礼拝メッセ−ジ
2015年4月19日

使徒行伝　7章20〜35節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 神のご計画と人間の役割 ＞


　最善を尽くすことは良いことですが、人によって最善という基準が違います。なぜなら、それぞれ、体力や能力が違うからです。神を信じていない人にとって最善というのは自分自身の限界まで達することです。しかし、神を信じている人にとって最善というのは神の御心に合わせることです。自分自身に能力があるかないかではなく、神の御心にあうかどうかが最善です。仮に神の御心であるならば元々能力がなくても、神が能力を与えて下さいます。しかし、神の御心でなければ能力があってもやめるのが最善です。

　ここで私たちに二つの疑問があります。人間の最善と神の御心の関係です。神は私の将来の計画を持っておられます。神はご計画の通りに私を導かれます。しかし、神のご計画が現実になるためには人間も最善を尽くさなければなりません。神のご計画と人間の最善が交差するところがあります。それでは、どこからどこまでが神がなさることで、どこからどこまでが人間がしなければならないことでしょうか？モーセを一つの例にして、私たちの人生も考えてみましょう。

　イスラエルの民がエジプトから解放されたのはある日、突然のことではなくて、神の深いご計画の中にある出来事でした。すでに400年前、アブラハムに与えて下さいました約束が現実になったことです。創世記15：13−14
イスラエルの民をエジプトから解放なさるのは神です。しかし、そのために用いられる一人の人間がいますが、その人がモーセでした。モーセも若い時、同じことを考えました。彼自身を通して神はイスラエルの民を救って下さるのではないかと思いました。へブル人なのにエジプトの王子になったことも、40歳になるまでエジプトの言葉を学び、色々な勉強をしたことも、全部神がされたことだと思いました。イスラエルの民もモーセを頼りにしてくれるだろうと思いました。しかし、それは単なる妄想に過ぎませんでした。イスラエルの民は40歳のモーセをイスラエルの指導者だと思っていませんでした。モーセが40歳の時には神のご計画とモーセの役割は合致しませんでした。神のご計画と人間の役割が一つになるためには二つの要素が一致しなければなりません。


１．神の時と人の時
　神の救いのご計画とモーセの考えが合致しなかったのはまず、タイミングです。23節「四十歳になった時、モーセは自分の兄弟であるイスラエル人たちのために尽すことを、思い立った。」

　イスラエルの救いは今だとモーセは思いました。王子として少しでも権力があるとき、若い内、エジプトの色々のことを学んでいる今のうち、神が何かをなさるだろうと思いました。しかし、神のタイミングは40歳ではなく、80歳になった時でした。王子の身分ではなく、羊飼いの生活で40年間過ごした時でした。若い時ではなく、年老いた時でした。力と知恵があるときではなくて、力もなく、エジプトの知恵も無くなった時でした。

　ところが、80歳になった時には、今度はモーセのやる気がなくなりました。80歳のおじいさん。何も出来ない羊飼い。言葉も下手になってしまいました。荒野で羊を飼いながら無駄に過ごしてしまった40年間、モーセはやる気を失いました。モーセは色々な言い訳をつけて、何とかして神の使命から逃れようとしました。


２．神の方法とモーセの方法
　モーセが若い時、彼なりには方法がありました。イスラエルの民にまず、必要なのはリーダです。悔し思いをしている同族の先頭に立てば、イスラエルの民がついてくるだろうと思いました。イスラエルの民さえ、まとまってくれれば何でもできます。しかし、それは彼一人だけの思い込みでした。奴隷生活に慣れてしまったイスラエルの民はエジプトと戦争することは全然考えていませんでした。エジプトと戦争して解放される方法は神の方法ではありません。

　仮にモーセの方法でイスラエルが解放され、自由になったとしても、それはモーセが英雄になるだけです。モーセが主人公になって、神はモーセを助けるためのただの召使いに過ぎない存在になります。神の願いはモーセが主人公になることではなくて、神こそ歴史の主人公であることを全世界に知らせることでした。神の聖なる御名を全世界に知らせるためにモーセは一つの重要な役割を担っているだけです。


３．私たちへの神のご計画
　私たち一人一人にも大事な役割があります。神の教会と御国のためにいなければならない大事な役割です。しかし、あくまでも監督は神です。監督である神が描いていることを現実にするために、私たちが背負わなければ役割があります。私たちは大事な主役ですが、しかし、大事な主役でさえ一つの役割に過ぎません。ですから、監督である神に従わなければなりません。どこからどこまでが神の役割なのか、どこからどこまでが私たちが担わなければならない役割なのかよく分かりません。一人一人が皆違うでしょう。しかし、神のご計画と私の役割が交差するところがあります。そこが私たちにとっては最善というところです。私たちは主にあって最善を尽くしましょう。


　ディリーブレッドからの引用（2015年3月25日）
「神のご計画と人間の果たす役割を理解することは難しいが、それらが交差する場所に立つことが最善だ。」



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