2015年4月26日

出エジプト記　15章22〜26節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 唯一の願いが唯一ではない ＞


　イスラエルの民にとって一番の願いは何でしょうか？　22、23節を見ると水です。エジプトで奴隷生活をした時でさえ、これほど水が欲しいと思ったことはありませんでした。水さえあれば他はどうでも良いくらいです。ところが、エジプトにいた時には何よりも切に求めたのは水ではなく、自由でした。エジプトから出発するときには未来を備えて、財産になるものを携えてきました。家族や家畜も大切なものだから連れてきました。

　エジプトの軍隊が後ろから攻めて来たときには恐怖を感じ、そこから逃れるのが唯一の願いでした。現在は水が何よりも大事です。水を探し求めるために、せっかくエジプトから出てきたわけでもないのに、現在は水ばかり探しています。

普段の生活の中では水を得るためにそんなに苦労しません。水くらいはどこでも、ただでもらえるものです。 しかし、荒野では違います。すべてを捨てても水が必要です。水がないと明日がありません。水がなくて、荒野で倒れたら、今まで大事だったものは全然大事ではありません。ただの水が現在、彼らにとっては生と死をわけるくらい大事なものになりました。

　ところで、人間にとって一番大事なものは、その瞬間、その瞬間変わります。その状況によって次々と変わります。イスラエルの民にとって一番大事なものは出エジプト記１２章から１６章まで次々と変わりました。 奴隷から自由になることが生涯の願いでした。未来を備えて財産も重要なものでした。紅海に近づいた時にはエジプトの兵士から逃れることが必死の願いでした。

　今日の箇所ではただの水が唯一欲しい物でした。水を飲んだ後は食べ物を求めるのが唯一の願いでした。マナを食べた後は肉を食べるのが彼らの唯一の楽しみでした。肉を食べた後はエジプトで食べたものを食べられないのが不満でした。切なるものがこんなに頻繁に変わったことは、実はそんなに切実なものではなかったことを意味するのではありませんか？

　私たちにとって願いはたくさんあるように見えますが、実は現在、この瞬間の願いは一つだけかも知れません。その一つも実は大事なものではありません。皆様にとって現在の願いは何ですか。あれほど、切なる願いだったのに、それが与えられたらすぐ忘れることは何を意味するのでしょうか？


１．そんなに大事ではないことを意味します。
　水は生死を分けるくらい大事なものですが、実は全然大事ではないかも知れません。水がないのは深刻な問題ですが、なぜ水がないのかをイスラエルの民は分かっていませんでした。水がない理由は彼らの旅路がカナン地ではなくて、反対方向のシナイ山だったからです。神はカナン地に導いて行かれるはずなのになぜ、反対方向のシナイ山に導いたのでしょうか。その理由は25節―26節です。

　カナン地で信仰者として生き続けられるように訓練するのが神の目的です。水がないのもその訓練の一部です。彼らはここで水がない深刻な問題に気を取られてはいけません。大事な水がなくても、神が与えて下さると信じて、神に水を求めなければなりません。自分たちの知恵、知識で水を探すのではなくて、まず祈って神に求めなければなりません。あらゆる奇跡を通して彼らを救われた神が荒野で水も与えて下さることを信じなければなりませんでした。大事な水は大事ではなかったことです。

　私たちにとって命のように大事に見えても、全然大事ではないかも知れません。極端に言えば、無くても良い物かも知れません。私たちが信じている神より大事なものはありません。


２．神は私たちの願いを用いて教え、導かれます。
　神は水がないことを通してイスラエルの民を教え、正しく導かれました。人間に水が必要であることは誰よりも神が一番ご存知です。そのように造られましたから。それなのに3日間も水がありませんでした。大事なのは水ですが、実は大事なのは水ではありません。大事な水を神が下さったことが大事です。その神のみことばを大事にすることが大事です。

　人間の願いはすぐ変わります。しかし、その大事な水を神が与えて下さったことだけは忘れてはいけません。神が与えて下さる度に、その神を愛し、その神に従うことだけは変わってはいけません。イスラエルの民は何か与えられると神も同時に忘れました。


　私たちの願いは色々ありますが、今日一日、神の恵みによって与えられましたら、神に感謝しましょう。そうすれば、神は次にもう一つの願いを聞いて下さいます。一つ一つの願いを聞いて下さる中、私たちを天国に導いて下さいます。私たちの願いはたくさんありますが、それが全部与えられる必要はありません。天国に行く途中なので、天国に行けばすべて与えられるので、すべてが今日一日で与えられる必要はありません。すべてが与えられても、私たちは喜びません。なぜなら、ここは天国ではないからです。一つだけでも与えられたら、満足して、感謝して、喜びましょう。




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