2014年11月23日

ルカによる福音書　15章11〜24節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 一人の人間の価値 ＞


　私は神様の御前でどのくらい価値ある者でしょうか。私は周辺の人々にどのくらい価値ある者でしょうか。 これから四回に分けて放蕩息子の箇所を色々の角度からみながら私たちが信じている福音や信仰に関して考えましょう。今日は放蕩息子の一人の人間としての価値に関して考えたいです。


１．自由と人間の価値
　今日の箇所に出てくる次男は若い時の特徴である自由を求めていました。次男はお父さんと一緒に暮らすことが縛られていることだと思いました。彼は一度、お父さんと家族から離れてみたかったわけです。

　人間の本当の価値を測定する一つの基準が自由です。自由に暮らすとき、一人の人間としての価値が感じられます。次男はお父さんから離れれば自由になれると錯覚していました。親子の縁を切ってでも、自由になろうと思いました。ですからまだ亡くなってもいない親の遺産を要求しました。お父さんから見れば心が痛いです。今まで一度も次男の自由を束縛したことはありませんが、それでも息子を自由にしてあげました。

　次男はお父さんの家から遠いところへ離れ、最初は思い存分、自由を楽しみました。やりたい放題で遊女と遊び、悪いことをしました（30節）。食べたいものを食べ、飲みたいもの飲みました。

　可笑しいことは彼が自由を満喫するために使っていたそのお金は全部、お父さんからもらったものです。お父さんからもらったお金は自由の象徴でした。自由の象徴であったそのお金を全部使い果たした時は自由を失いました。自由になるためにお父さんから離れましたが、実はお父さんの家から離れた瞬間から自由を失いました。

　次男は実はお父さんの家で自由に暮らしていましたが、父の家から離れ、貧しくなるまでは悟れませんでした。お父さんと一緒に住んでいた時には本当の自由が隠れていたので、それが分かりませんでした。


２．人間価値の喪失
　次男はお父さんからもらった財産がなくなると本当の自由が何か分かりました。次男は貧しさのゆえに自由がなくなり、同時に人間としての価値もなくなりました。 友達もなくなり、働きたくても仕事もありません。お金、友達、仕事、自由、これらのものを通して私たちは生きる理由、存在価値を得ます。

　次男はお父さんの遺産を所有していた時には、人気があって、彼自身も価値ある人間のように見えましたが、財産がなくなると人間としての価値もなくなりました。次男は財産がなくなると豚よりも価値がありませんでした。食べ物がない時の豚一匹の資産価値は次男の命よりも大事です。ところが、豚はユダヤ人が一番嫌う家畜です。次男はユダヤ人が食べない豚よりも価値がありません。

　もっとひどく言えば、豚が食べていたえさよりも価値がありませんでした。本当に悲惨な人生になりました。お父さんの家から離れてしまうと、お父さんの家で働いている雇い人よりも価値がありません。ここまで墜落すると生きる力も意味もありません。


３．人間価値の回復
　次男が一人の人間として回復できる方法は一つしかありません。それは悔い改めて(18節)、お父さんのところに立ち帰ることでした(20節)。 次男は彼自身の価値をお父さんの家で働いている雇い人と同じだと自らダウンしていましたが、しかし、お父さんは次男の価値を回復して下さいました。父のところに帰ることで以前の身分を回復しました。豚よりも価値がない、雇い人よりも低い人間を息子として迎え入れて下さいました。

　経済的にも以前どおりに回復できました(20節)。隣人からも以前どおりに回復できました。兄との関係も回復させようと父は努めています。 次男は家に帰ってみると今まで生まれ育った父の家が自由で、息子である身分と価値ある人間であることがやっと分かりました。放蕩の息子のたとえ話に出てくるお父さんは天の父なる神様を象徴します。

　神様は私たちに一人の人間としての価値を与えて下さったお方です。 神様のところにとどまるときには豊かさと自由、価値ある人生ですが、しかし、罪を犯して、神様から離れると今までの自由が奪われ、罪の奴隷となります。無価値の人間になります。

　一人の人間としての存在価値は天の父なる神様と共にいるときです。神様から離れると何の価値もない者になります。神様だけが私の本当の価値を認めて下さいます。私の周辺の人は私の価値を認めてくれません。放蕩息子が私たちに教えてくれるのは私のことを一番愛して下さる神様のところにとどまるとき、自分の存在価値が一番よく分かることでした。

　 皆様一人一人もとても大事な存在です。その自覚を持って信仰に励んで下さい。



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