2019年9月8日
ペテロの第一の手紙 1章1〜5節
< 離散している寄留者たちへ >
ペテロがこの手紙を書いたのはローマ皇帝ネロの迫害が始まる前でした。ローマの各地域に離散している兄弟姉妹たちはこれから本格的な迫害を受けますが、信仰を投げ捨てることのないように、ペテロは未来の希望を語って励ましました。同時に信仰を捨てないように注意を呼びかけています。
1.選ばれた寄留者 (1節)
ペテロは離散していた寄留者たちを心配して手紙を送りました。1節に書いてある「ポント、ガラテヤ、カパドキヤ、アジヤおよびビテニヤ」はタウルス山脈北部にある小アジア全体を包括するローマの支配下にある地域です。ペテロはその信徒たちに手紙を送りました。この手紙を受けている人たちはイエス様を信じている異邦人です。異邦人キリスト者は自分たちの民と違う変わり者なので、寂しいです。同じ民族、同じ家族なのに、信仰が違うので、寂しいです。この地上で神の民として生きることは寂しいことです。しかし、ペテロの手紙を受けている離散した寄留者たちは安心しました。その理由は神に選ばれたという安心感です。選ばれた安心感と寄留している不安が常に共存するのがクリスチャンの生活です。選ばれたことと寄留は相反するように見えます。選ばれたことは神との特別な関係です。寄留は人から離れている関係です。選ばれたことは特権です。寄留は社会では不利な立場です。私達にとってどちらが本物でしょうか? どちらも私たちクリスチャンには本物です。私たちは神に選ばれ、救われたので、寄留者になったわけです。私たちは天国にたどり着くまで諦めずに旅を続けましょう。
2.厳しい現実にまさる三位一体の神の御わざ(2節)
ペテロの手紙を受信している信徒たちの現実は厳しいです。現実だけ注目する厳しい事ばかりですが、過去、現在、未来を貫く三位一体の神のみわざを考えると厳しい現実もそこまでは大変ではありません。
1)父なる神の予知されたところ
私たちの救いにおいて父なる神の主な役割は予め選ぶ、知っておられることです。神は私たちのすべてのことを知っておられる方です。救われるように神が選ばれたこと、選ばれたので、生まれる前から神の目が私の上に注がれていることを意味します。神が私のことを生まれる前から意識しておられます。
2)御霊のきよめにあずかっている
私たちの救いにおいて聖霊の主な働きはきよめと導きです。聖霊様が私達に信じるように心を開いてくださり、福音を受け入れられるように助けて下さり、救いに相応しい人となるようにきよくして下さいます。きよめを保てるように導いて下さいます。試練の中でもきよさを保てるように助けて下さいます。聖霊様が試練という手段を通して私たちをきよめられます。
3)血のそそぎを受けるため
私たちの救いにおいてイエス様の主な働きは私たちの罪の代わりに血を流されたことです。
4)イエス・キリストに従い
私たちの救いのために三位一体の神のお働きで十分ですが、ペテロはあえて、人の従順も強調しました。私たちは試練があっても、信仰を捨てないで主に従います。自ら進んで、自分の十字架を受け入れます。なぜなら、私たちはイエス様と同じく完全な人格の存在だからです。痛みを感じないロボットではありません。人格の人は試練の中で痛みを感じます。その痛みの中、従います。私たちは試練を覚悟してイエス様を信じています。その理由で、三位一体の神が私たちをあらゆる試練の中で全面的に助けて下さいます。
3.生ける望みを抱いている理由(3節)
(1)現実的な望み
試練の中でも耐えられる理由は望みがあるからです。望みが本物か、どうかを判断する基準はその望みに根拠があるか、その望みはいつまで続くのか、その望みは現実的なものかです。本当の望みであるなら、現実的な根拠と永遠に続くものでなければなりません。イエス様を信じている私たちの望みは永遠に変わらない生ける望みです。その根拠は父なる神がイエス・キリストを死人の中からよみがえらせたことです。復活は生ける望みです。父なる神はイエス・キリストを死人の中からよみがえらせることで、信者である私たちを神の子どもにされ、生ける望みを下さいました。現在、神の子どもになっているので、虚しい望みではなく、現実的な生ける望みです。生ける望みだからこそ、私たちは現在、神の子どもとして祈ります。イエス様の名によって祈りますと必ず、現実の中で答えが与えられます。
(2)未来の望み
私たちの望みが生ける望みであるもう一つの理由は永遠に続くからです。4節を見ると私たちのために「天にたくわえてある、朽ちず汚れず、しぼむことのない資産を受け継ぐ者」となっています。
ディオグネトスに送る手紙の中から、クリスチャンは天にある朽ちないものを待ち望みながら、この地上で朽ちる者の中にしばらくとどまっている。
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