2009年5月17日

ヨハネによる福音書　21章 15〜19節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 悔い改めと再出発 ＞
 
「わたしに従ってきなさい。」
　　　　　　　　　（ヨハネによる福音書　21章19節）


１．先月はイースター礼拝を行いました。死と陰府から復活されたイエス様は、何回も弟子たちに姿を表わされて、手と足のクギの跡に触らせたり、また焼いた魚を食べて見せたりして、確かにご自分がよみがえられた事を弟子たちに教えられました。

　　ですから、弟子たちはイエス様がよみがえられた事はもうよく分かった、信じられた、そしてとても嬉しかった。けれども、その心にはまだ曇った部分がありました。特に、ペテロはそうでした。なぜなら、ペテロはイエス様が捕まえられてしまった後、自分も弟子だから捕えられるんじゃないかと恐れて、イエス様の事を「私は知らない。弟子じゃない。関係ない」と三度も言ってしまったからです。「あなたのためなら、牢屋でも、また死に至るまでも、ご一緒に行く覚悟です」と立派な事を言っていたのに。

　　だから、ペテロはイエス様がよみがえられた事は本当に嬉しいけれども、しかし「もう自分には弟子の資格はない。イエス様を見捨てた、知らないと言った、裏切ってしまった、そんな自分はもうイエス様に着いて行くにはふさわしくない。前のように、ただの漁師に戻ろう」、そう思ったのでしょう。　一度捨てた筈の網と舟をまた拾って漁に行きました。昔の生活に、イエス様に出会う前の生活に戻ろうとしたのです。（1〜３節）


２．けれども、一匹も収穫がありませんでした。イエス様がかつて言われた言葉を思い起こします、“わたしから離れては、あなたがたは何一つできないからである。”（15章5節）

　　けれども、暗い夜が明けた頃、明るい朝日が差してきた頃、そこにイエス様がまた姿を現された。けれども、弟子たちはまた最初は気が付かない。（4〜6節）

　　一晩中、頑張っても一匹も取れなかったのに、イエス様にお言葉の通りにしてみたら、たっくさんの魚が取れました。　その時、それがイエス様である事に気付き、ふんどし姿だったので、ペテロは慌てて服を着て水に飛び込みました。（７〜８節）


３．そうして彼らが陸に上がってみると、なんとイエス様が皆の体を温めるために焚き火を起こしていて下さって、しかも、焼いた魚とパンも用意していて下さっていました。
　　一晩中働いて、心身ともに疲れ果て、またお腹もペコペコ、そんな弟子たちに焚き火と朝ご飯を用意して下さった！（9〜14節）

　　イエス様っていうのは今でもそういう方じゃないでしょうか。　“すべて重荷を負うて苦労している者は、わたしのもとに来なさい。あなたがたを休ませてあげよう。”
　　（マタイ11章28節）　「イエス様、助けて下さいっ」と、ちゃんとイエス様の名前を呼ぶ時に、休ませて下さる、暖めて下さる、栄養を与えて下さる。具体的に色んな人を通して、実際に様々な癒しの時を与えて下さいます！

　　イエス様は私たちが生身の弱い人間である事をよくご存知です。イエス様のもとに行く時に、まず栄養と休養をしっかり与えて下さる訳ですね！　温かい、優しい、愛のイエス様なんですね！イエス様のもとに行く事を恐れる必要はないのです！


４．さて、体も心も温まった。その食事の後、イエス様はペテロに個人的に語りかけられました、15節、“わたしを愛するか”。　ペテロはイエス様の事を「知らない。弟子なんかじゃない」と言って、イエス様との関係を否定してしまった。「あかの他人です」と。

　　でも、イエス様はペテロにもう一度チャンスを与えて下さっている訳ですね！　悔改めのチャンス。勿論、本当なら捕まえられた時、「その通り、私はイエス様の弟子です」と言って欲しかった。死も迫害も困難も恐れず、そう言って欲しかった。もっとも愛している者に、他人のフリをされるぐらい傷つく事はないでしょう。イエス様はあの時、分かっていたとはいえ、本当に悲しかったでしょう。

　　でもイエス様はペテロを赦して、もう一度、悔い改めと、もう一度言い直す、告白しなおすチャンスを与えて下さるのです！

　　ペテロ、前はあなたは「私とは関係ない」と言ったけれども、今もう一度聞こう、「わたしを愛するか」。

　　ペテロは前のように、言葉だけ格好いい返事をしようとはしません。「ええ勿論、たとえ死に至るまでもっ」とは言えない。自分の弱さ、愛の小ささも嫌という程、思い知らされた。「でも、確かに小さな愛かも知れない。イエス様の大きな愛（ｱｶﾞﾍﾟｰ）とは違う、けれども、私の精一杯の愛でイエス様を愛している（ﾌｨﾚｵｰ）のは確かです」という思いで答えました。“わたしがあなたを愛することは、あなたがご存知です。”

　　イエス様はそれを3回聞きました。（１６〜１７節）　ペテロが3回「イエス様を知らない」と言ったという事は、イエス様はやはり3回大きく悲しんだのです。ペテロが「知らない」という度、ビシッとムチで打たれるごとく、痛んだのです。心を３回ムチで打たれるような、心を3回ナイフで刺されるようなキズを受けたのです！

　　私達が犯す罪というのは一回一回重たいんです！ 私達が３回罪を犯せば、イエス様は3回大きな痛みと悲しみを感じられるのです！

　　けれども、イエス様は３回告白させる事によって、全部を赦して、全てを新しくやり直させて下さろうとしたのです！


５．そして、3回こう言われました、“わたしの羊を養いなさい。”　つまり、これから生まれてくるクリスチャンたちを、教会を養いなさい、という事です。

　　ペテロは自分なんて、もう弟子の資格はない、ふさわしくない、だから漁師に戻るしかないと思った。けれども、イエス様は全て赦して、もう一度ペテロに弟子としての役割を与えられたのです！そして、こう言われました、“わたしに従ってきなさい。”

　　いかがでしょうか。私達は誰もがペテロのような所を通るかも知れません。イエス様を裏切ったり、悲しませたり、挫折したり、自分はふさわしくない者だと、汚れた者だ、弱い者だと思い、自分から離れて行ったり、昔の空しい生活に逆戻りしたり…。　しかし、イエス様から離れて生きても、なんの収穫もないでしょう。しかし、主は赦して下さるのです。温かい焚き火と食事を用意して、私達が帰ってくるのを待っておられ、そして、もう一度「わたしに従ってきなさい」と声をかけて下さるのです！！！



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