2015年2月8日

マタイによる福音書　11章2〜6節

　　　　　　　　　　　　　＜ 人が待っているメシアと神が送られたメシア ＞


１．バプテスマのヨハネ
　バプテスマヨハネはメシアが来られることを語りましたので、誰よりもメシアを待っていました。そして、イエス様こそ、「きたるべきかた」だと確信して紹介しました。


２．獄中のヨハネ
　そのヨハネが監禁されました。理由は当時の支配者であるヘロデ王の罪を指摘したからです。しかし、ヨハネは神の預言者だと認識していたので、ヘロデは勝手に殺すことは出来なく、ただ監禁しておきました。


３．キリストのみわざを伝え聞いたヨハネ
　ヨハネはイエス様が行っている神の御わざを彼の弟子から獄中で聞きました。ところが、噂を聞いて疑問に思いました。なぜなら、彼はイエス様こそ、メシアだと証言していましたが、彼が期待していたメシアなのか確かめるためでした。

　彼が待っていたメシアは5節の働きだけではなく、根本的なことでした。悔しい思いをしている人に自由を与え、苦しめてきた人をさばくことでした。具体的にはヨハネを閉じ込めたヘロデのような悪の群れをさばいてくださるメシアを待っていました。そして、悔しい思いをして監禁されている彼自身のような義人に自由を与えて下さるメシアを期待していました。

　しかし、ヨハネを閉じ込めた悪党のヘロデはさばかれるところか、逆にますます繁栄し、そのまま権力を握って義人を苦しめています。その反面、ヨハネのように神の義を守って正しく生きようとしている人は未だに、監禁されていて、自由になっていません。

　ヨハネの疑問は「イエス様、あなたが本当のメシアであるならなぜ、悪人にはさばきを義人には自由を与えて下さいませんか」というものでした。ですから、彼の弟子たちを遣わして聞いてみました。


４．『きたるべきかた』はあなたなのですか？
　神が送って下さったメシアとヨハネが待っていたメシアと何が違いますか？　ヨハネが期待していたのはメシアが来ればさばきと自由があると思いました。 しかし、神様が送って下さったメシアはこの世のすべての人を罪から救われることでした。それでは、ヨハネがこのようなさばきと自由のメシアを待っていた理由は何でしょうか？

　この世は悪人と義人に分かれていると思いこんでいたからです。ヨハネ自身は義人で、ヘロデは悪人だと思っていたからです。ですから、早く悪人をさばいて、義人を救って下さいと期待していました。しかし、神の観点は違いました。 神の観点はこの世に義人は一人もいなく、皆が罪人です。監禁されているヨハネも神様の前では罪人、監禁したヘロデはもっと酷い罪人です。


５．私たちもヨハネと同じく錯覚している
　私たちもヨハネと同じく錯覚しています。イエス様がすでに、来られましたので、この世から罪を取り除き、悪人をさばいて、不平等を無くし、戦争を終わらせ、私の人生のすべての問題、悩みを直ちに終わりにしてくださり、義人である私を救ってくださると期待します。 私たちが期待して待っているメシアと神が送って下さったメシア。何が違うのでしょうか？


６．神から来られたさばきと自由のメシア
　私たちもバプテスマヨハネのように同じく勘違いしている理由は、私は正しくて、他人は正しくないと断定しているからです。私たちはヘロデ王のような人間は悪人だと思っていますが、実は私たちも神の御前では同じく罪人です。 神から見ればこの世にいる人は皆罪ある人ばかりです。皆、救われなければならない人々ばかりです。罪人しか住んでいないこの世に、私たちが期待しているメシアが来るとどうなりますか？

　私たちが期待しているメシアは直ちに悪人をさばかれるお方ですが、罪ある私たちもさばかれることになります。救われるチャンスがありません。 私たちが期待していなかったメシアが来られたからこそ、私たちはさばかれず、罪が赦され、救われたわけです。また、私たちが悪人と断定している人も救われる望みがあります。

　この世に来られたイエス様はさばきと自由のメシアであることは間違いありません。信じる人には自由を与えてくださいました。しかし、信じていない人は信じていなこと自体がすでにさばきです。しかし、さばきの実行がしばらく延期されただけです。救われるチャンスを与えて下さるための延期です。 その理由でバプテスマヨハネのように主の使命を果たしているのにも関わらず、しばらく悔しい思いをする殉教者がいます。しかし、最後までつまずかない人は幸いです。



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