり、さばきの神でもあります。しかし、神は慈しみ深いお方なので、罪人がさばかれる日を待っておられるのではなくて、悔い改める日を待っておられます。信者には救われる日が長すぎると感じるので、疲れることもあるかも知れません。しかし、さばきの日は必ずあります。今日の箇所は信者に安心感を与えています。


21節
　私たちにとっても水は救いの象徴です。人を滅ぼす水から救われたノア、人を殺す十字架によって救われた私たち、水のバプテスマによって救われた私たち。バプテスマは象徴的なものをたくさん含んでいます。水に浸され、昔の自分は死にます。しかし、死の水から生き返ります。ノアと彼の家族は水によって救われたことと同じように、ペテロ時代の人も水のバプテスマで救われます。


22節
　 「天に上って神の右に座し、天使たちともろもろの権威、権力を従えておられる」。このイエス様が私たちの心にもおられます。いかなる試練も怖くありません。ノア時代の洪水みたいないかなる試練でさえ、私たちを滅ぼすものではなく、救うものです。ですから、勇気をもって、安心して生きていきましょう。



　　　　　　　　このペ−ジのTOPへ　　　　　前週へ　　　　　翌週へ　　　　　一覧表へ戻る