2017年3月26日

創世記　50章14〜21節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 葬儀の葬式より大切なこと ＞


　葬儀セミナーを準備するため、二週間、サラの葬儀に関してみました。今日はヤコブの葬儀ですが、葬儀そのものではなく、葬儀後のことを中心に考えたいと思います。14節を見ると亡くなったヤコブの遺族は「父を葬った後、一緒に上った者と共にエジプトに帰」えりました。やっと大変な葬儀が終わりました。期間も長く、埋葬場所も遠く関わった人数も多く、葬儀がやっと終わったので、エジプトに帰り、皆がほっとしているところです。しかし、皆がほっとしている中、15節を見るとヨセフの兄たちは不安になりました。
「われわれを憎んで、われわれが彼にしたすべての悪に、仕返しするに違いない」
兄たちがこのように不安になった理由は何でしょうか？


　ヤコブ家の長くて、深くて、悲しい家族の歴史があります。12兄弟の関係は妬みと競争、戦いでした。これらの不幸の結末は兄たちが弟のヨセフをエジプトに人身売買したことです。ヨセフは17歳の時、兄たちによってエジプトに売られました。しかし、神さまがヨセフを導いて下さいまして30歳の時エジプトの総理になりました。総理になった時、丁度、兄たちの家族に食べ物がなく、大変な苦労をしている話しを聞いて家族を全員エジプトに招いて養いました。

　兄たちは一安心していましたが、父ヤコブの葬儀が終わると再び不安になりました。そのわけで、彼らは亡くなったお父さんの遺言をヨセフに伝えました。（16，17節）　ヨセフは良き信仰者なので、最初から兄たちを赦していましたが、ここでもう一度彼らを慰めました。ですから、家族関係は円満になりました。

　ヨセフと兄たちの会話は言わば、葬儀後の家族会議です。葬儀の儀式の後、どこの家庭においても家族会議があります。葬式という儀式が大事ですか、その後の家族会議が大事ですか。葬儀儀式は少々失礼なことがあったとしてもそんなに恥ずかしいことではありません。しかし、葬儀の後、家族の問題をうまく解決しないと家族関係は終わりです。亡くなった親の願いは葬式の儀式をちゃんと行うことではなく、残された子孫が仲良く暮らすことです。しかし、これがとても難しいです。今まで我慢していたことが全部一気に出てきます。

　ヨセフがもし、ここで少しでも兄たちに対して残念な気持ちがあったら、彼らの家族は終わりです。しかし、ヨセフは神様の愛と赦しによってこの危機を乗り越えました。ヨセフは被害者です。それでも被害者が神様の愛で赦しますと家族は一つを保ちます。もし、被害者が赦さないと家族はバラバラになります。ヨセフが兄たちを赦すことが出来たのは神様のご計画を悟ったからです。

20節「あなたがたはわたしに対して悪をたくらんだが、神はそれを良きに変らせて、今日のように多くの民の命を救おうと計らわれました」。
20節を見ると悪を良き善に変えることが書いてあります。神様は赦しという方法を通して悪を善に変えます。

　悪を善に変えるのはとても難しいことです。なぜなら、被害者が加害者を赦さなければならないからです。聖書の教えを見ると復讐する権利が人間にはありません。被害者でも加害者を復讐してはいけません。被害者が加害者を復讐することは神様の領域を犯すことになります。

　ローマ12：19「愛する者たちよ。自分で復讐をしないで、むしろ、神の怒りに任せなさい。なぜなら、「主が言われる。復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」と書いてあるからである」

　赦しを通して悪を善に変えると皆が生きることになります。反対に赦しがないので、悪を善に変えないと死の連鎖が続きます。和解の働きをなぜ、加害者ではなく、被害者がしなければならないのかがいつも不思議です。

　ヨセフは神様のご計画を悟りましたので、心から兄たちを赦し、これからも彼らを守り、養いました。これによって家族を一つにしました。ヨセフは兄たちを赦しましたので、カナン地を12部族で継承することが出来ました。ヨセフがここで赦さなかったら、12部族はバラバラになってカナン地を12部族が継承することはできません。アブラハム家の小さいお墓の大切さを二週続けて語りましたが、しかしそれはあくまでも12部族が一つの共同体になっているときのことです。12部族がバラバラになるとカナンの全地は何の意味も価値もありません。 その土地の上に暮らす人が大事です。ヨセフの偉大な働きは赦しであり、その赦しによってバラバラになるはずの家族が一つになり、一つになった民族が神様の約束の地、カナンを受け継ぐことが出来ました。一つの民族が受け継いだので、約束の地は意味があり、価値があります。



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