礼拝メッセ−ジ
2015年3月29日

マタイによる福音書　26章57〜68節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 三日で建てる新たな神殿 ＞


　今日は棕櫚の主日であり、今週は受難週です。今日の箇所は宗教指導者がイエス様を殺すために、何とか口実を探しているところです。大祭司と祭司長、全議会の人々は集まって宗教裁判を行いました。彼らが下した判決は65節の「神を汚した」、「死に当る」でした。私たちはこの裁判からイエス様の十字架の意味を考えましょう。


１．不正の裁判（57−60節）
（１）真夜中の裁判
　祭司長たちと長老たちは真夜中に集まっていました。イエス様が捕まった時、すでに集まっていました。裁判は昼に行うのが常識です。しかし、彼らは皆が眠っているとき、密かに裁判を行いました。全議会も集まりました。しかし、反対する人は最初から除外しました。民の騒ぎを恐れ、真夜中に不公平の裁判をやってしまいました。

（２）最初から判決が決まっている裁判
59節「イエスを死刑にするため」
裁判を行って、その結果によって判決を下すのが常識ですが、彼らは最初から死刑を決めていました。

（３）偽証と偽証者ばかりの裁判
59節「イエスに不利な偽証を求めようとしていた。」
60節「多くの偽証者が出てきたが、証拠があがらなかった」
証拠と言っても全部偽証だらけで、偽証者ばかり集まっていました。


２．神殿建築に関する偽りの証言(61−62節)
　幾人か偽証する人がいましたが、死刑に結びつく証拠がありませんでした。その時、二人の者が出てきました。

　61節「この人は、わたしは神の宮を打ちこわし、三日の後に建てることができる、と言いました」。これはヨハネ2：19の引用ですが、肝心な部分が間違っていました。
「この神殿をこわしたら、わたしは三日のうちに、それを起すであろう」。ヨハネ2章は人間が神殿を壊したら、イエス様が三日で建てあげることでした。

　マタイ26章はイエス様が神殿を壊して、三日で建てあげる偽りの証言です。神がおられる象徴である神殿を壊すことは神を攻撃することであり、一番神を冒涜することです。第一コリント3：17参照。イエス様ご自身が神殿を壊すとは言っていません。けれども、彼らはイエス様が言っていないことを偽りの証人を立てて、神殿を壊すと言ったから冒涜罪だと無理矢理に罪に定めました。


３．新たな神の宮を建てあげる神の子
61節「神の宮を打ちこわし、三日の後に建てる」
63節「あなたは神の子キリストなのか」

　これらは一見、何の関係もないように見えますが、実は深い関係があります。マタイの福音書が最初から強調しているのはダビデの子です。ダビデの子の最大の任務は王として神の神殿を建築することです。旧約のダビデの子はソロモンであって、彼が王となり、神殿を建てました。しかし、新約のダビデの子はイエス様であって、真のイスラエルの王として、目に見えない神殿を建てます。マタイの福音書が「ダビデの子」を強調した理由はイエス様こそ、真の王として神の国、教会を建てあげるお方であることを強調するためでした。

　イエス様が建てあげる神の家は目に見えない神の国です。神の国へイエス様が罪人を招いて下さいます。イエス様を信じる人は誰でも罪から救われ、神の民となり、その群れは神の家族です。人間の罪が赦されるためにはイエス様が代わりに十字架を背負わなければなりません。イエス様が代わりに十字架を背負うことで、罪を赦し、救われた神の民を集めました。イエス様は十字架を背負い、死んで、復活し、三日間で目に見えない神の家を建てました。

　63節の「あなたは神の子キリストか」は61節と関連がありまして「あなたはダビデの子であり、王であり、神殿を建てあげる人か」などの意図が含まれている質問です。イエス様はこの質問にyesと答えました。イエス様は目に見えない神殿を建てるお方だからです。イエス様を殺そうとしていた大祭司は良き口実を見つけました。なぜなら、すでに神殿は建っているのに、現在の神殿とは別の神殿を三日で建てるという意味になるから、それは現在の神殿を壊すことを意味します。

　イエス様が受けた不正の裁判も実は神の御心によることでした。なぜなら、イエス様が十字架を背負うことで、金儲けの手段に転落した神殿はその役目が終わりました。これからは真の神殿が必要です。神殿は民の罪が赦されるところです。神と回復するところです。罪を犯した民は赦されるために家畜を連れて神殿に行き、そこで自分の罪の代わりに家畜が死んで、罪が赦されました。

　 しかし、これからはイエス様のところに行かなければなりません。イエス様が私たちの罪の代わりに神の子羊として死なれましたので、私たちはそれを信じて、悔い改めることで、罪は赦されます。罪が赦された一人一人が神の家族であり、神殿であり、神の教会です。イエス様の血潮によって建てられた、私たちの教会のために喜んで奉仕していきましょう。



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