2014年6月15日

マタイによる福音書　5章43〜48節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 父なる神の義 ＞


　イエス様は弟子たちに主なる神を「父」と呼ぶように教えました。「天にましますわれらの父よ」。ユダヤ教にはあまりない教え、イスラム教にもなく、他の宗教にもない教えだと思います。私たちの主なる神は私たちの父です。

　今日は社会では父の日です。今の時代においてお父様のイメージは何でしょうか。皆様にとってお父さんというと何をまず思い出しますか。どんなイメージですか。聖書の主なる神は私たちの父です。その方は愛のお方であると同時に義のお方です。義の神はまた、愛の神でもあります。愛と義は違うもので、同じものです。義も愛から出るからです。今日は神の義に関して考えましょう。


１．地上の義
　４３節「隣人を愛し、敵を憎め」。人々の本能であり、この世の義です。「自分を愛するものを愛する」、「兄弟だけにあいさつをする」。私たちが毎日やっている人間関係の基本ルールです。受けた親切を忘れないで、恩返しさえ出来たら、私たちはそれを人間として「正しい」と評価します。日本では恩返しが出来たら「礼儀ある」、出来なかったら「礼儀ない」と判断します。受けた被害に同じく仕返しするのが正義です。人間の社会にある正義というものは、互いに裁くことしかありません。

「あなたが私にやるべきことをやってくれないから、私もやらない。こうなったのは全部お前のせいだ。」
「お前こそ果たすべきことを果たしてくれないなら、私も果たすべきことをしない。こうなったのは全部お前のせいだ。」

　夫婦の間にも自分の権利は最後まで主張しますが、自分の果たすべき義務は最後まで果たしません。相手が義務を果たしてくれる分だけ、義務を果たします。兄弟の間にも同じで、自分の権利は最後まで主張しますが、やるべき義務は果たしません。兄弟が優しくしてくれる分だけ、優しくしてあげます。しかし、それは聖書が言っている正義ではありません。

　神の正義はこのくらいではありません。私たちが神に従う様子を見てから、助けて下さるのであるなら、私たちに救いはありません。


２．父なる神の義
　４５節「天の父は、悪い者の上にも良い者の上にも、太陽をのぼらせ、正しい者にも正しくない者にも、雨を降らして下さる」
神が人々に太陽と雨を与えて下さいます。太陽と雨は人間が生きるための最小限度の条件です。人間は神様が造って下さった太陽によって生きています。神が雨を降らして下さいますので食糧を収穫できます。

　ところが、人間は神の恵みによって育った穀物、それによる経済の繁栄なのに、神を賛美し、礼拝するところに使うのではなくて、偶像を崇拝するところに使います。

　人間が神に感謝しないので、神も恵みを施さなくても良いですが、神は約束を最後まで守られます。これが神の義です。人間は神を裏切って正しくなくても、神はいつまでも誠実で正しいです。私たちはこの神の義があるからこそ、救われました。私たちは神への義務を果たせないので、救われません。しかし、神は私たちへの義務を最後まで果たしますので、その神の義によって私たちは救われます。裏切り続ける人間に、神は最後まで義を守り通します。愛の故です。

　 私たちも神にならってこの義を実行する人になりたいです。この義こそ、神のように完全な人です。神様はそれを要求しています。



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