礼拝メッセ−ジ
2020年2月2日

ルカによる福音書　6章27〜38節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 父なる神のように慈悲深い者 ＞


２７−３１節を見ると不可能なことばかりです。
２７節　敵を愛しなさい、憎む者に親切にしなさい。
２８節　のろうものを祝福しなさい。はずかしめる者のために祈りなさい。
２９節　あなたの頬を打つ者にはほかの頬をも向けてやりなさい。あなたの上着を奪い取る者には下着をも拒むな。
３０節　あなたに求める者には与えてやりなさい。あなたの持ち物を奪う者からは取りもどそうとするな。
３１節　人々にしてほしいとあなたがたの望むことを、人々にもそのとおりにしなさい。

　初めて聖書を読む方には現実離れのように聞こえるでしょう。キリスト者である私たちも、これらの中で何一つ守れるものはありません。私たちの本能がこれらの戒めを拒否します。私たちが頑張れば守られるレベルではありません。私たちは最初から出来ないと思って諦めていますか？　出来ないことをなぜ、イエス様は私たちに求められるのでしょうか？


ところで、仮に私たちがこれらのことを文字通りに守ったとしても良き結果にはなりません。
「敵を愛する、憎む者に親切にする」、「のろうものを祝福する。はずかしめる者のために祈る」。
出来ないのに、やりたくないのに、無理矢理にやると気がおかしくなります。

「頬を打つ者にほかの頬をも向けてやる、上着を奪い取る者に下着をもあげる」
「求める者に与える、持ち物を奪う者に取りもどそうとしない」
文字通りにすると虐待されることになり、搾取されることになります。ますます関係がおかしくなるだけです。

　神様の子どもは尊い存在なのに、社会から人格が無視されてはいけません。初代教会の信徒たちもエルサレムに大きな迫害が起きた時、そのまま迫害を受けるよりは遠い国に逃げました。パウロはひどい暴力を受ける時、ローマ市民権を使って、暴力を避けたこともあります。

この戒めは私たちにとってどういう意味があるのでしょうか？　正直なところ、私たちが現在、慣れている生き方は３２−２４節です。
３２節　自分を愛してくれる者を愛する。
３３節　自分によくしてくれる者によくする。
３４節　また返してもらうつもりで貸してあげる。

　32−34節は一言で言うとギブアンドテイクの関係です。良い意味でのギブアンドテイクです。互に良いものをあげて、良いものをもらいます。３２節から３４節は一つの共通点があります。それは人と人との関係です。人と人との関係なので、神様の存在はいません。人との関係が、絶対的なものになっています。人との仲間意識、人との倫理関係、人とのギブアンドテイク。全部、私たちが大事にしている価値観です。人間の社会が作り出したものです。決して悪いものではありません。とてもすばらしい、良いことです。

　しかし、これらの関係には影もあります。仲間に入っているときは大丈夫です。けれども、仲間から離れたら終わりです。仲間から外れたら人生終わりです。仲間から徹底的に除外されます。ユダヤ人は徹底的にサマリヤ人を追い出しました。パリサイ人は税金取りやガリラヤ出身のイエス様を徹底的に除外しました。

　しかし、３５−３８節には人と人との間に神様の存在がいます。今日の聖書箇所を理解するための一番のキーは神様の存在です。２７−３１節は難しい戒めですが、しかし、神様がおられると守れます。


３５節
　敵を愛することは悔しいことです。不可能なことです。しかし、神様にとても愛されて、「私のような者をここまで愛して下さるのか」と神の愛に満たされた時は敵を憎むことが出来なくなります。敵を憎んでいる憎しみよりは神に愛されていることが大きく、これ以上、敵を憎めなくなることです。赦せない人がいて苦しんでいる時、神様が私をどれほど、愛しているのか感じられる時があります。その時、心の中から不思議に憎しみがすっと消えます。


３６節
　聖霊様が私たちを神ににている者として変えられます。徐々に変わっていくうちにイエス様の戒めを信じて実行していきます。ますます、父なる神みたいに慈悲深い者になって行きます。信仰は生まれつきではありません。信仰は生まれつきの本能ではありません。信仰は神から頂いた賜物です。ですから、私の生まれつきの本能がどうであれ、イエス様との交わりが深くなると私はイエス様のように変わっていきます。


３７節
　人と人との関係、ギブアンドテイクの関係でこのみ言葉を見るとこうです。私が隣人をさばかないと隣人も私をさばかない。私が隣人を罪に定めないと隣人も私を罪に定めない。私が隣人を赦すと隣人も私を赦す。

　しかし、人と人との関係の間に神様を入れると意味が変わります。私が隣人をさばかないと神様も私をさばきません。私が隣人を罪に定めないと神様も私を罪に定めません。私が隣人を赦すと神様も私を赦す。隣人と私の間に神様が入ると私の罪も見えます。私の罪が見えると、復讐に燃えていた心が落ち着きます。私の罪が見え、神の憐れみが感じられると本気で憎むことが出来なくなります。


３８節
　隣人とのギブアンドテイク関係では一つ与えると一つもらいます。しかし、私と隣人との間に神様が入ると不思議なことが起こります。隣人に与えると神様が私に溢れるほど与えて下さいます。私は一つを与えたのに、神様から１００を頂きます。


私たちはこれから生涯において、使徒行伝２０：３５を体験したいです。
「受けるよりは与える方が幸いである」



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