2020年1月1日

ヨハネによる福音書　3章3節、4章13〜14節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ インサイドとアウトサイド ＞


あけましておめでとうございます
　Timothy  Keller牧師の本の中にヨハネ３章のニコデモと４章のスカルの女性のことが書いてありました。自分も伝道集会などの時、結構説教させて頂きました。一つ一つの内容がとても長いので、３，４章を同時に説教することは難しいです。ところが、その本はこの二人を同じカテゴリの中で比較していました。ニコデモはインサイドの人、スカル女性はアウトサイドの人。同じところで住みながら、一人はインサイドの社会、もう一人はアウトサイド社会。インサイドの人とアウトサイドの人は住んでいる社会が違うので、共通点はないように見えますが、イエス様の御前では同じ問題を抱えていました。


１．二人の違う生活
　ニコデモはインサイドの人ですが、スカル女性はアウトサイドの人です。インサイドは社会の中心部にいる人です。アウトサイドは社会の外にいる人です。現代日本語で表現すると勝ち組、負け組。或いは主流、非主流政府は何とかしてインサイド、アウトサイドを無くそうと努力しています。インサイドはお金持ち、アウトサイドは貧しい人です。貧富の格差を無くそうと、頑張っていますが、ますます広がりつつあります。それでも日本は世界に比べるとまだまだ良い方です。

（１）ニコデモはインサイドの中でもインサイド
　彼は勝ち組の中でも、勝ち組です。彼はユダヤ人です。ユダヤ人はインサイドの人です。サマリヤ人はアウトサイドの人です。彼は政治家です。一般市民に比べると出世しました。お金も十分あります。彼は先生と呼ばれました。人々から尊敬されることは生きがいです。彼はお金、権力、名誉、全部、手に入れた、完璧な勝ち組です。皆が憧れるインサイドの中でもインサイドの人です。人々が頑張っている理由はインサイドの人になるためです。

（２）スカル女性はアウトサイドの中でもアウトサイド
　彼女はサマリヤ人です。生まれつきのアウトサイドの人です。ユダヤ人がインサイドの人であるなら、サマリヤの人はユダヤ人から完全に無視されるアウトサイドの人です。アウトサイドの中でもアウトサイドの人です。

　彼女はサマリヤの人からも無視される女性でした。今まで夫が五人もいました。再婚、再婚を繰り返すことで、やっと生きてきました。サマリヤ社会からも完全に隔離された人です。ですから、人々が誰もいない時間に水を汲みに井戸に行きました。

（３）私はインサイドか、アウトサイドか
　私達はこの社会でインサイドですか、アウトサイドですか？　日本の中でも首都圏に住んでいるので、インサイドに住んでいます。しかし、キリスト者は少数なのでアウトサイドにいます。私達は多数のところに属したい本能があります。多数のところに属していると一応安心です。少数のところに属しているといつまでも不安です。自立出来ていればインサイド、援助による生活であるなら、アウトサイドです。

　結婚しているかどうか、子どもがいるかどうか、老後準備が出来ているか、どうか様々なインサイド、アウトサイドがあります。自分はアウトサイドだと認識している人はスカル女性が見せたように人々と接したくありません。自分の事を人々に言いたくありません。過去のことを誰にも言いたくありません。スカル女性みたいに自分のことや過去のことが話題になった時、驚きを感じます。

　ところが、アウトサイドに入れば入るほど、アウトサイドではなく、多数のところであるインサイドに属したい本能があります。多数のところに属していると一応安心です。少数のところに属しているといつまでも不安です。ですから、アウトサイドにいると思っている人はインサイドに行こうと頑張ります。いくら頑張ってもいけないと思ったら、諦めて生活します。

　サマリヤの人たちはエルサレムに比べるとアウトサイドだという劣等感がありましたので、これからは自分たちもインサイドになろうとしてエルサレムと違う神殿をサマリヤに作ってしまいました。神殿はエルサレムに一つしかありません。神の神殿があるところがインサイドです。ですから、彼らはインサイドになるために新しい神殿をサマリヤに作りました。新しい神殿を作ればアウトサイドがインサイドになりますか？　異端になるだけではありませんか？

　スカル女性はどうせ、頑張ってもインサイドにはならないので、諦めています。アウトサイドに満足しているわけではありませんが、彼女の努力ではどうせ、インサイドに入れません。

　私達の人生の目標は何でしょうか？　もう少し安定した収入があれば、少数派よりは多数派のところにいたい、アウトサイドではなく、インサイドに。これが目標ですか？　それが目標であるなら、間違っています。なぜなら、ニコデモを見るとインサイドの中でもインサイドであるニコデモが答えを求めてイエス様のところに来たからです。

　イエス様は当時、社会から見ればアウトサイドの中でもアウトサイドの人です。イエス様はエルサレムではなく、ガリラヤのナザレ出身です。正式なラビの先生ではありません。何の権力もありません。お金もゼロです。インサイドの人たちであるパリサイ人、律法学者たちに批判されるアウトサイドでした。人々から見れば何も不足していることがないニコデモがなぜ、アウトサイドの中でもアウトサイドであるイエス様に尋ねたのでしょうか？


２．二人の同じ悩み
　ニコデモとスカル女性の共通点は人が誰もいない時、イエス様に出会ったことです。ニコデモは誰もいない夜にイエス様を訪ねました。自分の弱さを誰にも見せたくなかったからです。

　スカル女性は誰もいない真昼に水汲みに行きました。ニコデモは夜、スカル女性は真昼、二人の時間帯は正反対ですが、その理由は同じく、人々にバレない時間帯です。人々にバレたら超恥ずかしいです。

　幸いなことは、二人はイエス様から答えを頂いたことです。イエス様はニコデモに「聖霊によって新しく生れる」ことを教えて下さいました。ニコデモがユダヤ人として生まれたこと、先生であること、政治家であること、つまりこの世のインサイドである条件では天国に入れません。

　イエス様はスカル女性にいつまでも、かわくことがない永遠の命に至る水を下さいました。この世のインサイドに入らなくても良いです。主イエスのインサイドに幸せがあります。

　二人はこの世というアウトサイドから離れて、神様のインサイドに入りました。イエス様を受け入れ、神の国に入った人はこれ以上、この世のインサイド、アウトサイドは意味がありません。イエス様のインサイドに入ったからです。

　私達は去年、何をしましたか？もしかして、何とかしてアウトサイドからインサイドに入ろうと頑張りましたか？　なかなか、うまく行かなくて疲れて、諦めてしまいましたか？　今年も同じことを繰り返すつもりでしょうか？　ニコデモみたいに60-70歳になるまで失敗を繰り返すつもりでしょうか？　スカル女性みたいに五回も失敗するまで失敗を繰り返すつもりでしょうか？

　 私達はイエス様を信じて、聖霊を受け入れ、新しく生まれ変わって、天国のインサイドに入っています。すでにインサイドに入っていることを信じましょう。



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