2015年10月4日

マタイによる福音書　12章13〜21節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 貯める知恵と使う知恵（1） ＞


　今日の箇所は二つに分かれています。一つは遺産相続のトラブルです。実際の出来事です。もう一つは貪欲の愚かさを警戒しているイエス様の譬えです。


1．遺産相続の争い
　ある人がイエス様のところに来て、兄弟の間に起きている遺産相続の悩みの解決をイエス様に頼みました。亡くなったお父さんが大切に貯めていたその財産のせいで、兄弟の間にトラブルが起こりました。兄弟の一人が一人占めしようとしたのか、その理由は分かりませんが、遺産をもらえない人がイエス様のところに来て頼みました。今の私たちの社会や家庭にも十分あり得ることです。

　亡くなったお父さんはお金を貯めることには成功しましたが、最後の相続のことで失敗しました。二人の兄弟はお父さんが残してくれた遺産のせいで心が分かれてしまいました。せっかくお父さんが残してくれた大事な財産なのに、貪欲の元となりました。遺産のせいで大事な兄弟の心が分かれることをお父さんが知っていたのであるなら、財産を残さなかったかも知れません。

　お金には神のような力があるので、人間関係を回復させる時もあれば、壊してしまう時もあります。ですから知恵が必要です。貯めることにおいても、使うことにおいても神の知恵が必要です。人間の知恵ではありません。人間の知恵は貪欲から来る知恵なので、人間関係を壊します。私たちにはお金を貯めることにおいても、使うことにおいても神の知恵が必要です。イエス様は貪欲を警戒させるために一つの譬えを教えて下さいました。


２．ある金持ちの貯める知恵
１６節で「ある金持の畑が豊作であった」。
彼は今までも努力して、貯めて、貯めて、お金持ちになりましたが、ある年はもっと沢山の収穫が出来ました。努力もありましたが、幸運も重なって、この金持ちには今までとは違う規模の経済的な祝福がありました。そして、この金持ちは１７節「そこで彼は心の中で・・・思いめぐらし」ました。

　彼は儲かることに関しては特別な知恵がありましたが、今回もその知恵を使いました。もっと長く、もっと安全にこの富を使える方法を思いめぐらしました。そして、答えを得ました。
「倉を取りこわして、もっと大きいのを建てて、そこに穀物や食糧を全部しまい込もう」と彼は素晴らしい答えを得ました。そして喜びました。「たましいよ、さあ安心せよ！」

　この金持ちは私達が毎日夢見ていることを彼は手に入れました。永久の経済的な安全。これを手に入れることが出来ました。彼と現代の私達には共通点があります。神様から頂いた知恵を使って、真面目に働いて、沢山儲かりました。そして、お金の無駄遣いをしないで、知恵を絞って貯めました。彼のような人を世間は成功した人だと言っています。私達もこのような成功の為に一日汗を流しています。今日の箇所に出てくるこの人はお金を貯めることに関しては知恵がありました。ところが、お金を貯める彼の知恵は神による知恵ではなくて、貪欲からの知恵でした。ですから、使うことにおいても同じく貪欲の知恵しかありませんでした。貪欲の知恵は不信仰から来るので、その知恵によって滅びることになります。

　貯める知恵は大事ですが、しかしそれが貪欲によるものであってはいけません。私たちには本能的に貯める知恵があります。その知恵は信仰から来ているのか、貪欲によるものなのかをいつも自分でチェックしなければなりません。



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