2016年5月22日

コリント人への第一の手紙　10章23〜29節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 信仰と良心 ＞


　Ｉコリント８章と１０章には「良心」という言葉が多いです。８章に３回、１０章に４回です。良心というのは何でしょうか？　人間は神によって造られた者で、神の形を持っています。神の形によって造られた証拠の一つが良心だと思います。人間は心の中に善と悪の基準として良心を持っています。しかし、良心が人間を罪から救うことは出来ません。なぜなら、人間の良心はアダムの罪以来、完全に駄目になってしまったからです。今日の箇所を見ても人間の良心は深刻な問題を抱えています。


１．良心は弱いもの
（１）汚されやすいもの
　７節「ある人々は、偶像についての、これまでの習慣上、偶像への供え物として、それを食べるが、彼らの良心が、弱いために汚されるのである。」
　「習慣上、偶像への供え物として、それを食べ」続けると良心は弱いものなので、少しずつ汚されることになります。現代の人も同じくイエス様を信じる前の習慣を持っています。ギャンブル、飲酒、タバコ、その他にも習慣になっているものがありますが、信じる前までは罪意識を感じませんでしたが、信じてからは罪意識を感じます。罪意識を感じながらも、言い訳を続け、自分自身を騙していくと良心は汚れます。

（２）悪影響を受けやすいもの
１０節「ある人が、知識のあるあなたが偶像の宮で食事をしているのを見た場合、その人の良心が弱いため、それに「教育されて」、偶像への供え物を食べるようにならないだろうか。」
良心は弱いものなので、影響を受けやすいです。偶像に供えた肉を食べると信仰の弱い人は学びます。悪影響を受けて、食べてもいいと考えてしまいます。

（３）痛めやすいもの
１２節「このようにあなたがたが、兄弟たちに対して罪を犯し、その弱い良心を痛めるのは、キリストに対して罪を犯すことなのである。」

　コリント教会のある信徒は偶像に供えた肉を食べました。食べた人は信仰の確信があったので、信じている通りに食べただけです。罪を犯した意識もありません。問題はその人が食べているのを良心の弱い信者が見て躓いたことです。そうなると偶像に供えた肉を食べた人は良心の弱い信者を躓かせたので、それが罪になります。食べたことは罪になりませんが、躓かせたことが罪になります。私たちの言動には良心の弱い信者を躓かせる可能性があります。私の行為が人を躓かせることであるなら、それが罪です。私たちの良心というものはこのように絶対的な判断基準にはなれません。


２．弱い良心と神の配慮
　人間の不完全な良心は基準になれません。私たちの基準は永遠に変わらない神のみことばです。コリント教会の信徒に神はみ言葉を通してこのように基準を教えてくださいました。食べる、食べない神の基準は何でしょうか？
１０章２５節「すべて市場で売られている物はいちいち良心に問うことをしないで、食べるがよい。」
１０章２７節「不信者のだれかに招かれて、そこに行こうと思う場合、自分の前に出される物はなんでも、いちいち良心に問うことをしないで、食べるがよい」

２５，２７節、繰り返している表現は「いちいち良心に問うことをしないで、食べるがよい」です。これは神様の配慮です。コリント教会を取り囲んでいる環境はあまりにも厳しいです。コリントという異邦人の町で住んでいる少数の信者を神は憐れんでくださいました。旧約の律法だと野菜しか食べられないコリントの信者に神が配慮してくださいました。


３．良心を守る大切さ
いくら神の配慮があっても、食べられる自由があっても、食べられる信仰があっても遠慮した方がいい時があります。自分の良心のため、他人の良心のためです。
２８節「しかし、だれかがあなたがたに、これはささげ物の肉だと言ったなら、それを知らせてくれた人のために、また良心のために、食べないがよい。」
２９節「良心と言ったのは、自分の良心ではなく、他人の良心のことである。なぜなら、わたしの自由が、どうして他人の良心によって左右されることがあろうか。」
自分自身の良心は守らなければなりません。他人の良心は守られなければなりません。


　信仰の世界は神の温かい配慮があります。他人の良心を守ってあげる温かい愛もあります。自分の都合に合わせて食べたり、食べなかったり、悪利用するのではなくて、他人の良心を考えて生きる生き方です。 今やっていることは自分の都合なのか、他人のためなのか、良心に、聖霊に聞いてみなければなりません。



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